スシローは今までもテレビで取り上げられてきているし、今回はパスしようかな・・・と思っ
たのですが・・・やっぱり今回も『カンブリア』は面白かったですね。
今回は『回転寿司最前線』と銘打って売上高で23年1月期で首位の座についた『スシ
ロー』を取り上げておりました。
回転寿司は過去何回かブームがありましたけれども、私はもう回転寿司は市場規模
は下落傾向にあると思っておりました。近隣では過去の繁盛店が無くなったりしています
から。まさか右肩上がりで売上が上がっている市場だとは思いませんでした。私は最近
とんとご無沙汰ですのでちょっと驚いた次第です。
回転寿司業界ビッグ3とは『スシロー』『かっぱ寿司』『くら寿司』です。この中では私自
身やっぱり『スシロー』が好きですね。回転寿司業界では顧客満足度1位は『スシロー』と
の事なのでなるほど、自分の舌や皮膚感覚が正しいのだなとちょっと納得しました
ちょっとスシローのデータをご紹介しましょう。1店舗当たりの売上は年間で3億円。
来店客の多い店では1日1700人もの来店があるのだそうです。スシローの満足度にも
繋がるこだわりが『店内調理』なんだとか。他の大手は工場でカットしたものを客に提
供するのですが、スシロー豊崎社長は元々寿司職人。調理仕立てがやっぱりおいしい。
おいしいものを提供してこそお客さまに喜んでもらえるし、その姿を見ることこそ自身の
喜びである、と言う筋を徹底して通す。原価率は通常の外食は30%程度ですがスシロー
は50%。従って回転寿司ビッグ3で売上は1番になったけれども経常利益率では他に劣
っていると言う事です。『1皿105円でも質にはこだわる』姿勢の表れ・・・なんとも消費者
心理を煽りますよね。原価率が高いと言う事は一番うまいモノを食べさせていると言う事
でしょうからね。『職人』だからこそ出来た質へのこだわりは素晴らしいです。これを聞か
されたら消費者としては『スシロー』を応援したくなりますわな。
元々寿司職人として修業をしていた身でありプライドもあった。それが会社の命令で
回転寿司に行くことになった。なんで・・・と言う気持ちも当初はあったですが、皆が嬉し
そうに食べる姿を見て考えが変わった。おいしそうに食べる姿を見て嬉しいと思う様に
なった。村上龍さん曰く、『寿司と言えば旦那衆が食べる食べ物だった。それを庶民でも
食べられる様になった。言わば食の革命だ』。これをおそらくは豊崎社長は肌で感じた
のでしょう。100円でこれが食べられるのか
と言う驚きを見る楽しさ。
素敵ですね。
ここには並大抵じゃない努力があるそうです。マグロなどは一本買いをしてあます所なく
使う。ITを活用して徹底した予想をして廃棄率を削減する。ちなみにスシローは廃棄率
は4%なんでそうです。これは立派です。ITのところは回転寿司業界そのものと言う気が
します。お客さんの動向を読んでどのレーンに何を流すか。早すぎても遅すぎても無駄
が出る・・・これに見事に対処しているスシローは流石でした。まだスシローの違いがあ
りましたね。工場でカットして来ない『店内調理』に拘っているのでアルバイトさんがたく
さんいるそうです。スシロボットよりもアルバイトさんに調理してもらっている。この辺も
好ましく思いました。
スシロー豊崎社長は原価率の高さを悪とは思っていませんでした。
売上高1位だけれども経常利益は1位ではない。村上龍さんが笑いながら悔しくないで
すか?と豊崎社長に聞かれました。豊崎社長は笑いながら『やっぱり利益は欲しいです。
だけど商売は短期決戦ではなく長期決戦です。他社を見るのではなく、お客さまに主眼
を置いて戦うものだと思っていますよ。』 なかなか言えない言葉だと思います。
スシローを語るに欠かせない人物として『ユニゾンキャピタル』から専務になった加藤
専務のお話しがありました。経営コンサルタントとしてユニゾンから送り込まれた加藤氏
が元々スシローにあった職人気質と調和して会社を改革して行った。加藤氏は外部の
人もどんどん取り込んで『チームスシロー』を作り、どんどんと改善をして行った。いわゆ
る『PDCA』を地道にやって来たんですね。『職人+経営のプロ』・・・考えたらとても良い
組合せ。他にないオンリーワンがスシローにはあったんでしょうね。
さてここからは未来のお話し。加藤専務はスシローの未来に危機感を覚えると盛んに
いいます。なぜか。スシローなど回転寿司の大型店は賃料の安い郊外型が主流だった。
スシローで年間30店舗。他社を含めると年100店舗はころんな郊外に出店する。これか
ら先5年で、もう出店エリアは飽和状態になるゾと言う危機感なのです。
スシローはしっかりと自己分析・マーケットリサーチが出来ていて偉いですね。
龍さんは『前向きな危機感』であり改善し続ける事で『また来たいと言うお店』を創ろうと
していると評しておられました。
ラストで豊崎社長は『商売だけに力を入れるのではなく、地域貢献に力を入れる』と
サラッと『三方よし』のお話しをされていました。良い会社です。
この番組で初めて知りましたけれど、『スシロー』の本社は私の実家の大阪府吹田市
江坂にあるんですね。今度帰省したらちょっと見学に行ってこよう
閑話休題。
龍さんは『回転寿司は食の革命』であり『寿司を一般の人に開放した』。ネタに妥協し
ない職人と、エリート達がこの革命を支えている。
龍さん、スシローを評して・・・『最高にハッピーな革命』だと。素晴らしいです。
顧客に喜んでもらうために他社よりも原価率を上げて、言い換えると利益を削って
おいしいものを提供する。そしてそれを喜ぶ消費者を見て、自分の喜びとする企業。
『三方よし』の精神を徹底して守り、浮利を追わない精神・・・この他『近江商人』の精神
に共通する経営方針が随所に出ていました。
『ユニゾン』が出てくるクダリは経営危機だからこそです。前回の『モリタ』(消防車)の
回で言われていた『利益が無ければ経営は出来ないが利益が無ければ会社は永続でき
ません。しかしながら利益をただ産めばいいと言うのでもない。利益を産み出す為には目
指すべき目標(経営理念・社是)があってその方向に進まなければ意味がない』これと
同じ発想ですね。原価率が50%と薄利でもお客さまから支持を受ける事を喜びと感じよ
うと言う精神です。
まさに『スシローおそるべし』ですね。
今は順風満帆ですから問題は無いですが消費者から飽きられた時に、引き続き信念
を曲げずに筋を通すことが出来るか否か。『チームスシロー』が力を発揮するかどうか
を見守りたいと思います。
もっとも『チームスシロー』が消費者からスシローが離れて行かない施策を採り続ける
のかも知れませんがね。
『経営』としては基本を、王道を行く素晴らしい企業だと感じました。
以前『スター君』がスシローに大いに感銘を受けていたのを思い出しました。その気持
ち・志を持ち続けて頑張って仕事に励んでほしいと思います。仕事に励むとは、まずは
お客さま目線で奉仕をする事ですね。それが利益となってかえってくる。
間違っても自己の利益のみを追求してはいけません。商いとはそういうものだと思い
ますがこの気持ちを持ち続ける事は案外容易ではありません。楽して金儲けは出来な
いんですよね。短距離走ではなく出来れば長距離走の選手で有って欲しいと思っていま
す。
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