« 残暑の候、つれづれなるままに | トップページ | 浪曲 京山幸枝若さん・・・左 甚五郎 より »

カンブリア宮殿・・・エー・ピーカンパニー 社長 米山 久さん

 今回のカンブリア宮殿(23・9・15)、とても面白い回でした。

 ゲストはエー・ピーカンパニーという外食産業チェーンの社長さん、米山 久さんです。

 外食って言っても居酒屋さんをチェーン展開している会社さんの様でした。

 居酒屋さんと言えば『激安』が今やキーワード。

 番組でも今までに居酒屋チェーンさんの代表者さんには何人かゲストで出演していまし

て、昨今では『安くて美味しいモノをいいサービスで。。。』と言うのがキーワードになって

います。価格には消費者は物凄く敏感に反応しますからね。

 さてエー・ピーカンパニーさん、リピート率6割の地鳥屋さん『塚田農場』と言うお店を新

橋に出店しています。宮崎の『じどっこ』と言う幻の地鶏を7年前に見つけて売り出します。

その頃は問屋さんから3600円/㎏で買っていたそうです。ある日、卸しさんが持ってきた

袋に農場の名前を見つけて直接電話をします。そこから懸命に口説いて直接仕入れを

する様になります。農家さんは1700円/㎏で出荷していたものを、直接仕入れで1800円

/㎏とし、更には生産物の全量買い取りを提案する。農家は今まで300㎏/月しか売れない

と困るから生産しなかったのが今は900㎏/月まで生産を伸ばしているそうです。農家さ

んも大喜びですね。

 そうなんですよ。上のキャッチコピー『安くて、美味しいモノを、いいサービスで。。。』

の中に『生産者も嬉しい』が入るんです。客も生産者も喜ぶお店  (もちろんお店も

喜びますよね) また行きたくなるようなお店作りをエー・ピーカンパニーさんはやっている

と言うのでカンブリア宮殿が『新外食』として取り上げました。

エー・ピーカンパニーさんはこの10年で98店舗、年商50億円の会社になったと言ってま

した。

 『じどっこ』の契約農家さんも当初は3軒だったものが今では15軒になっているそうです。

売り手と買い手を越えたお付き合いをしています。。。と言う事でした。それはそうで現地

に農場を創ってそこで生産をし、2億円の投資をして精肉工場まで作っている訳です。

番組では生産農家さん達とエー・ピーの米山社長が農場で酒盛りをするシーンが放映さ

れていました。

 美味しいモノをどうやったら安く提供できるか?これは他の居酒屋さんも取り組まれて

いるテーマですね。その答えがエー・ピーさんの場合はちょっとユニークで、新参だった

からこそ出来た現地に乗り込んで一緒に生産するスタイルが出来上がったと言う事なの

でしょう。

 さて、居酒屋のスタイルも面白かったです。ただの安売りの居酒屋さんと一味も、ふた

味も違いました。これはパクられるビジネスモデルになりそうです。

 とても美味しい地鳥の『じどっこ』の焼きものが鉄板の上に乗せられてお客さんの元に

提供されておりました。いくつか残った状態でビールをお客さんが酌み交わしています。

冷めてしまった『じどっこ』の鉄板焼きを店員さんが見つけて。。。

 『これを厨房に持って行って美味しくして来て宜しいでしょうか?』

 と大胆に提案します。

 『えっ、はぁ~お願いします。。。』

  しばらくしてアルバイトのお姉さん、ポンズと玉ねぎで和えた『じどっこ』を持って来てくれ

  ました。

 『おっ、これはこれでさっぱりして、充分にこれで一品じゃないの 

  別のテーブルでは。。。鉄皿のじどっこは完食されておりまして。。。

 『こちらの鉄板、厨房で美味しいお料理を創って来ます。。。』

 『何も入ってないですよ。ワサビだけ。。。』

 『じどっこの脂が美味しいものですから、脂でガーリックライスを創って来ました』

 『うわ、美味しい。。。ご飯もハート型ですね。』

  鉄皿のお米は最後の一粒まで食べられておりました。。。 

 これ、無料で提供されるそうです。

 このカラクリはこうです。

 平均客単価は4000円なんですって。だからアルバイトさんの裁量で1割、400円まで自

由にお客さんの喜ぶお料理やお土産を提供しても良いですよ。。。となっているのだと

