« 暑いね~ 敷きパッド研究の巻き | トップページ | 埼玉県熊谷市で6月なのに39.8度ですって・・・ »

カンブリア宮殿・・・東海バネ工業 / 渡辺良機社長

 カンブリア宮殿は面白い企業を見つけて来ますね。

 売上高で16億円。全国に星の数ほどある規模の会社です。そんな中から選ばれた『東

海バネ工業』さんです。

 村上龍さん、番組冒頭からハイテンションでした。そしてそれが視聴者の私にも伝わり

ました。アッと言う間の60分でした 

 東海バネ工業は何を作っているのか?

 社名にもある通り『バネ』を作っている会社です。バネを作って売上16億円?フツーの

会社の様ですが、普通の会社ではありませんでした。 

 何が違うのか?

 モノ作りの技、職人の技のレベルが違うのです。

 例えば『スカイツリーの制震構造』のキモであるバネ(三菱重工製)や火力、原子力発

電所で使われているバネなど『東海バネ工業』でないと作れないバネを納品している

企業なのです。原子力発電所に機械を納めている会社さんが東海バネ工業さんのバ

ネがなければ受注出来ないし、受注しませんよ・・・と言わしめる匠の技があるオンリー

ワン企業なのでありました。

 工場は私の実家豊中市のお隣の町『伊丹市』にあるそうです。渡辺社長は大学を卒

業して後継者として東海バネ工業に入社しますが、職人さんの頑固さに、そして経営

状況にアップアップの毎日を過ごし、もう逃げたしたい気分だったそうです。それを転

換させたのは業界団体で行く欧州旅行。ドイツのバネ工場を見学した際、立派な技術

に感銘を受け、ドイツの会社の社長さんに『値引き』のお話しをした所が、値引きして

売るなんてとんでもない・・・と言う発言に衝撃を受けます。そして帰国後『大量生産との

決別』をする。

 国内のバネの85%は大量生産品なんですって。東海さんは残り15%で生きる選択を

した訳です。構想4年、1億5千万円をかけて大型のバネを作る機械を作ります。

 大量生産との決別と言う事は『多品種微量生産』を突き進んで行くと言う事です。手作

業・手仕事でいろんな所から来る受注に応えているそうです。1回の平均受注高は5個。

それでも68期連続で黒字経営をされています。利益率も10%超と言いますから同業他

社比では抜群だと思います。

 ドイツで目からウロコだった『値引き』への対処。そこから大量生産との決別をした東

海バネ工業さんは『絶対値引きをしない』そうです。

 それは・・・『お客さんのいいなりになっていたらアカン。適正価格で買っていただける

事が大切だ。』と言う精神です。自分の会社が創る付加価値。技術を適正かつ謙虚に

評価し、『価格』に自信を持っている。これがモチベーションを上げるのでしょう。『職人』

が『匠』にランクアップする際に必ず通る道なんだと思います。

 ボッタクリではないんですよね。『適正』なんです。

 と言うのも東海バネ工業さんではHPで新規顧客獲得に向けたIT化を早い段階から

やってきたそうです。番組で取り上げられていたのは個人のお宅の玄関ドアの錠。

中のバネが壊れたのでメーカーに問い合わせるとバネのみの交換はできないので

ドアごと交換して下さいと言われたそうです。お値段4万5千円也。そこで東海バネ

工業さんのHPからこんなバネを作って下さい・・・と1個のバネの発注をした。なんと

6,300円でちゃんとバネを1個のみにも関わらず作ってくれてその扉は治った と言

うシーンが放映されていました。1個6,300円でも決して高くはないですよね。

 ここで偉いなぁと思うのは、新規顧客の獲得をキチンとやっている事です。技術力の

ある中小企業はたくさんあります。そしてグローバル化の中で規模のメリット上、嫌々で

も多品種微量生産をやっている企業が大半だと思います。その中の大半はジリ貧にな

っているのではないでしょうかね。新規顧客の獲得がなければ技術力が活かせられなく

なっていくのです。東海さんの偉い所は30年前に大量生産と決別した事により、お客さま

と『価値を認めていただく為の戦い』を繰り広げていたからこそ・・・大半の企業が悩んで

いる負のスパイラルに陥らなかったと言えるのだと思います。

 付加価値を高める事は、コスト削減よりもはるかに難しい事ですと渡辺社長。双方経

営には必要な事だと思いますが、私はそれを比較した事などありませんでした。そして

 閃きました。裏返せば経営者は簡単だから『コスト削減』を叫びがちなんでしょうね。

経営者は付加価値を高める・・・つまりは売上そのものの価値を高める行動の方が難し

い訳ですからより高い比重を付加価値に傾けるべきなのでしょう。 

 今回のカンブリア宮殿は面白いし、勉強にもなりますね~。 

 そして渡辺社長は『職人の誇り』を大切にしておられます。誇りを大切にするからこそ

値引きはしないとも言うのでしょう。日本の製造現場は弱っているとよく言われます。

それには『マニュアル化』『標準化』が災いしているのではないか。マニュアル化と言う

のはつまりは世界中どこででも作れる様にする事を意味する。東海バネ工業さんが決

別した大量生産の道はどちらかと言うとそちらに向かっていくのでしょう。でもそこには

職人の『誇り』はないんじゃないのか?

