« 鉄 | トップページ | 杜氏 »

カンブリア・カクヤス酒店さんの事

 カンブリア宮殿でお酒の販売『カクヤス』が取り上げられた。酒類販売は免許に守られた

聖域だったので、銀行員時代にも免許の壁がなくなった酒屋さんの窮地をたくさん見て来た

のでとても興味を持ってみる事ができましたね。

 免許の壁がなくなって一斉にディスカウント酒店に移行して行った頃のお話しです。ディス

カウントは自身で自身の首を絞める事業で、より大型の店舗が近隣に出来てしまうとたちま

ち窮地になり顧客が帰って来る事はない。常に価格の低い方が勝つビジネスモデルである。

カクヤスもディスカウントに向かったが、途中で上記に気付いて路線変更をする所が偉

いです。『価格』を追うのでなく『利便性』を追求しようと。ここで銀行のお話しも出ました。

67%の店舗が赤字だった頃、銀行の支店長がこのまま行くと貸出が出来なくなるよとき

ちんとお話しし、それに対して3年なりゆきを見てくれと社長がお話しをしているんですね。

これだけの度量が支店長にはあったんですよね。(銀行員さん、よく学んで)

 半径1.2キロ圏の首都圏全域に出店し、配達料の300円は不要として無料化してビール

1本でも20分以内に配達しますと『利便性』を前面に出すビジネスモデルに変更して業績

を伸ばします。今や700億円の年収だそうです。番組では今も進化するカクヤスの姿とし

て①店長が配達を来店にシフトして貰える店づくりで努力する姿と、②不況下の銀座で

高給ワイン等のクーラーを設置し、クラブ等から電話で10分以内に配達するビジネスモ

デルを取りあげていましたね。①の店長はとても熱くて好感が持てます。彼らがカクヤス

を支えているんだなと感じられました。②はとても上手な戦略です。不景気ですからクラ

ブなどでもいつ売れるか分からない高級なお酒はなかなか置けないし管理も大変です。

10分で最高の状態で届けて貰えるのであれば、若干のお金は払ってでもカクヤスに頼

もうとなりますよね。ここでは利便性がしっかり収益に繋がっている。これは立派です。

 利便性を追うのだからと言って価格は軽視するのではないけれど、ディスカウント酒

店ほどは安くない。だけど700億円を売ると言う事は、それだけ粗利が高くなると言う事

ですからビジネスモデルとして立派です。コンビニも同様な仕組みでしたがコンビニは

これが維持できなくなってきています。そう言えばカクヤスもコンビニに学んだ結果だと

社長さんが言っていましたね。

 就職氷河期だからと、社長がこんな人材が欲しい・・・とお話ししていた事に我が意を

得たりの想いがありました。①今のカクヤスを造り支えて来た先達の社員をリスペクト

する事、②楽しく仕事をする事(お客さんからのありがとうに喜びを感じる能力の持主で

あって、次のありがとうに向かって努力できる人)・・・以上。①、②が両立できる人だか

ら、努力するあの店長が産まれ、その店長を懸命に支援するバイヤーさんが連携でき

るんですよね。

 いい会社は何事もプラスのスパイラルでどんどんいい方向に向かう事が出来ます。負

のスパイラルを持つ企業は倒産に向かってどんどん解体されて行きます。

 社長のカリスマで持つ企業、社員が結束して上昇する企業、いろんな形態があります

がカクヤスの社長の提言です。『自社の弱みは放置しなさい。それより強みを伸ばす経

営がいい。』 強み=どうやってお客様の役に立っているのか・・・ここに経営資源を集中

させなさい・・・なるほど、マイナスの指摘からマイナスポイントをなくそうと努力するマネ

ジメントが大半の経営指南です。敢えてその逆を行くカクヤス戦略が免許の壁崩壊で

幾多の至難を乗り越えて来たカクヤスの社長らしい提言です。

 当社は不動産業ですが、大いに経営するに際して参考になりました。よりよい経営を

実現するためには・・・と言う事は常に社長たるもの考えなければですが、そのヒントが

あった様に思います。当社スタッフもあの店長の様な意気込みで熱を持って仕事をして

貰いたいと思いますし、また時には私があのバイヤーさんの様な提案で持ってよりやる

気に火をつけてあげなきゃイカン訳です。お客さんを喜ばせてありがとうと言って貰える

事にやりがいを持ち、その為の努力競争が行われている会社がいい会社ですわ。

 『熱』があるいい会社を造りたいもんです。

 ※カクヤス社長さんが人事部長として招いた大手企業からの出向者さんが、カクヤス

社長に述べた今まで一番嬉しかった事⇒『同期の中で最速で出世した事』にがっかりと

したし、悲しいなと感じたとお話ししていましたね。出世やお金がやりがいなのはやはり

とても薄っぺらで悲しい職業観だと私は感じます。リスペクトの念なども無縁です。こんな

人材ばかりの企業はカリスマによってもまとまりませんし、ディスカウント路線で戦う弱小

企業と同じで、よりよい条件にコンバートされる企業にもなってしまうのでしょう。『誇り』

を持って仕事が出来、楽しく働きがいを持って自分を伸ばせる企業が強い企業なので

しょう。

|

« 鉄 | トップページ | 杜氏 »

カンブリア宮殿」カテゴリの記事

コメント

『自社の弱みは放置しなさい。それより強みを伸ばす経営がいい。』  いい考えです!

マイナスの指摘からマイナスポイントをなくそうと努力しても所詮、元の到達点までですが、

強みを伸ばすと可能性は無限大になりますね。

このことは、結構わかってもらえません。

職場でも家庭でも、、、、

投稿: H | 2010年3月 9日 (火) 11時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カンブリア・カクヤス酒店さんの事:

« 鉄 | トップページ | 杜氏 »