か。キャベツを下げて来て千切り+マヨネーズオンで提供すると原価12円とか、カップル

で来ている彼女の方が生クリームが好物だと聞くと、サッと生クリームをオンした料理を

提供する。こちらは原価4円だそうです。こうやって喜びを創るんですね。

 エー・ピーさんの考え方が面白い。お値引きや『激安』価格には慣れっこになって感動

が薄まります。エー・ピーさんは単価はしっかり貰っておいて、その分『ビックリさせるサ

ービスも提供するんです。『も』と書いたのは、もちろん味には自信がある上に。。。と言

うことです。

全店舗でこのサービス・お料理の工夫は共有化されていて、もちろん原価もいくらのモノ

だと言う事が分かるんですって。これ、面白いなぁ~と感心しました。

 さらにさらに、通った回数でお店用のお客さんの名刺のランクが上がって行くシステム

を採用しているそうです。お店ごとのメンバーズカードみたいなモノのランクが上がってい

くと考えればいいのかな。居酒屋だけに『主任⇒課長・・・』と言う具合です。OLさんなん

かは会社ではヒラですが、ここでは『課長』で~す。。。と笑ってました。もちろん酒席に

その人だけのサービスの品が提供される。これも感動の演出ですネ。これもまたおもし

ろい。単に『安い品、美味しい品で、良いサービス。。。』では辿りつかない思考回路です。

リピートを意識して初めて出来るこの仕組み 

 第一次産業の大変さを知っているからこそ、『お客さまに美味しい状態で、残さずに

食べていただきたい』。と米山社長が言ってました。

『生産者さんもこれだけ工夫して残さず食べて貰っているのをみたら嬉しいだろうね』と

村上龍さんも返していました。

『一番大事なのはリピーターを獲得する事』なのだそうです。リピーターを創る事には物

凄く努力をしていまして、その努力を一言で言うと、『満足』を『感動』に変えるとリピート

率は向上すると、なんと28歳の営業部長さんが語っていました。いい営業部長さんを

育てている会社です。この会社のポリシーが一本筋が通って居るのでこんな社員さん

が育つのかも知れません。

 常連さんを飽きさせない工夫。前回来た時よりも何か違うモノを創り続ける努力をし

よう。ディズニーランドを例にして28歳の部長君、力説していました。龍さんも笑って

頷いていましたネ。良く言われるお話しですが、『10人全員を満足させるのは無理です

が。。。』ここまでは一緒です。『2・3人で良いので凄いファンを創りたい。』、居酒屋と言

う業態だからかも知れませんがなかなかに凄い言葉です。ちなみに過去の放送で、ス

ーパーホテルでは8人を満足させるサービスの提供と話していましたね。まぁ業種ごと、

考え方の違いでここはいろんな言葉が入るのでしょう  

 地鳥以外にも『魚  』で新たなシステムを創る努力が紹介されていました。その日

の朝に獲れたモノを8時間後にはお店に提供する仕組み。九州の魚は、まずは九州の

市場に出て、次の日に築地に来て、それからお店に届くのだそうです。これに2日を要

する。魚は新鮮なうちに食べて貰いたいたい訳で。。。契約漁師さんスタイルでこれまた

やってしまったそうです。漁協にも努力の末に加盟して、漁船を持ってしまい定置網の

権利を取得する。。。なんとも豪快です。

 漁師さんは消費者の魚離れの影響もあり、魚価が上がらず、漁獲も上がらない。。。

だから年々漁師の数が減っており、この10年間で26万人が20万人になってしまったのだ

とか。エー・ピーさんは漁師さんにもキチンと儲けて貰える仕組み作りをしているんで

すね。

今はいくつもの漁港からお話しが来ているそうです。定置網は宮崎県延岡市のお話し

だそうですが船を所有するのにあたりハローワークで元漁師さん1名と未経験の方2名

(一人は19歳って言ってました)を雇用したとの事。お店でも雇用が増えているのですが

第一次産業で雇用が増えるのは素晴らしいと思います。

 元々は社長さんが副社長さんに『自分たちだけで獲った魚をお客さまに提供出来たら

喜ばれるだろうね。。。』と言うのが発想の根幹だったそうで、副社長さんも漁業権など

の問題は別としても、何をこの人は言っているんだろう?と言われた時は思ったそうで

