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カンブリア宮殿・・・レストランオーナー 森本正治さん

 今回のカンブリア宮殿は『料理人・森本正治さん』です。

 アメリカ等、外国で有名なレストランオーナー(和食)で現在7店舗を経営しておられるそう

です。1店舗当たりで年間10億円を売り上げる、人気があって予約がなかなか取れないお

店『モリモト』のシェフ兼オーナーです。

 さてこの方、料理人だけにアクの強い方・・・ なんて私見は置いときましょう。

 龍さんのナビゲート・『破壊のススメ』として番組を見て欲しいと冒頭に龍さんが発言され

ました。

 ニューヨークで和食店は1400件もあるそうですが、『モリモト』には入口に15mののれん

がかかっていて、安藤忠雄さんデザインの店内も全然『和テイスト』ではありません。

ただ寿司から刺身までを取り扱っていてコースはお任せで1万円~の値段なのだとか。

ふ~ん・・・と言う感じでココは記憶しておけば良い所です。

 森本さんは高校球児→寿司職人の道を歩き、1985年渡米します。アメリカでも和食の

料理人として経験を積む中で、日本の番組『料理の鉄人』のアメリカ版で『和の鉄人』と

して人気を博して行ったそうです。アメリカのレストランオーナー曰く、『モリモトなら10億

かけても元が取れるシェフ』としてぜひタッグを組みたいと人気があるとの事でした。

 新規店舗の出店での訓練ではガンガンと若者を罵倒していまして、気持ちいい位です。

 人を育てるのに一生懸命であり、若者達もそれを感じられる良い青年たちでした。

 人を育てるのは難しいですが、若者たちの料理をお客さんは食べに来るんだと訓示し

ている姿が素敵でした。双方にリスペクトがあるって良いですね。

 森本さんが面白い事を言っていました。レストランにおける食事の評価は30%位しか

ないんです。残り70%は予約の電話から始まって店員の応対やら、お客さんの体調・

その日の気分までいろんなモノによって左右されます。ただ30%しかない食事の評価

には一切の妥協はしませんよ、と。『おいしかったよ。』も嬉しいですが、『初めて食べに

来た』と言う言葉はもっと嬉しい。(この辺から『破壊のススメ』が出て来ます。モリモトの

真骨頂です。) モリモトのお客さんに占める日本人の割合は2%。500人に10人しかい

ません。それ故に『どうしたらアメリカ人に受け入れられるのか?』を常に考えています。

食材は週2回、築地から魚を空輸させ、マイナス80度で冷凍できるフリーザーで保管し

ているそうです。お米も玄米で保管し、炊く前に精米するのだそうです。材料は良いモノ

を徹底して揃えています。ここまではライバルも同様のコダワリを持つ所もあるでしょう。

 ここからが『モリモト流』です。

 和食を『アメリカ人が食べ易い様にして提供する』事にもコダワルのです。

 例えば 刺身<カルパッチョ・・・醤油とワサビよりもオリーブオイルテイストの方が

 受け入れられやすいしイメージもしやすい。森本氏が若かりし頃、味噌汁を出すと味

がしないと怒られた事が何度もあった。☞味噌汁が時間の経過で味噌が沈殿するのが

なかなか理解されず不完全なモノを提供していると思われた事が原因。ファーストインプ

レッションがとてもアメリカでは大切なんだと覚ったそうです。

 モリモトで人気のある『タコヤキ』は、アワビ・ロブスター・フォアグラなんですって。

 タコヤキは食べやすいけれど、タコはアメリカではメジャーな食材ではないので具を変

えて提供しているんですね。人気の天ぷらは『パイナップル』なんですって。白ワインが

合うと言っていました。

 これを和食ではないと言う人もいるかも知れませんが、和食『ぽい』でいい。海外仕様

にして現地の方が食べて見ようと思って貰わなければ話しにならないんだ。

 生魚はアメリカではまだまだ敬遠される食材です。ただ美味しいのは間違いがない。

 そしたら手口を使ってまずは食べて貰う事です。最終的にはマグロのブツを醤油とワ

サビで食べて貰おうと思ったら、まずは口にして貰わなきゃ・・・。そう森本さんは語って

いました。

 村上龍さんは、『それはアメリカに媚びているのではなく、啓蒙ですね。』と笑っていま

した。媚びようと思えばパフォーマンスで良いのだけど、決してそうではないんですね。

