カンブリア宮殿・・・ cgc グループ代表 堀内淳弘さん
今回(23・6・16)のカンブリア宮殿のゲストは cgc グループ代表・堀内淳弘さんです。
cgc グループと聞くと私にはなじみがあります。学生までの間、大阪に住んでいましたが
近くのスーパー『ノダヤ』さんで四六時中、『あなたも私も cgc ・・・』と言う歌が流れて
いましたので嫌でも記憶に残っていると言う感じです。
だからだいたい cgc ってどんな会社と言う事は知っていました。
さてさて・・・。
cgc は売上で4兆円、イオンのスーパー部門よりも大きな売上を持つ企業です。
中小スーパーの共同体として①商品の共同配送、②商品の共同調達を役割を担って
います。経理部門から青果等の専門のバイヤーを持とうとすると年商300億円はないと
組織は創れません。だから中小のスーパーが大手に対抗するために cgc が必要になる。
実際、200人のスタッフが全世界から商品を買い集めているそうです。
cgc は板橋の『三徳』と言う中小スーパーが、近隣に出来た大手スーパーに対抗すべく
10社の連合体から始まった組織で今や227社の集合体なのだとか。
躍進のきっかけはオイルショックで、紙製品がなくなった時でも cgc ではキチンと商品
を確保していたそうです。
番組では cgc がタイに作った鶏肉加工工場のシーンが流れました。2400人のタイの人
が働く工場で衛生面も含め世界最先端の工場だと堀内代表がお話しされていました。
cgc のプライベートブランドは1300品目あるそうです。価格は2~3割安く価格設定され
ています。中には日清キャノーラ油やキューピーマヨネーズ、はごろもシーチキンなどの
商品もあってお馴染のパッケージに cgc の名前が入っているモノもあります。ビールなど
もサントリーの名が入っている cgc にしか置いていないブランドなどもあるそうです。
PBと言うとどうしても『もどき』商品で味も一・二歩劣るモノが多い中で、良い動きをされ
ています。堀内さんは cgc では『安心・安全でおいしいもの』に『安さ』を意識した商品作り
を目指していますとお話しされていました。
227社のスーパーの意見をまとめる事って大変じゃないですか?と龍さんが尋ねました。
cgc のトップ会が毎月1回以上あり、227社の社長が集まるそうです。本部に集まるモノ
だけで年間480回も会議があるらしい。売上の規模こそ違え、それぞれが一国一城の主
です。惣菜の開発会議などでは地域ごとに味覚や嗜好が違うのでなかなか意見はまとま
りません。それぞれの会社の惣菜のプロが発言をします。もちろん味のことになると各社
ともに譲りません。意見はなかなかまとまらないけれども最終的には多数決で決済され
るそうです。100%でなくていい。80%の意見がまとまればゴーなのだそうです。
龍さんは『なんだか面倒くさそうですね。』絶対まとまらないでしょう・・・と笑っていました
が、堀内さんは100%でなくていい。100%であればフランチャイズになるが、個々の店を
尊重しながらゆるやかな連合体を目指しています。規制をしていたら今みたいな数の
企業は集まらなかっただろうとお話しされていました。
求めているモノ、目指しているモノが違うんですね。早い意思決定も時には必要なので
しょうが、227社それぞれが同じ目標を持って一国一城の主として判断する事こそ強みだ
と言うのはなるほどなと思います。
『良く集まってみんなで話し合って1つ1つ決めて行く。体は違っても心は1つなんだ 』
こう言える為には自社オンリーの精神ではダメですし、『自分のモノは自分のモノ。他人
のモノも自分のモノ』と言う自己愛ばっかりの社長さんが居てはダメですね。それぞれの
社長さんの精神が鍛錬されていないといけないです。ココが難しい点でしょうね。
番組では cgc の代表として堀内さんがニッスイに乗りこんで『賞味期限の延長の直談
判』をしているシーンが放映されました。期限が2年過ぎた缶づめを開けてニッスイの
社長と堀内さんが食べています。全然おいしく食べれるじゃないですかと堀内さんが
