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カンブリア宮殿・・・西松屋チェーン 社長 大村禎史さん

 興奮する会でした。アッと言う間に番組が終わってしまいました。

 西松屋チェーン。全国に約800店舗を構え、0歳~6歳児向けの商品を売る小売チェーン

です。年間で1000億円超の売上を持っている企業だそうです。

 さてその西松屋さんですが店舗は『ガラガラなのに日本一』なのだそうです。

 ガラガラと言うのはワザとそうしているとの事。まずは通路。一般のスーパーは通路幅が

210センチなのに西松屋さんでは270センチもあるそうです。270センチと言うのはカート3台

が通れる幅。子供を連れたお客さんがゆっくり買い物を楽しめるように工夫されている

のです。

 大村社長は京大工学部出身で鉄鋼関係に就職後、西松屋さんに入られた方だそうで

小売に関しては門外漢だった。まだ当時は姫路のローカルな小売店だった西松屋さん

で、ワゴンセールは無駄ではないか?と言う提案を手始めにどんどん改革をして行った

そうです。

 ワゴンセールって集客の為に、今でもご近所のスーパーは元より、イオンやイトーヨー

カ堂さんなんかでもやっています。西松屋さんは幼児服を扱っており、ワゴンの中の商

品はすぐにぐちゃぐちゃになってしまう。それにワゴンではワゴンの下や上部に無駄なス

ペースがいっぱいあるじゃないか・・・と言う趣旨での提案だったそうです。これまでの当

たり前をバッサリ斬った。社員さんからは反発も受けたですが『実験』したらワゴンセー

ル無しでも客は減らなかった。それどころか子供を連れてのワゴンセールを嫌うお客さ

んも数多く居た事に気づかれたそうです。さてさてそうなると・・・マネキン廃止☞ハンガ

ーにかけたシャツを正面に向けて、下にはズボンをレイアウト。お客さんが勝手にコー

ディネイトを考えるお店になり、商品を立体的に数多く陳列できる様にしたそうです。

BGMもお客さんがゆっくり買い物をするのに邪魔だから廃止し、ポップや飾り付けも廃

止。それどころか接客店員まで廃止して、2名のパートさんで店舗が運営できる店づくり

をしているそうです。理系全開の実証主義でどんどん改善をして行かれます。お店のノ

ボリなどもムロン無し。接客などはお客様のお買い物の邪魔になる、と考えられている

そうです。客目線でモノを考え、どんどんと無駄を省いた店舗運営をしている。ある意味

での安さのコダワリですね。幼児用の服だってポケットが柄としてはついていますが実際

には縫い付けられたまま (危険だったりジャマだったり・・・デザインとお母さんが思う機

能は全然別だから無駄はどんどん省いているそうですよ。)、それでお値段をライバルよ

りもグッと値を抑えているそうです。私には子供が居ないので分からないのですが、想像

するにお母さん方が、西松屋の安さに『納得』をしている所(努力の跡がちゃんと見える)

