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カンブリア宮殿・・・モクモク手づくりファーム 社長・木村修さん、専務・吉田修さん

 今週(24・4・26)のカンブリア宮殿も面白かったです。

 『モクモク手づくりファーム』と言う存在を私は全く知りませんでした。

 14ヘクタールの敷地には放し飼いのブタが居て、ヤギのエサをあげたり、ポニーの乗馬

体験がある施設。一見すると『ふれあい動物園』と『産直販売所』の融合施設なのかな?

なぜカンブリア宮殿に取り上げられるのだろう?そう思いながら番組を観ておりました。

 ハム・ソーセージの販売コーナーは人気があるみたいで、販売所にはかなりのお客さん

がやってきており、8000円分もの加工品を買っているおばちゃんが映っておりました。

 地元産の豚肉にこだわってハムなどを作っているそうです。そしてそれはかなり美味し

いらしい。ただお値段もイイ値段  

 この施設のレストランはバイキング形式で地元の200軒の農家さんご自慢の農産物が

お料理として提供されております。なんと人気施設なので1時間待ち。お客さんのお目当

てはやはりハムやソーセージなのですが、野菜も美味しいんですよ・・・との事。

 千葉のマザー牧場なんかと似た施設なのかな?まだまだこの時点ではそんな気持ち

で観ておりました。

 さて『モクモク手づくりファーム』ですが、所在は三重県伊賀市の山の中。マザー牧場よ

り立地は不利ですね  

 木村さんと吉田さんはともに農協の職員さんだったそうです。

 農協時代に、伊賀産の豚を懸命に大手流通に仕事として売り込んだのだそうですが、

当時は『国産』、『外国産』の表示さえなく、『安さ』だけがただ求められた時代。

 たまたま入ったデパートで、ギフトとしてちっちゃなハムが1万円で売られていた。

 その時お二人は『原料を作っていても付加価値を産み出さない』事に気づいたそうです。

 『価格決定権』を持たなければ下請け産業になってしまう。自分たちで『価格』を決める。

 その為には『ブランド』を立ちあげ、一次産業としての『農家』、二次産業としての『もくも

く工房』、三次産業としての『もくもくでの販売』。この連環を作ろうと決意するんですね。

 そこでポンと農協を辞めてしまう。ただお金はありませんから、農家さんひとり200万円

を出資して貰って協同組合を作ります。

 なかなか簡単に協同組合なんて作れませんから、きっと農協時代の彼らのお仕事ぶり

は凄かったんでしょう。そうじゃないと簡単にお金は集まりません 

 さてこうして出来た協同組合としての『モクモク手づくりファーム』ですが、目的は『農家

が潤うように高い価格で販売すること。つまりは高付加価値商品をつくること』です。

 ご自慢のハムは大手メーカーが1日で液につけて加工する所を、1週間かけて肉を熟成

させたり、ウィンナーでは価格面から使われなくなった羊腸にこだわって製造しているそう

です。工場長曰く、羊腸はパリッとした食感がありますからね  

 この一例で分かる様に、付加価値には妥協しない。ただ、価格にもしっかりと転嫁する。

この軸が揺らがないから生産農家も安心できるのでしょう。

 養豚農家さんがモクモクさんに出荷するようになって経営が立て直せた。今では1万頭

の豚を飼育するまでに盛り返したと笑う姿や、農産物直売所でも自分の名前の入った

野菜を高値で出荷していると笑う農家さんの姿がありました。

 モクモクさんは『すべて地元の農家のためにある。』

 自慢の野菜も農家が決めた価格で売れるんです。(安売りは決してしない。)

 パン工房で売るパンの原料の小麦も地元にお願いして生産してもらうし、ビール工房

でも大麦を地元で育てて貰う。原料のコダワリを消費者は付加価値として認めているん

ですね。(味と言う形で明確に評価されるモノですから、そこのご苦労も凄いのでしょう)

