カンブリア宮殿・・・レストラン・エクスプレス / 江見 朗 社長
今回(23・7・28)のカンブリア宮殿は、レストラン・エクスプレスの江見社長がゲストです。
『レストラン・エクスプレス』? 知らないな~と言う方も『銀のさら』と言う宅配寿司なら
ご存知ですよね。魅惑のチラシで250億円の売上を上げている会社です。
銀のさら以外にも、釜寶(宅配釜飯)、上海スクエア(宅配中華)、あげ膳(宅配とんかつ)
CURRY CARRY(宅配カレー)を営んでいる企業です。宅配寿司のシェアは48%、リピート
率はなんと70%もあると言うから大したものです。
飲食店の成功の大きな秘訣は立地ですが、宅配屋さんには立地は関係ありません。
裏路地で全然OK!
一般飲食店の人経費率は30%が基準との事ですが、宅配だとどうしてもデリバリー
の要員のコストが乗っかります。半径2キロのエリアをカバーしようと思うと・・・。
そこで上記の業態をミックスして1店舗で複合させることで効率を高める努力を行い
経費を抑える努力をしているそうです。この複合店舗、宅配屋さんにとっての生命線
のチラシのポスティングも同時に複数の業態のチラシを捲ける訳ですから効率は良く
なりますわね。
さて、江見社長。どんな人物かと言うと1985年にアメリカに留学し、アメリカでアルバ
イトとして寿司職人をした経験があったそうです。日本に帰って来て始めた商売はサン
ドイッチ屋。最初こそ売上はあったけれどもだんだんとじり貧になって行ったそうです。
その頃流行し始めたのが宅配ピザ。そこで宅配寿司を思いついてスタートさせた。
最初はなかなかうまく行かなかったそうです。それもそのはずで当時の宅配ずしは
美味しくなかった。チラシの写真とは『別物』が届き、おいしいと言えたものではなかっ
たそうです。そこで江見さんは『改革』をする。
①後悔させない宅配寿司⇒ チラシと寸分違わぬ寿司を届ける。がっかりさせては
ダメなんだ・・・頑なに守ってリピート率7割にまで成長させた。
②ネタの満足感⇒ドデカねたで満足感の演出をしているそうです。マグロだと1枚17
グラムのネタなんですって。
③美味い解凍⇒高電磁波解凍機とか言う機械を使って生に近い感覚で解凍出来る
機械を全店舗に導入しているそうです。これを使うと冷凍の魚から水分が出ないで
解凍できるらしいです。それ故に鮮度に違いが出て味も違ってくるらしいですよ。
村上 龍さん、江見社長を評して、ギラギラしたものを感じさせない、カンブリア宮
殿にはあまり来られたことの無いタイプの人ですね、と話していました。
ここで江見社長の理念である『怒らない経営』のお話しに入って行くのですが・・・。
結構自分のポストにもたくさん入って来るあの『チラシ』。チラシについてのお話しが
興味深かったので触れておきましょう。
チラシはお客さまとの縁を取り持つ手段であり、銀のさらさんでは何枚チラシを捲け
ば何件の注文が入るのかと言う事はほぼデータ化されているそうです。言わばチラシ
が売上の生命線ですからチラシの作成にはとても集中しています。写真1枚にももの
凄く気を配っているシーンが映し出されておりました。番組では2貫のネタの写真の下
部に5人前の桶入りの写真を掲載するか否かで討論する姿などもやっていましたね。
銀のさらさんのデータでは、正月等の特別な時期を除くと5人前の桶の写真は集客に
結びつかないので桶の写真は削除と言う結果になっていました。
さてあのチラシは誰がポスティングしているのでしょうか?まだ立ち上げの頃に江見
さんはショックを受けた事があったそうです。アルバイト君にチラシ配りをお願いしたの
ですが河原に散乱していたそうです。チラシ配りは辛いバイトなのでモチベーションが
上がらないのです。そこで今では社員(アルバイトでも数字に興味が持てるスタッフ)に
配布させているのだとか。どの地区に何枚配るか?誰が一番の反響率を取って居る
のか?(番組では某店舗のトップは0.47%でした。) 紙質や写真にも徹底的にこだわ
ってチラシを作って居るそうです。年400種類、3億枚のチラシを配ると言うのですから
大したもんですよね。それも自社での配布にこだわり続けること・つまりはポスティング
の質にもこだわりを持ち続けると言う事が年間売上250億円を維持している秘訣なの
でしょう。
ポスティングスタッフのノルマは1時間300枚。どうしたらお客さんが興味を持って見て
くれるのかを考えて配って居ると言う事でした。例を挙げると折り曲げたらダメなんです
って。ポストの中に他の郵便物などがあるとポスティング時にはキチンと入れてもお客さ
んがポストから出す時に他の郵便物と一緒にされ、折り曲げられることがあるんです・・・
なんてお話しをされていました。接客の最初がチラシである・・・また集客の大切さをスタ
ッフで共有出来ている事は素晴らしいと思います。
おそらくはチラシ配りは人気の無いベスト5に入る仕事だと思うのですがなぜ情熱的
にスタッフはチラシ配布が出来るんでしょうね?と言う龍さんの問いに・・・
『達成できる喜びを共有する風土が必要だ』と江見社長は答えておりました。
失敗だったねと思わせない事、『幸せ』を宅配する事が大切なんですよ・・・と言う事です。
さて江見社長の『経営論』です。
『怒らない事』。怒る事が得だとビジネスの世界では思われていますが、ビジネスに
怒りは必要ないと思っているとの事です。1つの失敗にも怒らない事で前向きなアイデア
が出てくる。怒ると業績は下がってしまう・・・との事でした。
感情表現としての怒りには上司の不平・不満をセットして怒りとして部下にぶつける。
それでは部下に伝わらない。幸せであって合理性を高める事を考えるべきだ・・・。と
江見社長は言っていました。一人では出来る事も限られる訳ですから、皆と同じベク
トルでやって行くのが合理的だ、と。『仲良しは合理的』と言う今回の社長の金言でし
た。
村上龍さんのショート・エッセイです。
イデオロギーの代わりに『感情』が世界を覆い始めていると言う指摘がある。
怒り、恐怖、希望などに色分けされた新しい『地政学』の時代。怒りはやっか
いだ。内に秘めた怒りがエネルギーに変わる事はあるが、表出される怒りは
害毒でしかない。江見さんは『決して怒らない』と言う哲学の持ち主で、世界か
ら怒りを根絶させようと本気でそう考えている。確かにおいしい食事は、平穏と
幸福の象徴かも知れない。怒りと言う感情と対局にある。
『怒りを捨てて見えてくるもの』・・・と言うのが今回のカンブリア宮殿でした。
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