杜氏
西岡常一さんの事は以前ここに書きました。法隆寺等を手掛けられた宮大工さんの
お話です。西岡さんのお話しには学ぶところが多く、数冊の本を取り寄せて現在、私も
スター君もその本を面白く読ませて貰っています。
さて先日の『プロフェッショナル』で杜氏さんが取り上げられました。日本で数本の指
の杜氏さんです。半年間つきっきりでお酒の面倒を見るそうです。酒蔵に泊まり込んで
温度・湿度はもちろんの事、いろいろなデーターを採取し、よりよいお酒を造り出す姿に
感動を覚えました。西岡さんもそうですが自然を相手に活躍される方々が自然に向かう
姿は神々しいモノがあります。姿勢を正し凛として自然と対峙する。そうしなければいい
モノは作れない・・・。
お酒造りは秒単位で作業をするのですね。チームできっちりと米を磨き、麹菌を巻い
て・・・。それでも同じモノはなかなか作れないそうです。
この杜氏さん、若かりし頃は随分苦労をされたそうです。製法を変えたりもしました。
だから毎年味が変わる。酒蔵からするとそれは困る訳ですが社長さんはお客さんに
ウチの杜氏は毎年よりおいしいお酒を造りよると笑いながら、新酒をお客さんに薦め
たんだそうです。杜氏さんはこの社長にはお世話になった、この人の為ならば・・・の
気持ちもあった。だから今があるんだとお話しされていましたね。定年になった際、別
の小さな酒蔵からぜひにと乞われた。その際もその社長さんがその酒蔵の力になって
あげなさいと言われたから、老体にムチ打って今も頑張ってるんだとお話しでした。
黄綬褒章の半分は奥さんのモノだと照れながら話す姿も良かったですね。この人だか
らこその想いがしました。
職業倫理とは古臭い言葉かも知れませんが、この方について学ばれている若き杜氏
見習いさん達は、きっと大きく育つだろうと思います。皆、自然をリスペクトし、先達をリ
スペクトしています。お酒造りはおそらく先達からの口伝と麹菌等の自然の力で今後も
切磋琢磨があるのだと思います。その為には自身が頭(こうべ)を低くして、自然から
学ぼうとする姿勢をこの杜氏さんが実践しています。これを皆が引き継ぐ訳です。
おそらくは西岡常一さんにもこの心がありました。
私どもリバースターにおいてもこの心根は大いに学びたいと思っています。
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