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カンブリア宮殿・・・北野エース 社長 北野秀雄さん (24・3・15)

 本日のゲストは『北野エース』社長の北野秀雄さんです。

 『感動を生むオンリーワンスーパー』として紹介されました。

 『毎日通っても飽きないお店』として、大手スーパーのレジ袋を持ってお客さんが北野エ

ースさんのお店に吸い込まれる様に入って行く・・・。

 北野エースさんは生鮮食品は扱っていないそうで、定番品も置いていない。そういうモノ

は大手のスーパーで買ってくれ・・・と言うスーパーなのだそうです。

 ではどんな品物を置いているのか?醤油はかつお醤油やニンニク醤油など140種類、ド

レッシングは195種類も置いてある。酢も70種類もある・・・。

感動スーパーの極意

①圧倒的な品揃え・・・レトルトカレーは350種。ブック陳列 (タイトルだけしかお客さんに

 見せないことでついついお客さんが興味から手に取ってしまう陳列。本棚みたいな陳列

 法) 

 安売りスーパーの真逆の発想。『安さではなく質で勝負』だとのことです。

②毎日商品が入れ替わる・・・ずっと同じ商品、同じ売り場はお客さんが飽きてしまう。

 定番品を買いにくるお客さんには同じ売場である事が買いやすさに繋がるのでしょうが

 定番品は置かないお店だからこそのこだわりがある様です。お客様からのリクエスト品

 はその旨を表示してアピールしておりました。

③品切れはご法度・・・品切れはお客さまをガッカリさせる。欠品を防ぐシステムとして

 近隣のお店同士で商品を交換し合って欠品しそうな品物の補充をするシステムを作って

 いるそうです。

 さて、北野スーパーさんは全国に50店舗を有しているそうで、小売が苦戦している時代

にも関わらず、売上を順調に伸ばしているんですって。

 どこがフツーと違うのか?その秘密を知りたくなりますよね。

 村上龍さんが『売れないモノも置いているのに、なぜ増収が可能になるのか?』とご質

問をされていました。

 北野さんの回答は次の通りです。

 『お客さんはすべて正しい。お客さんの言う事を聞け』・・・これが上記②の『お客様から

のリクエストにより仕入れました』と言う表示に繋がります。1つ入れると1つ外さなければ

なりません。ただこの入替が大切で『ちりも積もれば山となる』。これを繰り返しやり続け

る事で、地域に密着した店舗になるとのことでした。

 フツー、スーパーと言えば定番品を同じように陳列するケースが多いですよね。とある

スーパーでは『意識して』どのお店でも同じ売場を作っている所もあるくらいです。

 北野エースさんは1つとして同じ店舗は創らないそうなんです。浅草ではお客さんが高齢

者中心なので和菓子売場に力を入れており、川崎ではワインコーナーを設置。ワイン好き

の主婦がターゲットで800種類も陳列しているそうです。大宮はエキナカにお店が有る事

から総菜やお弁当に力を入れていて帰宅途中のサラリーマンやOLがターゲットなんです

って。

 それではアイテム数が増えて仕入が大変だろう・・・そう思いますよね。そこには独自の

システムがあるんです。専務が商品バイヤーさんに発破をかけているシーンが写りまし

た。北野エースさんの強みは『ワクワク感』や『感動』が強みだ。お客さんを喜ばせるには

新商品が重要だ・・・と。そして会議室にバイヤーさん達が全国から集めて来た商材の

物産展が開催されていました。その商品数は300種。『合同商談会』と銘打って、各店舗

の責任者さんが集まり、各自のお店に合う品物を直接仕入れるのだそうです。

つまり・・・

 一般的な店舗・・・本部のバイヤーが仕入て各店舗に流す (だから同じ売場になる)

 北野エース・・・・・各店が独自に売れると思う品物を仕入れる (お店に個性がでる)

