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カンブリア宮殿・・・はせがわ 会長 長谷川裕一さん

 『手と手のしわを合わせて幸せ、南無~』

 今回のゲストはあのCMで有名なお仏壇の『はせがわ』、会長長谷川裕一さんでした。

 我が家には(実家にも)お仏壇がありませんでしたので、お仏壇の存在意義がよくわかり

ません。ただお仏壇を見かけると、サッと座って『ち~ん』と出来る人は凄いなと感心す

る心はあります。NHKの『家族に乾杯』で笑福亭鶴瓶さんがぶらり旅で家に招かれると

まず真っ先に自然とお仏壇に手を合わせるのが格好いいし憧れもします 

『はせがわ』さんはお仏壇を年間25,000台売る日本一のお仏壇販売会社であり、お墓も

年間5800基で日本一。番組では日本一の供養のデパートと紹介していました。うまいこと

いいますね  

 2011年3月期決算で204億円の売上、全国に100店舗以上の店舗網を持っています。

 はせがわさんの朝礼シーンでは、全員で般若心経の唱和をしておりました。大勢で

般若心経を唱えるのは壮観で、面白い絵でした。般若心経だけでなく毎朝、いろんな宗

派のお経を唱和するとの事でした。お仏壇をお届けにあがった際、同行したスタッフが

全員でお経を唱えるそうです。照れや恥ずかしさは出さずに朗々とはせがわさんの社員

方がお経を唱えてくれるのは購入者としては嬉しいものだと思います。巧みな演出です。

 はせがわさんは保守的な仏壇業界に常に変革をもたらして来たと言う自負がおあり

になるとの事で、その一例が価格破壊。昔はお仏壇が高かった。その理由は仏壇には

設計図がなく、竿にいろんな寸法が記されており10年超の修行によって初めてお仏壇が

組みたてられると言う伝統工芸品そのものだった。熟練した職人の手作業によらねば

作れない仏壇では価格が下がらない。そこではせがわさんは京都から仏壇を買ってき

てバラして設計図を創ることから始め、自社生産で仏壇の価格を下げる努力をします。

 番組では1台150万円の仏壇が紹介されておりましたが、昔であればベンツ一台分よ

りも高かったモノだそうです。螺鈿細工が施されておりそれは見事なお仏壇でした 

お仏壇って何?と言う紹介もありました。その答えは、お仏壇とはお寺のミニチュア 

日本初のお仏壇は法隆寺の『玉虫の厨子』だそうです。江戸時代になって箱型の仏壇

が広まったそうです。と言う事はあんまり歴史的なモノではないのですね。仏様とご先祖

を一緒に祀る箱が仏壇と言う定義でした。地方や宗派によって差があるとも言ってました。

 はせがわさんでは震災の被災地に、簡易仏壇を配って歩いているそうで、配った数は

既に2000基になると言ってました。(番組では『基』と言ってましたが『台』と『基』の使い分

けも私には?です。仏壇の世界は難しい  )