 渡辺社長は『啓匠館』と言う普通の工場を作る1.5倍の費用をかけて工場を作ったそ

うです。その工場の玄関には『東海らしく』と言うプレートが埋め込まれていました。

 バネを作る職人が誇りに思える工場を社長が作った。そこで働く人は匠の中の匠だ

そうで、事実『現代の名工』に選ばれている人が大きなバネを1ミリ以下の単位で修正

している姿があり、それを若い職人から20年超のベテラン職人さんまでもが背中を見て

学ぶ姿がありました。手間暇かけたモノ作りを肯定し、職人の技を大切にしている東海

バネ工業さんは素晴らしい企業だなと思いました。啓匠館で仕事が出来る事は職人の

誇りなんです。そしてそこで働く人達の輝いていた事たるや・・・ 

 まだありますよ。そんな東海バネ工業さんですから同業他社比で年収は100万円ほど

多く、かつ遊休消化率も100%。消化できていない職人さんが居ると言う事は管理職が

管理が出来ていないと評され、職人さん同様叱られるんですって・・・。

 いい会社ですね 

 さて、去年入社した職人さんの卵にもスポットライトがあたっていました。

 マスクをして機械を操作しながらバネを作っておられます。神戸大学機械工学科卒業

なんですって。他にも近畿大学の工学科の卒業生もインタビューされていました。去年

は数百人の希望があり、5人の方が採用されたかなり狭き門なんです。

 工学科に進まれたと言う事は元々そう言う希望だったのかも知れませんが『職人』に

なりたいとキラキラした眼で語っている姿が感動でした。楽しく未来を思いながら仕事が

出来ている若者って実は案外多くないと思います。

 作業をしている青年に、社長が、『こんな姿をみたら親が嘆くのじゃないか・・・』と冗談

で微笑みながら話しかける社長と、ドキマギしながら『いえいえ 』と答える青年の

姿がまた素敵でした。親方と弟子。私はそうして学んで来ましたのでとても素敵な会社

だなぁ~と感動しました。

 この若者の未来を応援したくなりました。

 渡辺社長は語ります。

 『モチベーションがどうしたら上がるのかを考える。顧客満足度よりも従業員満足度が

 大切で従業員の生活を犠牲にして成り立つ顧客満足などあり得ない。それではモチ

 ベーションが上がらない。』従業員満足度があるから顧客満足度が上げられる・・・と

 言う良いスパイラルを作りたいと。

 従業員の生活を犠牲にした経営は長続きしないんです。値引き時代の反省を込めた

 戒めなんだと思います。そして日本の大半の企業は長続きしない側に立っているの

 ではないでしょうか?

 番組結びの渡辺社長の言葉です。

 『付加価値を作れる職人になれ。誰でもいい。来たヤツをピカピカに磨く』 

 職人の親方として最高の姿勢だと感銘を受けました。

 今回は渡辺社長の言葉、哲学が際立っていましたので村上龍さんのショートエッセイ

が霞がちでした(龍さんごめんなさい)。

 『経営には奇策も裏技もない。社員のモチベーシヨンを10%上げたら業績は上がり

 逆に10%下げたらすぐに会社は傾く。渡辺さんの言葉は厳しい。じゃあどうやってモチ

 ベーションを上げるのか?答えは『寝ずに考えろ』だった。

 他企業の真似をせずに自らの強みと弱みを知る。実はこれほど難しいことはない。

 だがそのむずかしいことに挑戦しない限り、生き残れない。精密で強靭でかつ弾力

 性がある、まるでバネのような渡辺さんの経営哲学である。』

 面白かった  そして勉強になった  カンブリア宮殿らしいエッジの効いた

回でした 

 

|

« 暑いね~ 敷きパッド研究の巻き | トップページ | 埼玉県熊谷市で6月なのに39.8度ですって・・・ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カンブリア宮殿・・・東海バネ工業 / 渡辺良機社長:

« 暑いね~ 敷きパッド研究の巻き | トップページ | 埼玉県熊谷市で6月なのに39.8度ですって・・・ »