現代の名工・海老名さんのこと
先日のNHKの『プロフェッショナル』で、私が学生の頃、一緒にお仕事を
させていただいた『海老名和明』さんが仏像輸送の第一人者として取り上げ
られました。一緒にお仕事をさせていただいたのは今から20年前。場所は
日通の関西支社、引越し美術品センターというところ。
私は学生の引越アルバイトだった。私の父親がやはりトレラーのドライバ
ーだったせいか、仕事がとても面白く、高校から大学進学の際のお休みの
間の、アルバイトのつもりが、結果として学生生活の4年間、ずっとお世話に
なり、それこそ梱包の仕方と言った技術的なお話から、仕事とはとか恋愛と
は・・・なんてテーマも作業員の方々から教わった。夏の団地の5階の引越で
脱水症状で気絶したアルバイト君たちがいたり、見積もり通りにいかず、夜
11時を過ぎても積み込みをし直したり・・・と言った出来事もあったが、とても
為になったアルバイトだったと今も思っている。
海老名さんは、自衛隊あがりで、すごいパワーで、アルバイト君たちを、
『おい、兄貴』と呼びながら、どんどん荷物を運んで行く強面のオジサンだっ
た。かく言う私も、最初の春は『兄貴』の一員で終わった。夏に再度お世話
になった際に『兄貴』から『ホソカワクン』に、次の春に『ホソヤン』と呼ばれ
私も『エビヤン』と呼ばせて貰った様に記憶している。梱包に関してはとに
かく丁寧で、ゆがみがなく、美術展や、博物館の『美術品』の仕事のときに
は、注意すべきはもちろんの事、作品や歴史観について随分教わった。
ちょうどNHKのプロフェッショナルでは、40歳前後から仕事に目覚め、仏像
の輸送の面白さに捕らわれたと言っておられたから、案外、勉強した知識を
受け売りでお話ししてくれたのかも知れないが、他の作業員の方々とは違っ
た印象を受けたので、20年を経過した今でも、番宣ですぐに本人と分かり、
とても楽しく、この番組を拝見した。
上野に阿修羅さんが来れたのは、海老名さんが居たからに他ならず、
阿修羅さんを運ぶのは『恐怖』との戦いだ、と言いながら、お孫さんと遊び、
『恐怖』と夜に戦うのにビールの力を借りるんですと笑う海老名さんの顔は
白いものと、シワが増え、とても温和になっていた。仏像と素手で向き合っ
ているからなのかも知れないが、だんだん『ホトケサン』に近づいている様
にさえ思えた。
現代の名工が何人いるのか知らないが、私が直接会って仲良くさせてい
ただいているのは、ハンコを作っている葛飾の職人さんと海老名さんの二
人だけであり、学生から社会人になる際に、海老名さんには祝辞をいただ
いたのだが、20年を経過した今、またここで『心得』をテレビを通じて教えて
いただいた恰好である。しかも、今回は『現代の名工』として、否、世界を代
表する美術品輸送人になった『エビヤン』からの一言である。
私も、これから20年経った後の世で、『エビヤン』みたいな立場に立って、
我が『リバースター』のスターの方に、そういえばあの頃、こんな事をリバー
が言っていたナと思いだされるだけの男になっていたいモノではあるな・・・
と思った今日この頃でございます。
ムムム・・・ですね。
そう言えば、『ハマヤン』さんからは、今の奥さんが『一緒にならないのなら
死んでやる』と言われたので人命救助の観点から夫婦になった。だからとても
後悔している。ホソヤンは人命救助でなく、自分が惚れた人と一緒になれと忠
告されたのを今も私はしっかりと心に刻んでいる。結果として私は独身だし、
ハマヤンも・・・。余談でした。(笑)
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 映画 『はやぶさ/HAYABUSA 』 を見て・・・(2013.06.13)
- フェルメール 光の王国展 に行ってきました(2012.07.16)
- 2012年上期のベストショット (リバーの写真)(2012.05.30)
- セザンヌを見に乃木坂に・・・(2012.05.22)
- 『じゃりン子チエ』・・・(2012.03.13)
コメント