被災地の仮設住宅に無料で差し上げているそうです。これは偉い活動だと思います。

災害の時に手を合わせる場がない事が不安に繋がる。なるほど仮設で暮らしていても

亡くなった家族に手を合わせる事が出来て初めて落ち着きを取り戻せるものなのかも

知れないなと感じました。行政もこういう点は学んだ方がいいですね。

 少し、時計を昔に戻して、高度経済成長に入る頃なのでしょうか?石炭の炭鉱がとても

活気があった時代。福岡が本拠地のはせがわさんのおひざ元で、三井鉱山の三池炭鉱

で爆発事故が発生。400人以上が亡くなる大惨事が発生した。長谷川さんはこの爆発

事故の際に、身体が自然に現場に向かい、炭鉱の労務課長さんにこんな時こそ仏壇が

必要なんだと口説いた。当初は労務課長も事故を商売の種にするなと非難されたそう

です。ただ長谷川さんの執念に労務課長も折れて、被災者名簿を閲覧させてた。この頃

の炭鉱夫さんは若い方が多くて小さなお子さんがいる家族が大半だった。『お父さんは

一緒にココに居るよ』とお仏壇に手を合わせる事で家族は成長して行きます、と一軒一

軒お話しをして廻ったそうです。

 この辺はちょっと宗教チックでお仏壇と一緒に育っていない私には理解が難しい所

です。 ただこの時には60台のお仏壇を買って貰ったそうですよ。お仏壇のおかげ

でお子様たちも亡くなったお父様と一緒に立派に育ちましたと長谷川さんは笑ってお

られました 

 ここで、『はせがわ』さんのヒット商品『古都』と言うお仏壇が紹介されます。そんなに

大きいモノではなく5万台を売ったヒット商品だそうで、小さくとも祀られている家族の為

にいろんなお供え物を置きたいと言うニーズに合わせたお仏壇との事でした。

 災害などで家族を亡くした方々に仏壇を営業すると言う事はそれまでほとんどなかっ

た。それは事故を商売の種にすると言う事で叱った労務課長の精神があり、売る側にも

その意識があったはず。ただ長谷川さんは哲学を持ってお仏壇の営業をした。仏壇は

そう言う家族にこそ必要な物なんだと言う考えをしっかりと持って営業をした。物を売っ

たのではない。

 浅草にある仏壇通りに行くと、お仏壇屋さんがズラリと並びます。幾つかのお店を廻る

と、同商売ですのでどこもお値段のディスカウントで商売をしておられる。一方のはせが

わでは、通常接客に2時間位かけて『売らない営業』をするとの事でした。

 『モノではなく真心を売れ』・・・お客さんの大半は仏壇の知識がないので、お客さんと

同一の目線でお客さんの想いになり、お客さんの想いに合わせたモノを一緒に選んで

差し上げる。つまりは『誠実』であれ・・・と言う事だと。どうしても物を売ろうとすると同じ

想いになれなくなる。売る為にへりくだってもダメなんだ。心を開いて貰うには同一目線

が何より大切であり、しっかりとお話しを聞かなければ誠実になれません、との事でした。

村上龍さんがここではせがわさんの4つの禁句を紹介します。

①ありません、②知りません、③分かりません、④できません・・・これが4つり禁句だと。

先に紹介した『誠実』な接客をする基本は、同一目線でもっと『なんとかしてあげたい』と

言う売る側の想いなんだ。その想いがあれば、この4つの言葉は出て来ないだろう。

真心を売ると言うのはお客さんと同一目線になる事であり、そうなる事でお客さまが最

も心を開いてくれるのだとお話しされておりました。この点は仏具を扱うと言うよりもセ

ールス全般、接客全般に通ずる大切なセオリーだと思います。

 村上龍さんが、『カンブリア宮殿』は勢いのある企業の方々をゲストに招いているの

ですが、誰ひとり利益を優先すると言う企業がないのですが、そういう企業がなぜ儲か

るのでしょう?と長谷川さんに尋ねました。

『商売は独りよがりではダメ。お客さまのお役に立つ事で利益はお客さまが与えてくれ

るものです。価格競争などは不誠実な態度であって、価格競争をするのであれば最初

から価格を下げて売るべきだと思います。お役に立てば利益は自ずと産まれてくると

思います』と回答されておりました。

 どうお役に立たせていただくか?それを考えるのが接客であり、その情報を得るため

に同一視線でお客さまのお役に立つ為にお客さまとお話しをする。その為には2時間

位は時間がかかるものだと言う事なのでしょう。

 長谷川会長が接客した姿を撮ったビデオの紹介がありました。亡くなった奥さんの為

に仏壇を見に来た男性がお客様でした。いろんなお話しをする中で(早送りでしたが)

亡くなった奥さんには何も買ってあげられなかったのでと涙するお客さんが映っており

ました。宗教と言いますかカウンセリングと言いますか。もうその接客は接客ではあり

ませんでした。売らない営業(接客)とは接客の次元を越えたカウンセリングでした 

 仏壇通りの営業とは完全に一線を画しています。これは凄いと思います。

 ただこの営業は仏壇だけにとどまらずに、結局のところ、すべての営業マンに通ずる

モノだと思います。4つの禁句も然り。ないモノ、出来ないモノを出来る様にする事でヒッ

ト商品も産まれるのだろうと思います。

 長谷川さんはなんとも活発、朗らかな、全然仏壇屋さんを感じさせない朗らかな元気

の塊でした。常に変わり続ける事が大切であり、それこそが『諸行無常』だと言うセリフ

は素晴らしいと感じました  

村上龍さんのショートエッセイです。

仏壇をバックにゲストと話すのははじめてだったが、不思議に気持ちが落ち着い

た。なぜわたしたちは個人や祖先を祀る祭壇を必要とするのだろうか。キリスト

教など他の宗教を除いて、わたしたち日本人は仏壇を通し、故人や祖先と向か

い合い、あるときは対話をして、亡くなった人の思い出を心に刻みつける。また、

生命と、大いなるものへの畏怖の念を育てる。

長谷川さんは異様に元気な方だった。明るいオーラに充ちていた。他者に感謝

し、その恩に報いると言う理念が、エネルギーの源泉なのだろう。

なんとも素敵なショートエッセイです。他者に感謝し、その恩に報いると言う理念は

幻冬舎の見城さんのGNOと一緒ですね。『義理と人情と恩返し』つまりはGNO。

商売によって扱うモノは違えども、その根本は共通なもの。

 消費者の側から見ると、お買い物はストレスの発散、つまりは心地よさを得るため

の行為な訳ですから、お仏壇の中に見る宗教性と言うか、心地よさの共鳴できる部分

をいかに磨くのか・・・つまりは自分の真心をいかに磨くか。接客を生業とする方々は

常に自分を高めて諸行無常の精神で変革し続ける事が大切なんですね。

 ゆく川の流れは絶えずして・・・つまりは水が流れるが如くに当たり前に接客のふるま

いが出来ている事が大切です。接客、営業をする方々は研鑽を積んで身を正しておか

なければなりませんねぇ。長谷川さんの神々しさはそんなところからきているのかもし

れません。村上さんが『明るいオーラ』に充ちていたと表現した部分です。もっともそれ

は『異様に元気』に裏打ちされているのかも。迷いがなく仏壇を通してお客さんのご先

祖や亡くなられた家族に向かい合おうとする心があるからこそなのかな。

 単なるお買い物でなく、消費者を買い物を通して高い満足感、もっと言うと幸福感をも

与えてしまう接客術がはせがわさんを支えているのでしょう。ロールプレイングで接客術

のコンテストをやっていましたが、世間一般がやっている技術を教えるのではなく、その

精神を審査している所にこそはせがわさんの強みを感じました。

 なんとも勉強になったお仏壇のはせがわさんでした。

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