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カンブリア宮殿・・・本多プラス 本多克弘社長

 今回の放送(23.9.22)は、『本多プラス』と言う会社の社長さん、本多克弘さんがゲスト

でした。

 『本多プラス』さん、残念ながら私は聞いたことがありません。

 なんでも、プラスチック製の容器を製造している会社で、『プラスチックのオンリーワン

企業』と番組冒頭で紹介されてました。

 お取引先数は3000社、17,000種類の容器を作っているそうです。従業員数は160人。

 売上は年商34億円の中小企業です。

 カンブリア宮殿では中小企業編の場合には大きなキーワードがあり、そのテーマに

沿って番組が進行します。本多プラスさんの場合は『他人のやらない事をやる 』で

した。

 さてさて本多プラスさん、高度経済成長下では筆の鞘・・・つまりはキャップ・・・子供の

頃のお習字の時間に使った『筆』にそう言えばキャップがついていましたね。あれを作っ

ていたんですね  手間ばっかりかかって機械化出来ないお仕事だったそうです。

 それを『ブロー成型』と言う機械で作ろうと本多さんは思いたち、創意工夫を重ねたそ

うです。ブロー成型と言えば当時は、駄菓子屋の菓子を入れる様な20センチ前後のモノ

を加工する技術だったそうですがそれを細かなモノに応用する研究を重ねます。2年でモ

ノにしたと言ってましたネ。

中小企業ですから研究と製造がワンセットじゃないとダメですし、失敗したら屋台骨が

揺らぐ事だったと思います。本多社長のスタートが他人のやらない事をやって商売の基

盤を作った。。。と言う事なのでしょう。ここで『達成感』も味わったと笑顔でお話しされて

おりました。

 次に手がけたのが『修正液のボトル』。ぺんてるさんのあの青いボトルです。修正テー

プが主流になった今もなお、余談ながら私はあの青いボトルを愛用しています。

 ぺんてるさんの要望は、当時ガラス瓶に入っていた修正液。乾燥にも弱かった。その

修正液をなんとか簡単に押し出せるボトルが作れないか?と言う事だったらしいです。

私たちはフツーに使っておりますが、なるほどシンナーがあのボトルの中には入ってい

ますのでプラスチックでは溶けてしまうんですね。そこでナイロン製のボトルをブロー成

型で作ることに成功した。それがあの青いボトルになったそうです。実にシェア9割を

持っていたと言うのですから大したものですね。

 本多社長曰く、新しい事にチャレンジするのが仕事の面白さだ  の精神で業務を

拡大していったのですね。

 この頃にご子息さんが入社し。ご子息さんは、本多プラスさんの売上構成比に危険を

感じたそうです。

当時文具が売上の7割のシェアだったそうで、文具業界はこれから先危ないのではな

いか。今、まさに文具はなかなか売れない業種になっていますから先見の明があったの

でしょう。だけど簡単に他業界に乗り出すのは中小企業の場合容易ではないですよね。

まずは『化粧品』分野に乗り出したそうです。小さな容器+独自の技術が最も活かしや

すい分野と考えての事だったのだと思います。リップグロスのボトルの売込に成功した

のを皮切りに他社にないモノを作る努力をしているそうです。PETに注目してメタパール

と言う新技術をゲット、ブロー成型でゴージャスな輝き、光沢のある容器が出来ると言う

のですからコスト的にも◎なんでしょうね。

 また7億のカネをかけてクリーンルーム化した工場を作った。そこでは医療分野の商

品を作っているそうです。

 さて本多プラスさん、成型用の金型は自社で作っているそうです。フツーのプラスチック

成型屋さんは金型は外部に発注するのですが、そこには拘りをもっている。外注に出せ

ば1か月かかるところが自社だと3日、急げば1日で金型を作ってしまう。ここにも『独自

技術』にこだわるポリシーが現れているのでしょう。

 今のイチオシきカード型(厚さ3ミリ)のボトルや、指輪型のボトルなんかも作っているの

ですよ。。。と言う事でした。

 この努力が実を結んで5分野に軸足を置いたいい構成比の売上が得られていると言う

事です。本多プラスさん、いい仕事してますね 

 この後、デザイナーの女性がリーダーになって営業も兼ねて企業廻りをしている。。。

と言うのが紹介されておりました。

 本多社長は、『自分で考え、自分で作って、自分で売る』その為にはお客さんを満足さ

せるモノを創らなきゃダメだし、それにはスピードが必要なんだ。だから営業兼デザイナ

ーにならなきゃダメだ。一番の営業マンは製造部門だ(オンリーワン技術を持って売る

現場と近い所にある製造スタッフ)とお話しされておりました。

 会社の成長過程において愛知県の日本一の自動車会社から提携話があったのを

断ったお話しも取り上げておりました。(龍さんのショートエッセイで触れていますので

私は端折らせてもらいます。)

さて、村上龍さんのショートエッセイです。

下請け、なんて響きの悪い言葉だろう。製造業の下請けは、右肩上がりの時代は

合理的だった。今は違う。円高などのコストを押しつけられ、出口のない不況に喘

いでいる。本多プラスは『自分で考え、自分で作り、自分で売る』と言う哲学を武器

に独自の技術と営業力を育て、大企業への依存を拒んだ。他人のやらない事を

やると言う基本姿勢はかつては変わり者の象徴として揶揄されてきたが、現代で

は転換期をサバイバルする必須条件となっている。

 他人のやらない事をやる、独自技術を突き詰めると言うのはいつの時代も経営の必

須条件だったと思います。経営は点ではなくて線です。一時的に良くなったとしても会社

が破綻したらそれでゲームオーバーです。本多プラスさんは実に巧みに荒波をかいくぐ

って経営されて来たのでしょう。筆の鞘だけを作っていたら今は会社そのものがなくな

っていたと思います。ブロー成型に出会ってその機械に惚れこみ、技術を習得するだけ

でなく当時無理と言われた細かい品物を作ってしまう。プラスチック成型からナイロン成

型に幅を広げ、化粧品分野から医療分野にも進出して行く。素晴らしいと思います。

経営の哲学がしっかりしているからこそ、こうして航海して来れた。舵をウマイ事切れま

した。。。と言う事を本多社長はお話しされたかったのでしょうね。

 

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