『合同商談会』で採用される品物は4割。バイヤーも必死なんだとか  

北野社長曰く、この商談会で店長が仕入れたモノは店長も必死ですから必ず売り切りま

すよと笑ってました。

 村上龍さんがまたココで質問しました。

 『各店長さんが仕入をする基準てあるんですか?』

 『自分が食べて美味しいモノを売れ。家族が食べても安心なモノを売れ』と言ってます。

北野社長は答えます。売れるかどうかは分からない。ポリシーだけを決めてあとはお客さ

ん任せ。お客さんに聞けを地道に繰り返して行く事です。

 『なぜ全国に50店舗も作ったのですか?』

 『店を作ると商品が集まるんです。お店は販売の拠点であると同時に商品開発の基地

 にもなるんです・・・』

 お客さんを感動させるにはワクワク感が大切であり、常に新商品を探さなければなりま

せん。地元の中小・零細企業の作る美味しい品を集めることが大切なんですよ、との事で

した。これは北野エースさんが各店長さんに仕入の権限を任せているからこその極意で

すね。仕入の権限の無い一般的なスーパーの店長ではこんな芸当は出来ません。売る

事に専念することと売れる品物を自分が選んで売る努力をする・・・後者の方が良い店長

が育つように思います。。。

 『北野エースさんはそれぞれのお店を地域に合わせる『カメレオン的出店』をされてい

ますが、他には例がないですよね?』

 『北海道から沖縄まで、地域によって売れるモノが違いますからね。東京1つを例にと

っても実はひと駅違えば売れるモノは全然違うんですよ。大手スーパーさんは店舗の

標準化が一番大事ですが、北野エースでは非効率が大切なんです』

 北野エースさんは兵庫県尼崎に本社があり、北野秀雄さんが社長になる前はフツー

の地場スーパーとして安売りを主体としたフツーのスーパーだったそうです。ところが

270億円あった売上が大手スーパーが近隣に出店、競合する事で競争に負ける様に

なった。売上も150億円まで下落したんですって。デフレの中での安売り競争では、大

手に勝てない。北野さんはそう思ったそうです。そこでこれまで関西が中心だった商圏

を首都圏に求め、安さではなく質にこだわったスーパーを市川にオープンさせる。ところ

が知名度も無ければ安くもないスーパーは赤字続きで、その後に出した2店と併せて3

店舗の中で2店は閉めてしまう結果になる。ただ負けて関西に帰る事は倒産を意味す

ると言う苦境に立った時に大手デパートの部長から出店依頼を受けることになります。

安さより質にこだわった品揃えが認められたのです。それが転機となって出店依頼が

各地から舞い込むようになり、現在に至っているそうです。

 これは納得のお話しですね。もともとニッチ市場を狙っての商品構成をしているスーパ

ーですからデパートなどそれぞれのお店と競合しないですからね。定番品は置かない、

定番品は他所で買って下さい・・・つまりは敢えてニッチを目指している訳で、スーパー

やデパートが有って、北野エースさんも有る・・・と言うのがビジネスモデルですからネ。

 番組は北野エースの人気商品に育っている『満腹どらやき』を作っているメーカーさん

で取材をしていました。テニスボールくらい?の甘さを抑えた餡がどらやきの皮に挟まれ

たインパクトのある品物です。価格は1個250円?と言ってました。

 作っているのはあんこを作っている小沼製餡と言う静岡の小さなメーカーさんだそうで

1つ1つ手作りです。北野エースさんと取引が始まって多い日は1日1600個、以前の3倍

の量を作るようになったんですって。3年前に取引を開始して倍の売上になったと喜んで

おられました。これは一例で、全国の店舗やバイヤーさん達がそれこそ色んな食材を

集めてこうした商品に育てる努力をされている。。。

 最後に、現場が大好きと言う北野さんがお店の視察に行き、そのお店でお客さんに

お菓子の試食をお客さんに薦める姿が放映されました。

 村上龍さんの最後の質問です。

