番組を終わってテレビに向かって拍手している自分がいました。
そして『セイコーマート』さんの、また赤尾会長のファンになりました
今、東京でも『買物難民』が散見される様になっています。古いニュータウンは高齢化
が進みニュータウン内に入って居たスーパーが撤退してしまうからです。スーパーも採
算上、やむを得ぬ閉鎖なのですが、そこがライフラインだった住人は・・・。今回の番組の
このイントロはとても大切なテーマだと思います。
オレンジに鳥のマークの『セイコーマート』さんはさいたま市内でも見かけます。客単価が
630円もあるコンビニで、北海道では出店数ナンバーワン。過疎地域でも敢えて出店して
おり、閉鎖された道内の工場を買い取って再生している企業。地方を輝かせる未来企業
だ・・・とのキャッチがついておりました。
北海道民がコンビニと言えば『セイコーマート』さんだそうです。北海道民に愛される
地場コンビニなんだなぁ~と微笑ましく最初は想いながら番組を見ておりました。
客単価630円のコンビニ・・・。セイコーマートさんの特徴として、美味しいお弁当がある
そうで『ホットシェフ』と呼ぶのだとか。40種類のライナップがあり、コンビニなのに調理専
門のスタッフが居る。北海道と言えば帯広の豚丼。550円で温玉付の豚丼が店内調理で
売られているらしい。パンも店で焼き、一番人気はかつ丼でこれも500円台。レストランと
同一の調理器具を入れてあり、これはとても頑張ったんだと笑う赤尾会長。そんなモノは
成功しないと言われたんだと散々言われたんですけど、どうしてもチンではなく、温かい
ご飯を提供したかったからコダワリを持って育てたと話しておられました。
セイコーマートさんの売上は1800億円、5年で30%増の業績なんですって 
ほうほう面白そうです。何が他のコンビニと違うのでしょう~
①コンビニなのにアイテム数が豊富。
私は大学で経営学を学びました。講義ではコンビニはアイテム数を絞って成功した
し、そのアイテムに勝ち残るのに熾烈な商品間の競争があると学びました。一般の
コンビニは約2500アイテムが平均なのに、セイコーさんは4000アイテムもあるそうです。
消費者からすると、生鮮品から果物まで購入できる品揃えがとても魅力的だと消費者
さん達が嬉しそうに話していました。100円総菜にサラダに煮物、パスタまで充実してい
まして、高齢者は少量でたくさんのモノを食べたいからありがたいとの事でした
②上の記事で気づかれたでしょうか?コンビニは定価販売が基本で、少量購入客だか
ら、採算を上げる為に安売りはしない。『利便性を買う』ものだとやっぱり習った気がす
るのですが、セイコーマートさんはチラシも配るし、たまたま番組では日清の『どん兵衛』
が98円で売られ、食パンも98円で売られていました。安売りをするコンビニなのです。
まだあります。『安売り』を心掛けているからオリジナル商品数が凄い。商品の5割を
オリジナル商品が占めているそうです。北海道で最も売れている牛乳やアイスクリーム
はなんとセイコーマートさんのオリジナル商品なんですって。
PBブランドと言えば、パッチもんで美味しくないけど安いイメージがある私としては、食
に対してシビアな眼を持つ北海道民がオリジナル商品を支持している事にビックリです。
コンビニとして顧客満足度がナンバーワンがセイコーマートさんなんだそうです
これだけの事をやればナンバーワンも納得できる気がしますね 
赤尾会長はこの仕組みを創ったきっかけは、『自分で納得の出来ないモノは売りたく
ない。その為に鮮度の維持に時間とお金をかけました』と言います。コンビニとは、近代
的な『万屋(よろづや)』であり、世界トップの小売業とて変わりはない。
さて、ちょっと話題を変えます。
セイコーマートさんは人工たった400人の所にも出店しているケースがある。冒頭書いた
買い物難民は北海道みたいに広くて経済性が乏しいエリアではより多く見られる現象で
あって札幌のベッドタウンとして栄えた江別市も例外ではない。高齢者が増えて商店街