言いますと、ニッスイの社長さんもそれはそうですよ。中身は全然大丈夫です。ただ
『食べれるかどうか』でなく『おいしく食べられるか』と言う事を考えなきゃいけないとの
ご返答でした。業界では1/3ルールと言うモノがあり期限3年のモノですと、メーカーが
保有していられるのは1/3の1年以内。小売も同じく1年なので都合2年まで。残りの1
年は消費者の家庭に置く期間と計算され、それを超えると保管出来ないとされている
のだそうです。cgc はそこを見直して期間を延ばすことで商品を震災等に備えて備蓄
したいと主張されていました。まずはPBででもキチンと科学的に調査して安全には考
慮しながら基準を造ろうとしているとの事でした。ここは頑張れの思いです。
消費者の皆さんも缶づめなどであれば期限を見て捨てるのではなく、一度自分で確
認してダメだと判断したモノだけを捨てる様にしてほしいと堀内さんは語って居ました。
震災後、カンブリア宮殿では『震災』についての話しが入ります。
今回は『マイヤ』さんと言う cgc グループのスーパーと cgc の関係についてでした。
被害にあった時にも皆で助け合おうと言う精神があり、地震マニュアルもちゃんとあり
ます。マイヤの社長さんは震災時東京に出張中でしたけど、翌日には地域で必要になる
食材はちゃんと届いていたそうです。地域の人のライフラインとしての役割をキチンと果
たしたと社長さんも胸を張って居ました。
だけど被災した店舗は数多く、パートさんは解雇し、社員さんに関しても休業補償にし
ていました。トップが集まる会議の席上、堀内さんが支援を呼びかけますと物資だけで
なく、人材も引き受けるよと言う話しが出ていました。これは素晴らしいし、社長としても
嬉しかったと思います。まさに『体は違えども、心は1つ』ですね。
世の中に大手に対抗するための集合体はいろんな業界に数あれど、『心が1つ』な
組織はあまりないんじゃないですか?欲が邪魔するし、我が我がと自分だけ前に出よう
とする組織がいっぱいありますから・・・。
227社の絆が素晴らしかったです。
編集後記として村上さんのショートエッセイです。
『大きい事はいい事だ』と言うのは既に死語だ。だから食の安全などには相応の企業
規模が不可欠と言う cgc の理念はまさに目から鱗だった。だが疑問は残った。独立した
会社がそれぞれ利害を越してまとまるのは不可能ではないか。『話し合いしかないんで
す。』堀内さんはあっさりそう答えた。真実はいつもシンプルだ。生き残る為にスケール
メリットを追求した組織のトップの言葉にふさわしい『シンプルな言葉だった。』
今回は面白かったですね。
どんな業界でも『大手 vs 中小』の戦いはあり、常にスケールメリットは大手にあります。
我が不動産業界でも大手は強いですもんね。中で働いている人そのものはいい加減な
仕事をしている人も随分知っていますが、消費者にはなかなか伝わらない。そこで中小
は工夫をしなければならなくなります。その工夫の仕方として何をどうするのか・・・と言う
事ですね。フランチャイズではなくもっとゆるやかな集合体を作って、それぞれの社長の
意見を大切にし、それこそが組織の強みだと主張できるところは不動産業界にはまだ
無いと思います。各社長の徳も大事ですね。cgcは全国で227社、関東では成城石井や
Olympicが加盟しているそうですが、なるほど個性的な企業ですね。
こういう組織の運営もまた面白いのでしょうね。
メーカーに売れ筋商品を直接発注など規模的に出来なかった中小スーパーが集合体
になる事でPBブランドとして単に商品を取り寄せるだけでなく価格的にも2~3割下げて
うれる様になる・・・。そして社会的な役割として今回の震災で地元のお客さんのライフラ
インとしての役割を全うしたと言う事実は素晴らしいと思います。
世の中に必要な仕事であれば、今回みたいな非常事態でも出来るだけ早期に平常に
戻すこと、そして雇用も含めた責任を果たすことをしっかりと考えているのは凄いですね。
私にも大いに参考になった cgc さんでした。
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