 それで初めて『下請けにならない農業』が成立する。

 モクモクさん、こんな辺鄙な場所で年間売上は47億円と言いますから大したもんです。

 村上龍さんがお二人に『価格決定権を持つとは?』と尋ねます。

 『農協時代、売込をするのになぜペコペコして売らなければならないのか?』と思った

 そうです。地元に対する愛着があります。土着性の強い『ブランド』を立ち上げよう。

 そして地域の中でしっかりとした存在価値を見出して行こうと思ったそうです。

 思うのは簡単ですが、事業化するのは難しい。設立当初は赤字続きだったそうです。

 そんな中で、『ここにモクモクがあるぞ 』と売りだすために、まずはネーミングで

話題性を狙った新商品を投入します。①バレンタイ商戦にハムを売る、②選挙の年に

は創政治(ソーセージ)、③米こめウィンナーなどの話題狙いのPR活動をしたそうです 

イイものを作っても集客が出来なければ、認知されませんからね。味には自信があるか

らこそ、話題性を狙った商品が活きたのでしょう。今も、モクモクさんは新商品開発には

相当の情熱を持って取り組まれているそうです  安住しないところも◎ですね。

 イチゴ狩りのお話しも面白かったです。

 よくあるイチゴ狩りは時間食べ放題です。モクモクさんはそれに疑問があると・・・。

 なぜか?お母さんたちはお子さんに『元を取らなきゃダメでしょ』と言い、そこには農作

物としてのイチゴに愛情・・・つまりは付加価値を産み出す活動になっていない。

 モクモクさんではスタッフさんが『いちごは野菜です』などの情報をクイズ形式でやって

家族を愉しませながらイチゴにスポットが当たる様に仕向けているんですね。人気のソ

ーセージ作り体験なども同様に『学び』がある。お子さんも大喜びです。

 モクモクのお二人は『山の中でもニーズを掘り起こせばお客さんはやって来てくれる』

と笑顔でお話しされていました。ここは大切な所ですね。

 さてさてファンが出来たら、それを組織化しなければ・・・。モクモクネイチャークラブと言

う会員カードが発行される組織をしっかりと運営されておられます。年会費を徴収して、

よりディープな農業体験が出来るようになっています。泥にまみれてレンコンを掘る子供

たちの姿が放映され、収穫したレンコンも揚げものにして美味しくいただいておりました。

 親は食育の観点からも安心して託せるカリキュラム。こういう体験をした子供さんはイイ

子に育つと思います  

 今の会員数は42000世帯なんですって  この数は凄い。

 伝える事が実は極めて重要である。いいモノを作っても売れなければ意味がない。

(意味がないと言うのは、モクモクさんは『すべて農家のためにある』と言う思想でしょ。

売れない事は農家さんの為にならない事なんですよね。)

 420001世帯の会員がいる組織があるのに、更に、通販でも物販をしているそうです。

自慢のハム、ソーセージの加工品だけでなく、精肉やお菓子なども販売しています。

約3割は通販の売上なんですって。村上龍さんはこの通販雑誌を絶賛していました。

この中の記事がとても面白いって。売る為の雑誌と言うよりは、もっと生産者と消費者

が近づける様な素朴な雑誌。本や通販のプロではない雰囲気が随所にあって親近感

が湧くと話してました。読み物としても面白いと龍さんが言うんだから、その通販誌にも

興味が湧きますね  

 モクモクのお二人は『常に自分で表現して行くことが大切です。だから通販誌も全部

自分たちで創っているんです』との事でした。『消費者は仲間だ』と言う名言も出ました。

 食べ物を知って貰う事が大切であり、共感して貰える農業を目指して頑張って来た。

 そんなモクモクさんですが、2001年、温泉施設の採掘など積極策に打って出ます。銀

行も支援すると約束してくれたのに、金融危機が襲うんですね。モクモクさんもご多分に

もれず資金を断たれてしまいます。倒産の危機だった・・・お二人は笑います。

 もうどうしようもない。当時は3万人いた会員さん達に、『夢はあるけどカネがない』と

訴えるんですね。この行為も凄いと思います。付加価値を会員は充分に認めていたの

でしょう。なんと1億8000万円と言うお金が集まってその危機を乗り越えてしまった。

 サポータの存在が嬉しかったですね、と笑うんですよ。

 『農家さんの為にある』と言う姿勢を変えず、その為に付加価値を実感できるモノを作

り、しっかりと活動をする事で信頼関係が構築されているんですね。ここもポイントだと

思います  良い仕事は裏切らないんですよ。

 モクモクさんは伊賀と言うエリアだけには今は留まって居ないんです。

 場所は鹿児島県徳之島。さとうきびの栽培がメインの離島ですが、さとうきびは実は

農業振興の名のもとに助成されてやっている農業なのだとか。これでは未来がないと

言う事で、モクモクが協力して、北限と言われるコーヒー栽培に乗り出したそうです。

1万本のコーヒーの苗を植えた。4年後に収穫が始まるそうです。(楽しみです  )

