物理学者 がんを見つめる 戸塚洋二 最後の挑戦を見て
ニュートリノの研究者で、次期ノーベル賞候補と言われた戸塚洋二さん。
自らのガンを客観的に分析し、ブログにつづり続けた。宇宙の誕生と死を
自らの命と重ね合わせた男の物語・・・NHK HPより とある。
さすがNHKだ。いい番組を作る。
ガンに立ち向かう姿と、自らの死を科学者がどう向き合うのか。ものすごい
テーマの番組だ。戸塚さんがお坊さん(花園大学教授)と死生観、無について
お話しをするシーンは淡々とした中に、自らのガン・死を分析しようとする科学
者として、死を『怖くないもの』として皆に知らせたい。死に行く私が死を分かっ
たのにそれを伝える術がないのが残念だと笑顔で話しておられた。
庭の植物を素敵だと語る姿。脳にガンが転移して、意識がなくなり、具体的な
姿を絵にして、一つ目の葉っぱの妖精が見えたと語る科学者。ガン患者からの
死と向き合う相談をブログにつづる姿。2階の書斎に自力で登れなくなったもの
の奥さんに2階に上がる行為そのものに意味があると語る姿。病院に行くと即入
院となったもののペンを執る力がもはや残っておらず、家族にこれからの自分を
科学者としてしっかり記録に取る様に託した戸塚さんとそれをしっかり守った奥さ
ん達。力尽きて、その事を本人のブログに家族よりとした上で亡くなった事を報告
するご長男さんの姿。生前、苗をご購入され、庭にまだ鉢植えのままのバラを枯ら
せないものですからと微笑む奥さんの姿。
どれも死について考えさせられる番組であった。
『男はつらいよ』で寅さんが、なぜ死ななきゃ行けないのかと言うマドンナの問い
に日本は狭いから、誰かが死なないと満員になっちゃう。はじっこの慌て者が海に
ハマっちゃう。そうならない様に人は死んじゃう・・・確かこんな感じだった・・・こう言
ったシーンがあって、それは私の死生観に大きな影響を及ぼしているが、この番組
も同じように私に重く響いたものとなった。
40歳を超え、体重も100キロを優に越え、血圧も140を下回らない私は体力の衰え
を最近感じる様になった。月に1回は医師に診てもらうように心がけているのだが、
これからすべきことに対して、どこまでこの心と体がついてくるのか、そんな心配を
してもせんないことは分かっているが、新しく会社を興した以上、この会社に半永久
の命を吹き込んでやらねばならぬ。これから来るだろう従業員やお客様方を守らね
ばならぬ。西遊記に出てくる悟空とお釈迦様の手のひらの様な状況をはやく作りた
い・・・。
閑話休題。
とてもいい90分を過ごせるので、興味のある方は一度ご覧になられたらいいと
思う。
葉っぱの妖精を見たと言う戸塚さんの言葉がとても印象に残っている。
2008年にお亡くなりになられたとの事ですが、謹んでご冥福をお祈りします。
またご家族の方もとてもいい愛され方をそのまま画面で表現されておられ、
力をいただきました。ありがとうございます。戸塚さん亡き後も日々の生活を
素敵に営んでおられる奥さまにも夫婦愛を感じました。あのお庭があのまま
成長を続けられる事を切に祈っております。
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