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カンブリア宮殿・・・元外交官 薮中三十二さん

 今回のカンブリア宮殿は前外務事務次官の薮中さんです。小泉首相の時に北朝鮮問題

で随分テレビに出ておられた人ですね。

 大変な熱血漢で優秀な人との評価でした。(北朝鮮の問題の時は、もうちょっとマイナス

イメージで北朝鮮に言いくるめられた人と言う報道ではなかったかな?)

 カンブリア宮殿では『ユニークな経営者』が多く取り上げられますので、今回の外交官も

前回のお医者さん同様、『見て良かった』または『見たい』度合いはちょっと少ないか

な。

 外交とは交渉です。言葉は違えども双方の主張をうまく落とし所を見つけて事を運ぶ

お仕事です。『交渉』と言う事であれば、日々の我々の仕事、殊に営業の仕事に共通

しますね。

 言葉・文化は違えども、『ロジック』は世界の共通語であり、論理的な話しをする事と

言うのは不可欠だ・・・と言うのが薮中さんの主張です。

 言葉の壁、文化の壁はケースバイケースで出てくるが、キチンと『ロジック』を組み立

てる事とその上で、当方の主張をする事・・・それは自分を裏切らないのでしょうね。

相手にも最も伝わり易い姿なのだと思います。

 外務省では語学は1年目は省内で、2年目からは海外で語学研修があるとの事。実に

44カ国の言葉を勉強しているんですって。私などは英語が出来ませんから、タダで語学

が勉強できるのならばそれだけでも外務省に入ったら良かった と思いますが・・・。

学生諸子、こんな事も知っておくと良い就活ができますね。

 ちょっと脱線しました。

 小池栄子さんが大胆な質問をしておりました。

 なぜ大使館には高級なワインや一流のシェフが居るのですか?

 こちら側からの招待で大臣などを招いて食事をしワインを振る舞う。2度3度とやる

  内に気心が知れて来て、招かれた側でもいろんな発言をしてくれる様になるんです。

  日本料理は世界各国で注目されていますからとてもいい環境です。

ふ~ん。と思います。普段の我々の接待と一緒です。違うのは金額だけですね。

 ここにも費用対効果と言う発想は取り入れて欲しいと思いました。(貧乏根性ですね)

 さてここからが本題と言うか・・・外務官僚にはもう成れないですから、一般論を知りた

い訳ですので・・・。『交渉』についてです。

 『交渉は人と人』つまりは『信頼関係をお互いが築けるかどうか』です。

 あれっ、偶然昨日のブログで書いた事ですね。

 日米構造協議の日本の弱腰外交のお話し、フコクと言う会社の英語がバリバリに

出来る営業さんでアメリカや中国と商談をしているのですが、どうしてもストレートに

要求してくる交渉に負けてしまうと言うお話しが『挿入』されておりました。

 ここで『交渉術』のセミナー(3時間で3万円もするらしいです)のお話しがありました。

 双方の真ん中を取って50・50で分けましょうか と言う妥協型の交渉。日本人は

得意です。欧米では最もダメな交渉とされるそうです。妥協する前にもっと知恵を絞っ

てキチンと要求をする事が尊ばれるんですって。なるほどなぁと思いませんか。

 やっと薮中さんの再登場です。

 薮中さんが言う交渉術とは・・・

①相手が何を狙っているのかを見極める

②相手が交渉と結論を急いでいるかを見極める

③相手の人柄、力量を見極める

 以上です。

 えっ、それだけか?と思いましたが、まぁこれをどれだけ精度を上げて出来るように

なるかと言う事なのでしょう。

 アイツに言っても仕方が無いとか、コイツは交渉が出来るなと思わせるとか・・・

ハッタリも含めた姿を見極めなきゃダメだし、こちら側は相手から見透かされてもダメ

な訳です。

 そこで大切になるのが・・・①ロジック(論理的な組立)と説明する力、②素養として

哲学や文化を学ぶ事・・・だそうです。なるほどこれはその通りです。哲学や文化の

知識はその人のオーラ(雰囲気)を創ります。アカデミックな素養がロジックを構築す

ると言う事なのかも知れません。

 交渉術については以上で終わり、後は日本の世界貢献についてのお話しでした。

 日本のODAについて。貧しい国に平和貢献をしている。学校や教員養成のお手伝い

をJICAが40年以上地道にやっていると言うお話しがありました。その横で今やお金持

ちになった中国が我が物顔で金をばら撒いて資源外交をやっていると言う姿も放映さ

れていました。

 どちらが良いのか・悪いのか。中国はいかにも成り金的でえげつない。

 ただ薮中さんは今まで物凄い額のお金を世界中にばらまいて来たけれどもその目的

は世界に友人を創るためと言っていました。それならば現時点で見て、短期間でドバッ

とアコギな投資をする中国と、コツコツと長時間に渡って援助をして来た日本(期間が

長い分相当投資をしていますね)・・・どちらがより効率的なのか?と言う事が気になりま

す。日本のODAの実態を国内外に知らしめなきゃダメだと薮中さんは言っていましたけ

れど、それには賛成します。

 目的とそれに必要なコスト感覚が外務省には無い気がする。コストをかけるのであれ

ばもっと具体的な目標を掲げるべきではないか。

 世界中で保育園を創るのであれば、日本にも保育園は不足しているのだからまずは

日本の国内に創れと言う指摘があると言っていました。その通りだと思います。

 ODAの0.29%しか遣っていないと言っていました。最大値からは40%も減ったと嘆いて

おられましたが没落地主の嘆きの様な気がしました。それでも『貢献』したい・・・しなきゃ

ダメと薮中さんは考えているのでしょう。財布を知らずに使うばっかりの発想に感じて

ちょっと私には受け入れられませんでした。『林原』さんの問題がパッと頭に浮かびまし

た。類人猿の研究をとても熱心にやっておられたそうですが、会社を潰してまでやる事

なのか?この意識です。ODAも無駄だとは思いません。ただODAの額を増やすならば

どこかでお金は削ろうよ。ワインの本数だって減らしても良いのではないか・・・。そう言

う検討があってしかるべきですね。

 薮中さんは前外務次官ですから、国民に公共の電波を使って『もっと外務省にお金

を廻して』と主張している様でした。現在、国民が怒っている省庁の中で1・2を争う外務

省です。外務省は何をやっているのか?と領土問題では常にそう思います。弱腰外交

をやっているのは外務官僚の能力の低さだろうとも思います。

 大使なんてアホちゃうかと思います。更迭された前のロシア大使なんかおかしいです

よね。

 お金を要求するのであれば、もっと自身の身を正してキチンと仕事をしなきゃダメで

す。ロジックが破綻した外務省擁護の大甘発言が多かったのでちょっと残念な回でした

ね。

 薮中さんは優秀だったのだろうと思います。ただ組織の弱体化がこれだけ顕著だと

前外務次官と言う色眼鏡で見てしまう部分があります。国民は外務省には怒っている

のだから、もっと番組で切りこんでも良かった様に思います。薮中さんは全面的に今の

外務省を素晴らしいと思っている様な発言に終始されておりましたのでちょっと残念に

思いました。

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