にも活気がなくなり、唯一のスーパーは撤退する・・・。牛乳1本買えなくなった居住者さ
んがあったそうです。江別市長もこれは看過できないと、赤尾会長に出店依頼をし、赤
尾さんもそれに応えた。生鮮品まで揃って値も安い、小型スーパーみたいなコンビニで
あれば支持されますわな。こんな相談の数が増えており、すべてに応えられる訳ではな
いけれど・・・とも話されておりました。
またここで話しが変わって、赤尾会長の店づくりへの想いについてのお話しになります。
セイコーマートさんはセブンイレブンよりも3年早く第一号店をオープンさせた。そのき
っかけは1960年代、地元酒類問屋の営業マンだった赤尾さんは西のダイエー、東のヨ
ーカ堂の安売り競争で廃れて行く地元の小売店に危機感を持ったそうです。スーパー
が町を飲みこんでしまうと問屋としても困る訳です。そんな時に雑誌の記事でアメリカの
コンビニを見た。それでアメリカに見学に出かけた。セイコーマートの第一号店は酒屋さ
んだったそうでそこを全面改装してセイコーマート第一号となった。(番組で会長さんがそ
の店主さんの所を訪問していました。一号店店主さんが今でも活躍されているのも嬉し
い事です
)
そこから40年かけてセイコーマートのライフラインを創り上げて行きました。余談ながら
コンビニ史で言うとセイコーさんは国内3番目なんですって。大阪、名古屋で他所さんが
やって居ましたが、残念ながらその2つは今はもうないとの事でした。
赤尾会長『事業と言うのはいつヒビが入るか分からない、先の心配はたくさんあります。
変わり続けるのが大事で、時代に取り残されない努力が必要です。世の中が悪くなるの
が当たり前なんです』 とお話しになっておられました。これは名言だなぁと感じます。
北海道は広くて、過疎で経済性がない地域です。だからコンビニ網を作るのが大変
でした。
セイコーさんは生鮮品を届ける為に専門の契約農家さんがいて、5カ所に農場があり
セントラルキッチンも保有、1日に10万食の総菜などを出荷している。原材料を創ると
こからはじめて加工、販売までを完結している。水産物や乳製品も同様の仕組みを持っ
ている。グループ11社で300商品を生産している。これが40年間のセイコーさんの歴史
で培った仕組みで他社がマネの出来ない仕組みなんだそうです。北海道には美味しい
素材がたくさんあるが『製造・販売』がセットでなければ採算が合わない。それをやる
為には『物流』を押える必要がある。
ここで番組は札幌の物流センターから満載の10トントラックを追います。6時間かけて
稚内のセンターについて全荷物を降ろします。そこから30分先の豊富町の牛乳工場に
行って牛乳を満載し、4時間かけて旭川のセンターへ。そこでまたまた全量を降ろして
次は野菜・漬物を満載して札幌のセンターへ帰る・・・。ほとんど満載したままトラックは
走っている訳です。自社の物流網ですから白ナンバーのトラックでした。北海道を知り
つくした赤尾会長だからこそ出来た物流システムだ
と紹介されておりました。
製造から販売までを手掛ける様になったのは、地産地消が目的ではなく、美味しく
て安全な地場産のモノを包装などせずに売れないものか?北海道で創った農産物が
首都圏に出荷されてまた北海道に帰って来るのでは、その商品とは包装紙と物流コス
トの固まりではないかと想ったそうです。地場のモノを活かせるのは地場だ
だけど
世界から入る安価なモノはコンテナで買えばよい・・・。地場のモノで大手と戦う 
さてさて冒頭のキャッチの最後のキャッチ、潰れた工場の再生が出て来ます。
地場の産物を活かす為には地場の加工所が必要です。採算が合わずに潰れた水産
物加工所を買い取って元の従業員を再雇用。販路はある訳ですから黒字化は当然で
雇用数も3年で3倍になった、水産だけでなく、公社がやってもペイしなかった牛乳工場
もセイコーさんが救ったそうです。酪農家さんもより多くの牛乳を買って貰えるようにな
って大変嬉しいとの事でした。
地域密着企業として今では二万人の雇用を持っているそうです