森本さん『現地の人と何かを学ぼう』『現地に学べ』と言っていました。

 レストランモリモトではお客さんを招待して『寿司教室』なども企画されています。

 寿司の巻きモノで『裏巻き』はアメリカでは黒い食べ物が嫌われるので、海苔を中に

巻いて外はゴマなどを振ったのが始まりなんですって。ちょっとしたウンチクですね。

 寿司ブームから30年。モリモトは現地化させるために、日本食の伝統を壊し続けた事

で今を築いたと紹介されていました。CIAグレイストン校と言う名門の学校で和食の大御

所が集まって講義をする機会があり、森本さんもアメリカ代表として講師に招かれていた

そうです。彼の講義テーマは『日本食の未来』だったそうで、子豚の丸焼きから春巻きを

作って絶賛されていました。(和食ではないですね)

 龍さんが面白い事を話していました。

 『吉兆が好きで年に何回か行くのですが、吉兆には吉兆の良さがあります。ただ価値

観の違う人には、その吉兆の料理を【良いモノ】として出すのは傲慢さがありますね。』

 森本氏『オーソドックスと言うのは実はとても良い組合せを時間が証明しているのです。

だけどそれを1回壊して考えて見るんです。』(現地化、アメリカ人の口に合わせるには・・)

『こんなものは和食じゃないと言う人も居ますが、言いたい人には言わせておけば良い。

お客さんが入って居なければ、いくら評価が高くても負けだと思うんです・・・。』と笑う森

本さんでありました。

 龍'S アイでは・・・『和食の革命児は非常にシャイな方で繊細な神経を持ち、食材と

調理法に対して謙虚でリスペクトの念を持っていた。伝統を守るのも大切ですが、破壊

と創造もまた大切だと思う』と言う言葉があり、『破壊と創造』が最後の文字で出ました。

 森本さん、先にも書きましたけれど『アクが強い』方で私はちょっと苦手です。

 ただお客さま目線でモノを考え、売る側の価値観(例え和食の伝統であろうと)を押しつ

ける事はしないと言うのは今の多様化した価値観の中での商売の王道であり、先日ここ

で書いた『大阪での三越伊勢丹開店、大阪百貨店増床競争』や『越谷レイクタウンアウト

レットモール』に対して、あまりに『売り手』の論理だけで商売してはいませんか?と言う

私の疑念を森本さんが30年をかけてアメリカで成功した経験として語った事と合致して

いる気がしました。和食の伝統を守ると言う事で日々の仕事が形骸化したら、硬直化

したらアカンのです。流通業・殊に百貨店的発想は『伝統』と言う名のもとに時代から

取り残されているんじゃないですか?森本さんはアメリカを相手に和食を広げる努力

をした訳ですが、日本の消費動向を相手に『伝統』と『増床』と言う箱の部分で勝負し

ても始まらないよ・・・と言う問題提起に感じました。

 何も『百貨店』だけじゃないです。『消費不況』と言いますが、それでも売れているモノ

はある。それは提案型の商売なんだと思います。(ニトリがいい例)

 提案型は大変だし、時として反感も買うでしょうが、それはそれ・・・消費者が判断すれ

ば良い訳です。『伝統』に胡坐をかいて楽していてはダメなんですよね。

 我が不動産業界でも『アパート・マンションは作れば借り手が現れる時代はもはや過去

のモノで、何を訴えるのか・・・』と言うのが大切な時代になりつつあります。

 地主さんの遊休地の活用と言うレベルでなく、『経営』が必要なんです。ひと口に経営

と言ってもイロイロです。凌ぎを削らなきゃダメな時代なんですネ。

 大変だけど、大変故に、努力と工夫次第で、大きなチャンスが生じる世の中になった

と言う事かも知れません。

 時代の流れを早く掴まえ、出来るだけ上手にその流れに乗る事が大切な時代が到来

している訳であり、常に乗り続ける事もまた難しいのかも知れません。

 焼肉屋さんで出た食べ物を食べたらあちらに逝ってしまう世の中です。(あの焼肉屋の

社長さんは随分軽薄なイメージを会見だけを見ると感じます) 焼肉屋さんは悪い方の

典型ですね。随分チェーン展開をしていた様ですが、砂上の楼閣となりそうです。

 あくどい商売をしても根が張りません。信用信頼は一日にして成らずです。

 30%の為に最高の食材を揃え、最高の調理法を工夫する努力を売ると言うのがやは

り『商売』の唯一無二の王道なのでしょうね。

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