がお母さん方の信頼感を勝ち得ているのではないでしょうか。ベストは無いので、どんど

んとベターを求めて改善し続けたいと大村社長はお話ししておられました。

 小池栄子さんが『なぜ人を入れて接客しないのですか?そうするともっと売れるので

 はないですか?』と言う質問をされました。

大村社長は答えます。『接客にはキリが無いんです。Aさんに対応している間はBさん

の接客が出来ません。不平等なんです。』と。

 それで接客を廃止し、店員が居なくともお客さんが自由にコーディネイトを楽しめるレイ

アウトを作って行った。BGMだって1店舗で月1万円かかります。800店で800万。年間に

直すと1億近いお金がかかる。それでいてお客様の買い物の邪魔をしている・・・。商品

は目に訴えるモノで、BGMはゆっくり見て貰う邪魔になるじゃないか・・・。

 理系出身の大村社長には小売業はとても生産性が低いと感じたそうです。先のワゴン

販売は今までは当たり前だったけれども空間を無駄にしているだけだ。それならばハン

ガーを使って立体的に陳列した方が売上は上がるはずだ。いろんな工夫をして実証して

生産性を上げて行った形が今の『西松屋』なんですね。

 繁盛する店と言うのは商品陳列やレジなどで非効率なんですって。だからガラガラの

お店を作る。具体的には平日だと来店客数は1日330人。売上は50~100万円が理想

のお店なんだとか。高知県のとある町では1店舗がウンと繁盛してしまったので7キロ先

にもう1店舗作ったそうです。それでもまだ繁盛するのでさらにもう一店舗作ってガラガラ

のお店に敢えてしたそうですよ。店舗開発も合理的で、西松屋自体に集客力があるので

幹線道路には出店しない。幹線から一本脇道に入った所に出店する。それで賃料は半

額ほどになる・・・。なかなか他の会社さんでは真似が出来ない戦略ですがこちらも合理

的です。

 村上龍さんが西松屋さんのお店見学に行った際に、お客さんもいないけれども店員さ

んも居ない・・・って笑っていました。それ自体が西松屋さんの理想の姿なんですね。

西松屋さん豆知識で3つの棒と言うのを取り上げていました。①商品取り棒。高い所まで

立体的に陳列しているのでこの棒を使ってお客さんが商品を取る為の棒です。②自動

品出しバー。ワザと傾斜をつけたバーに商品袋をかける事で常に手前に商品が陳列で

きる工夫だそうです。③商品引出棒。Tの字の棒で簡単に箱の商品を手前に持ってくる

陳列便利グッズです。接客の手間をかけず陳列を便利にする・・・パートさん2名で店を

運営できるノウハウなんですね。パート2名での運営の妨げになるものはどんどん取り

払えと言う戦略です。西松屋さんは全国どこでも同じレイアウトなんですって。だから

店舗開発者が現地に行って設計する必要もない。800店もあって店舗設計者はたった

4人。姫路の本社にずっと常駐していて決まったポジションからの映像をチェックするだ

けで日々正しいレイアウトで陳列されているかをチェックし、NGの場合には2名のパート

さんに連絡する。パートさんも指摘事項を即座に正す。なんとも合理的なのです。店に

足を運ぶことなくチェックできるんだから素晴らしい  こんな小売店は珍しいでしょ。

今の小売の常識と真逆をやって大成功を収めている・・・そう評されるのもよく分かりま

す。

 龍さん、 『大人の服をもし売っても売れる自信がありますか?』

 大村社長、 『どんな商品を扱っても一緒だと思います・・・』 

 過去5年で200店舗出店してきた訳であり、これから先、5年で1000店舗にしようと努力

しているとの事でした。

そこで小池栄子さんが質問です。 『これから少子化するのに店舗数を増やしても大丈

夫ですか?』

 大村社長曰く  『人口は減るので、今までの0歳~6歳まで を0歳~12歳まで 

身長で160センチまで扱おうと思っています。』 この路線で今、商品開発をしている

そうです。これは他社さんにとって脅威になりそうです。

 いい商品をより安く提供する為に『メーカーの技術部長クラスのOBを再雇用してチー

ム』を作っているそうです。具体的にベビーカーでヒット商品が生まれているそうです。

しかもその値段が2,999円  いいものをより安く・・・です。しかも一流の技術者が安

全性なども吟味に吟味を重ねた品物 

少子化について大村社長はこうも言ってました。

『幼児服市場は2兆円のマーケットです。西松屋はまだ1000億円。まだまだシェア

は獲れると思う。』 

 大村社長が言うと説得力があるのでありました。

 さて恒例の村上龍さんのショートエッセイです。

『実際に西松屋に行って、まるで倒産寸前の店みたいだと思った。客はごくわずか

だし、店員がどこにいるのかわからない。だが、西松屋チェーンは大成功を収め

成長を続けている。京大で工学を修めた超合理主義者の大村氏は、客を少なくし

て利益を生むと言う魔法の様な経営を実現させた。余分なものをすべて削ぎ落と

した店舗はミニマリズムと言う前衛的な表現を思い起こさせる。先端的であるた

めには定型を破壊しなければならない。』

 先にも書きましたが私には子供がおりませんので、西松屋さんに行く事自体があまり

ありません。ただ実は1度、郊外の店舗にお手洗いを借りる為に立ち寄った事がありま

す。その時、なんてお手洗いを借りやすい店舗だろうと思いました。ガラガラだったし、

私も時間に余裕がありましたので店舗をグルッと廻ったのですが、商品の数の多さと

お値段に魅力を感じてとても楽しくお店見学が出来ました。子供はいなくてもこれ買って

行こうかな・・・と思わせる魔法に私もかかったのでした 

(この魔法にかかるのはちょっと幸福感・満足感があったですよ。得した感のなせる技。

それが西松屋さんの凄さなのでしょうね   )

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