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カンブリア宮殿・・・ライフネット生命 / 出口治明さん

 ライフネット生命・出口治明さんが今回(23・7・14)のゲストでした。

 現在日本の生保は47社、実に40兆円の市場なのだそうです。

 そして何十年も親会社が生保でない企業の免許が下りなかった閉鎖的な業界でした。

 出口さんは日本生命出身でかなり上まで登りつめた人の様です。その出口さんをして

免許取得までに2年を要したそうですが、開業3年で7万件の保険契約があるそうです。

 生保業界も1990年代の自由化でいろんな商品が出て、とても複雑な体系になりました。

 しばらく前にあった『保険料不払い』と言う問題も実は複雑化した商品が元凶で、お客

さんも保険会社も支払いの基準が良く分からなかったそうです。出口さんも3年を要して

チェックしたと言っていましたから、それは日本生命の事なんでしょうね。

 さて、出口さんが新たな生保を立ち上げようと思ったのは、年収200万円台の若者の

事を考えたからなんだとか。年収200万円の人に保険料で2~3万円なんて支払えない

・・・と思ったからなんです。保険料を分解してみますと・・・①純保険料、②付加保険料

に分かれます。①純保険料と言うのは原価に相当する部分です。そしてこの部分は

保険会社がどこでもそんなに変わらないそうです。 ②付加保険料は曲者です。

こちらは人件費だとか店舗運営費、家賃等のいわゆる保険の『経費』です。日本の

生保は①と②の割合が半々ぐらいなんですよね。生保レディから始まって目抜き通り

の店舗まで・・・あらゆるコストが入って居ます。

 そしたら・・・②を極限まで無くせばいい・・・つまり対面販売(生保レディ)を辞めて、店

舗もネット内だけにしてしまえば良い・・・。そして実際、その通りの形にしてしまった。

 ネットで複雑な保険を売るのは大変です。そこで『シンプルで、分かり易く、かつ保険

料も安い』商品を作った。それこそがIBMが全世界で調査した消費者が『保険に求め

るモノ』だった。ど真ん中の商品な訳です。

 出口さんは言っていました。対面販売(生保レディ)が悪いわけではない。ちゃんとコス

トを実感してそのうえでコンシェルジュ的な働きを望むのであればそれはその価値があ

る・・・と。生保でもいつの間にか『スーパー』と『百貨店』みたいな業態の変化が起こっ

ていたのです。でも消費者はそれを知らなかった・・・。今回のカンブリアは生保なんて

差がないだろう・・・と思う部分の話しですから地味かも知れませんが、同様の業界は

案外多いと思いますよ。もっとも市場規模に違いはあるでしょうけれど。

 今の生保レディーの数は25万人なんですって。ピークには50万人はいたそうです。

 元生保レディのアンケート調査をカンブリア宮殿ではやっていました。かなり衝撃な

値でしたけれど・・・。1つだけ例を上げると生保レディが配るハンカチ等の品物は自腹

で年間100万円は使う・・・と言うお話しがありました。もちろん個人差はあるでしょうけれ

ど・・・。そのお金もコンシェルジュ料の一環なんですね。それを好むかどうか。自由化

前まではその差が大変大きかったのですが、今は自由化後ですので果たしてそういう

売り方が良いかどうか。出口さんは今の保険大手のセールスが時代から取り残されて

いると評していました。

 今回は『ショートエッセイ』は割愛します。

 私は元銀行員です。

 保険とはお隣の分野で『金融』とくくられる事さえあります。

 そして銀行を離れて感じるのは『金融』と言う分野はかなり遅れた分野であると言う

事です。

 遅れた・・・と言うのは『規制の壁』に守られていたので、競争をしようと言う気があまり

ない分野と言い換えた方が良いのですかね。

 保険料のカラクリ(純保険料+付加保険料)などの開示もなかった訳ですし、銀行で

あれば預金金利の差はあまりないですが、借入金利の差は随分ありますよ。金融機

関ごとでも差がありますが、同一金融機関だってA社、B社、C社で差があります。差が

あって当然なんですよね。だって信用力が違うんですから。また借入条件が違うんで

すから。

 金融機関内ではそれは分かって居るんです。ただ利用者には分からない。自分の

格付けだって明示されているかどうか。信用力や借入条件・・・言い換えると金融機

関がA社さんに貸すリスクがどれ位の大きさだと評価しているのか・・・。これって大切

なのですが全くと言っていいほど開示されないので、金利と言うモノサシでしか測れな

いんですよね。何が言いたいかと言いますと、ちゃんとお客さんに金融機関は向き合

っていないんですよ。常に床の間を背にした商売をしている。自由化されたって銀行と

企業の付き合い方なんて変わってないんです。保険でライフネット生命さんが伸びる

余地があったと言う事は銀行でも余地があるのかも知れません。簡単便利に借りら

れる・・・のは『モビット』等であるじゃないかって・・・あれは金利が高すぎるし、規制金

利の天井に張り付いていたから今、ひどい目にあっている訳です。より低い金利で

貸そうって言うライフネット生命さん的な発想じゃないですね。

 私には今回のカンブリア宮殿はとても楽しめる回でした。

 龍さんのショートエッセイでは出口さんとパートナーとしてのMBAの35歳の副社長

さんのお話しを必然としての出会いと言う切り口で・・・縁の話しをされていたんです。

ただ今まで『縁』のお話しはたくさん書いて来ました。私が感じている縁のお話しと龍

さんが話した『必然の出会い』はかなり近いお話しでした。

 『偶然を引き寄せる』って言うのはあるんですよね・・・。

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