す。そんな事は出来るわけがないと。ところが今では副社長さんが率先してやっていま

すから。。。 と笑っているシーンがなんとも楽しそうで素敵だなと感じました  

 村上龍さんのショートエッセイです。

『おいしいものをできるだけ安く提供する、それが飲食業で勝つ鉄則だった。米山

さんとエーピーカンパニーもそこからスタートしたが、産地と深く関わるうちに、生

産者の思いを客に届けるという新しい価値を見出した。激安のはるか先を行く、

生産者と消費者をダイレクトに繋ぐフードビジネスは『感動』と『信頼』と言うキーワ

ードを軸に、未来的なネットワークを予感させる。』

 村上龍さん、大絶賛です  

激安で戦うと消耗戦になって、結果、みんながダメになる。。。と言うのがだんだんと定着

して来たように思うんです。デフレスパイラルの典型ですね。

 我が不動産業界などは典型で埼玉県内でも『アーバンエステート』が打ち上げ花火み

たいに上がったかと思うと、すぐに消えて、また次の会社が名乗りを上げて行く。。。

激安を謳った会社の中には、あそこは『安かろう、悪かろう』と名指しで言われている会

社が複数あります。価格のみで戦うと消耗戦になる事は必至で、仕入先を泣かせ、つい

には客を泣かせ、結果として自社も従業員も泣かせてしまう。。。と言う連鎖が良く見ら

れます。じゃあ『高ければいいのか』と言うとそうでもない。

売る側の求める円『○』 とお客さんの求める円『○』が重なるところ。エーピーさん流な

らば更には生産者の円『○』が重なる点をちゃんと見つける事から始まって、その点って

とても価値のあるものだから、しっかりと創意工夫でPRする。そうするとその価値を理解

してくれるお客さんが必ずリピートしてくれるよって言う考え方です  

①点を探すこともさることながら、②その点のPRは難しいですね。消費者には『飽き』が

あるからね。客単価が激安ではないので美味しいモノ(地鳥や鮮度のいい魚としては充

分にお値打ちなんですが)をキチンと提供しているから、しっかり支持は続くと思うけれど

『満足』を常に『感動』に変える作業はとても苦しい作業だと思います。いい会社として

ずっと繁栄して欲しい会社だなと思います。頑張って下さい 

 ちょっと脱線しますが我が不動産業界だってそうですよね。賃貸物件が分かり易いの

ですがオーナーさんは『少しでも高く貸したい』、入居者さんは『少しでも安く借りたい』。

このお話しだと対立するベクトルですが、オーナーさんにとりましては『経営』は点では

なくて『線』のお話しです。ずっと適正なお家賃で住み続けていただける借主さんが居

ればオーナー様も経営としては悪くない線が出来て来ます。オーナーさんの求める円

『○』と借主さんの求める円『○』がある。その交わる点をどう作るのかを考えるのが

オーナーさんと管理会社の仕事だと思います。もちろんその他いろいろありますが、

今回のエーピーさんのお話しで言うと集客&長期安定入居でいかに満室をキープする

かって言うお話しと近いのかなと感じました  

 お部屋があればどなたか借りてくれる時代はもう終わったと思います。賃貸経営も競

争ですから。そう言う意味でとても腑に落ちた素晴らしい回だった様に思います。

 村上さんも大絶賛の『エーピーカンパニーさん』でした。 (^O^)/ 

|

« 残暑の候、つれづれなるままに | トップページ | 浪曲 京山幸枝若さん・・・左 甚五郎 より »

カンブリア宮殿」カテゴリの記事

コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びにきます。
ありがとうございます!!

投稿: ビジネスマナー | 2011年9月22日 (木) 22時11分

It's imperative that more ppeole make this exact point.

投稿: Ryne | 2011年10月 4日 (火) 03時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 残暑の候、つれづれなるままに | トップページ | 浪曲 京山幸枝若さん・・・左 甚五郎 より »