 『なぜ量から質に転換したのですか?』

 『デフレが進むと価格競争では中小は生き残れないのです。ニッチを狙って生きて

行こう。スーパーから脱皮をしよう』と思っています。捨てる勇気が大切です。

 小売業と言うのは現場が一番大事で、そこにこそアイデアのヒントが有ります。北野

さん自らがお客さんに試食をして貰って売る姿が映りましたが、本当は全商品試食販

売が出来れば一番良いと思います。。。との事でした。

 『質』を売る北野エースさんならではの発想ですね。値段・安さの評価は値札を見れば

分かりますが『質』を正しくお客さんに評価して貰うのには『試食』が一番ですからねぇ。

 試食に興味を示した小池栄子さんに、『今年中に1つ、全品試食が出来るお店をつくろ

うと思っています』と笑う北野さんの姿が映ってスタジオ収録は終了しました。

 恒例の村上龍さんのショートエッセイです。

 ゲストの資料を読み、スタッフとミーティングをしていて、いつも思うことがある。

『今、ここまでやらなければ企業として生き残れないのか』

 エースの北野さんと話していて、とくに強くそう思った。消費者の多様化は極限ま

で進んでいる。北野さん率いるエースは、商圏規模、地域の特性と経済力、消費

性向などの違いを見極め、現場主導で、まるっきり違う店舗を演出する。蓄積され

た情報と、失敗を含めた体験に裏打ちされたそのビジネスモデルは、おそらく他の

誰にも真似ができない。洗練の極地、ではないだろうか。

 大手スーパーには価格面では勝負しても規模のメリットで勝てない・・・。だから価格競

争で戦わず、『質』に転化すると言うのは、村上龍さんの言う、『ここまでやらなければ

生き残れないのか』と言うのが、その通りだなぁと思わせる極地を目指す危険な掛けだ

と思わせます。移ろいやすい消費者の心を掴む事は容易ではないし、また消費者は飽

きっぽい。その意味ではこうしたテレビに出ることで一気に人気に火がつくのはもろ刃の

剣の様にも思います。消費者は日々の暮らしで必要なモノは必ず購入しなければなりま

せんが、そういう品は他所のスーパーで買いなさい、ウチは面白い品、見た事の無い美

味しいモノが置いてありますよ。。。陳列だけで言えば、北野エースさんは大手スーパー

の市場を荒らさないですが、大手スーパーはいつでもイイトコ獲りが出来ますよね。

 北野エースさんは商品の入替の積み重ねが大切だとお話しになられていましたが、

消費者の飽き以上のスピードでどんどん新しいドキドキを味わえる商品探しが発展のカ

ギになる。安さでは売らないとは言え、高価格品が売れる世の中がいつまでも続くのか

どうかと言う不安もあります。ニッチを狙うのは中小では大切な事ですが、こと小売業に

関してはニッチが押しつぶされて隙間がなくなってしまう事だって充分に有り得る話しだ

と思います。だからこその『サバイバル』、薄氷を踏む経営だけれども、今はお客さんが

それを支持している企業。。。と言う事なのでしょうか。

 失敗を含めた経験を活かし、洗練の極地・・・とてもユニークな企業だと思います。時代

の方向性を間違わずに巧みにお客さんの注目を集めながら時代を先導し続ける。。。

大変な努力が必要だと思うのですが、頑張って欲しい企業だなぁと思います。

 地元企業を躍進させる大きな力を持っているプロデューサー的な小売業。。。

 難しい選択を常にし続けなければならない路線ですからバイヤーさんや店長さんは

鍛えられると思います。人を育て、地域を育てることに活路を見出す小売業と言う選

択をした北野エースさんが繁栄する世の中はとてもいい世の中だと思います。嫌なニュ

ースがたくさん入ってきますが、10年、20年先も北野エースさんでたくさんの方がお買い

物を楽しめる日本であって欲しいと切に願った今回の放送でありました。

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