 モクモクさんのお二人は言ってました。

 コーヒーは成熟商品で、国産プランドはきっと支持されると思う。ただ徳之島のコーヒー

は生豆で出荷せずに、キチンと焙煎も島でやり、コーヒーショップの運営までもやらなけ

ればと思っていると。目指す目標が崇高であり、またいい所に目をつけたと思います。

 徳之島の行政も20年先の島の農業を考えると、いい事だと考えているとの事でした。

 なぜ『徳之島』なのでしょうか?小池栄子さんが尋ねると、面白い答えがありました。

 『おせっかいなんですよ。』  

 モクモクさんには国内外から数多くの視察が来られるそうです。その時にお二人が、

ウチには特産がないだとか、辺鄙だから・・・などと愚痴を聞いてしまうんですね。

それで『おせっかい』が始まるそうです。

 村上龍さん『でもそれはコンサルティングじゃないですよね』 なんとも素敵な言葉です。

 100のモクモクみたいな施設があれば日本の農業は変わりますよ。地域農業には

未来があるんです。

 ちょうど4月の新入社員さんの時期ですが、モクモクさんには今年6人の新人さんが

入ったそうです。東大卒の新人さんがおりました。既に社員さんとして働いている方々も

早稲田・法、中央・経済、名古屋大・農学大学院卒・・・すごい若手が集まって来る。

 農業をしたい学生が増えているんですね。そしてモクモクさんで農業を実際に体験して

いる。志のある若者がモクモクさんで農業を学んで、巣立って行ったら(モクモクさんが

大きくなって行ってもいいですね)・・・農業が変わるかも知れません。

 モクモクさん、とてもユニークな会社だと思います。

 恒例の村上龍さんのショートエッセイです。

 二人の『修さん』は、わたしと同世代だった。収録では、同級生と久しぶりに会っ

ているような、懐かしい気分になった。全共闘世代よりは少し下で、闘争の渦中に

いたわけではなく、すぐ近くで『目撃』した。全共闘は挫折し、浅間山荘事件など、

結末は悲惨だった。だが、『常識や権威を疑ってみる。考え方やシステムは変える

ことが出来る』という重要な視点を残した。

 二人の修さんは、東京の真似を拒み、政府に依存せず、地域の食材を充実させ

て自立を目指す。そういった志と戦略だけが、地域経済の活性化につながる。

 想像力が権力を奪う・・・村上龍 

 補助や助成は実は支援をしている様であっても、往々にして競争力を弱めているに

過ぎない・・・。つい先日、このブログでそう書きました。

 田原総一朗さんや松山千春さんなどが、北海道の農業がこれだけ弱体化したのは

政府の助成に頼って自立する事を忘れたからだ・・・と言っています。食料自給率の向

上と言うお題目を掲げたこれまでの農政は大失敗の連続だった。結果として農家を困

らせ、更に補助金で農家の弱体化を図る今の農政はこの番組をみて猛省すべきだと

思います。『農家、農業の自立』とは何かと言う事を考えるべきですね。

 良く似た構造に『原発の地元』と言うのもありますね。ジャブジャブに補助金まみれに

して自立出来なくしてしまう。民間の資材購入なども高値で調達してあげることで、原発

なしでは生きられなくしてしまう。『自立』の気概がなくなった町は、集落ごと崩壊してしまう

んですよ。それを政治や電力会社が税金や電気代の名目でカネを徴収し、せっせと骨

抜きにしてしまった。言葉は悪いかも知れませんが、原発マネーは覚せい剤みたいだ

と思います。電力や行政がヤクザで、地元が・・・。それぞれの言い分を聴いていると

そう思わずにはいられないです。

 税金が足りないと言うのは当たり前で、使い方を間違っているからでしょう。

 補助金や助成と言うものはよほど慎重にやらなければ、一時的には元気になる様に

見えても長いスパンで見ると、活力や競争力を削いでしまう結果になる事が実に多い。

補助金や助成に罪があるのではなく、結局のところ、人の心の問題です。楽が出来る

ことが分かると、働かなくなるんです。汗を流さなくなるんです。それが慢性化すると

自立することさえできなくなるんです。

 ちょっと脱線しますが、アメリカでは寝たきり老人はあまり居ないそうです。手術や

入院した老人をアメリカでは時間がかかっても、ちゃんとトイレだとか身の回りのことを

自分でさせるんですね。日本では医療側の手間暇の問題で・・・つまりは患者がモタモタ

ウロウロしていては、看護師さんやお医者さんの邪魔になってしまう。効率を優先させる

から、歩けるのに車いすに乗せてしまう。結果数カ月で歩けなくなり、動けなくなり、寝た

きりで生命だけが維持されていると言う事になってしまう・・・。

 誰の為の治療なのか・・・。この軸は本来はブレてはイケナイ訳です。これは商売全般

共通の理念だと思います。医療が目指すモノは生命の長期化なのか、健康、健全でぴん

ぴんコロリなのでしょうか。農政は目先の数万円なのか、子の代、孫の代の仕事としての

農業であり、『農家』なのでしょうか。

 モクモクさんが素晴らしいのは、『地元農家のため』と言う軸を一切ブレささずに、

自分達が『おせっかい』だから・・・と笑う姿に、真実があると思います。

 『お仕事・商売』はいろんなモノを削ぎ落して行くと・・・究極的なモノは・・・眼の前の

方に喜んでいただこう・・・と言う気持ちに行きつきます。それを更に分解すると幾つ

かに分かれるのですが、結構な割合で『おせっかい』と言う気持ちはあると思います。

『おせっかい』に悦びが感じられるからこそ、自発的・主体的な創意工夫が楽しみに変

わるんだと思います。

 次週のカンブリア宮殿は『嵯峨野観光鉄道』なんですって。保津峡のトロッコ列車です

ね。先週の高齢社と言い、モクモクさんと言い、実にユニークな企業を取り上げるものだ

なぁと感心します。マクドナルドやスターバックスも良いですが、魅力のある中小企業の

発掘、紹介もぜひ引き続きお願いしたいと思います。

 視聴率的にはマックやスタバの方が良いのかも知れませんが、ぜひカンブリア宮殿も

『ブレないで』頑張って欲しいと思います 

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