苦しくなった工場は買う。工場は古くても技術と従業員がついている。潰れてしまった
企業・工場も経営としてはマズくても作業をしている人達は真面目にいいモノを創ろう
としているんです・・・。セイコーマートの工場は、元雪印で働いていた方々が支えてく
れているんです。彼等はいいモノを作るのに真面目な人達であり、モノを創る事、良い
モノを創ることに喜びを感じる人は大切なんです
なんとも素晴らしい考え方であり
ましょう。
北海道は疲弊していると言われますが、人口500万人はちょうど良いサイズだと思う。
だから北海道を地盤としてますます頑張りたいと思うと笑う赤尾社長はとっても格好良
かったです。『地方の時代』で政治の世界では色んな方々が出て来られていますが、経
済を支える力はなかなかスポットが当たらない。国が何をやっても地方は衰退を続けて
いると思っていました。そんな中で『雪印』が今、北海道を支えようとしているセイコーマ
ートさんの屋台骨を支えていると言う噺は感動を覚えました。いいトップが時代の流れ
を見極め、時代に合わせる変革を続ければ地域は潤いを取り戻すのです。優秀なス
タッフはやはり優秀なのだからそれを巧く活用しよう
眼からウロコ、元気を100倍
貰った赤尾会長のカンブリア宮殿でした。
今回の村上龍さんのショートエッセイも素晴らしいと思いました。
あるコンビニ経営者は、『コンビニは同質ではないから市場は飽和状態とは思わ
ない』と言った。『若年層に限ると飽和状態かも知れないが他の層への新たなマ
ーケティングが可能だ』と言う人もいた。だが、赤尾さんは、さらに鮮烈だった。
『コンビニが本当に飽和状態になったら、コンビニとは別の新しい何かが市場に
登場する』
そんなニュアンスの言葉を聞いた時、セイコーマートの強さの秘密に触れた気が
した。赤尾さん率いるセイコーマートは一切大手の後追いをしない。北海道と言う
限定された地区の資源をすべて活かし、コンビニと言う概念や枠さえも越えようと
している
北海道出身者の経営者さんの特徴ではないかなと思うのですが、分析力が突出して
いて、資源をとても有効に使われる合理的な方が多い。そして北海道と言う地域を愛し
ておられる度合いも他地域よりも強いのではないでしょうか。県人会等の組織率や活動
の密度も群を抜いている様に思います。他県民ながらそこに参加するととても心地がい
いと言うのも群を抜いている気がします。北海道の何がそうさせるのか分からないので
すが、北海道出身の私がお付き合いした、また引き続きお付き合いいただいている経
営者さんから感じる『共通の色』がある様に思います。ああ、やっぱり北海道のご出身
だったのか・・・と、感じるケースがたくさんあります。今の仕事に限って言えば、『経営
者』と呼ばれる方々に限ったお付き合いで言いますと、北海道出身者さんの率がグン
を抜いて多くて、大半の方々は、お仕事の評価は厳しいですが、正当な評価とその仕
事に対して応えていただける義理堅さが共存しておられる気がします。信頼を築き、
パイプを太くしようとする志が高く、あまり利を独占しようと言う心根が無い方が多い。
共存共栄を心から望まれる方が多いと感じています。だからやればやっただけ正当な
評価もいただけるので仕事をしても心地よくお仕事をさせていただける気がしています。
もちろんこの限りでは無いのでしょうが、私の周りの北海道出身者の経営者さんには
共通の性向であり、赤尾会長のお話しを視聴していて同じ心地よさを感じました。
さいたま市内でもあのオレンジの看板を見かけた事がありますので、一度店内を見学
して来ようと思いました。
セイコーマートさん、また他地域を同様に支えている、これから支えようとされている企
業や経営者さん、これからもぜひ頑張って下さい。私も非力ではありますが、精一杯が
んばりたいと思います
今回のカンブリア宮殿は、2012年のベスト10に入る素晴らしい放送だったと思います。
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