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カンブリア宮殿・・・嵯峨野観光鉄道 社長 長谷川一彦さん

 鉄ちゃんの私はついつい番組に見とれてしまいまして・・・。

 メモや記憶が今回(24・5・3)の放送では少なくなってしまいました  

 京都は嵐山から7.3キロの路線。そこを25分もかけて走るトロッコ列車がメインの鉄道で

す。今では年間100万人の観光客が訪れる優良企業なんだとか。社員38人、パートさん

も37人もいる会社に育ち、売上も10億円程の会社に育ったんですって。

 7.3キロの路線ですが、元々は山陰本線の一部でしたが、うねうねとカーブが多かった

為に『高速化』の名のもとにバイバス線が創られます。カーブの部分は捨てられて直線化

した線路を今の山陰本線が走っている訳です。

 不要になったうねうねの線路・・・保津峡に沿った風光明美な7.3キロを捨てるのももった

いないから観光鉄道を作ろうとJR西日本は思ったんですね。

 そこに1990年、JR西の課長さんだった長谷川さんが社長として左遷されてしまいます。

 従業員は8名。資本金は2億円。なかなかの額だと感じますが、4両の車両と駅を作る

と100万円しか残らなかったそうです。JRも8人の従業員さんも3年間持たなければ潰さ

れる運命・・・。放置されていた線路は草がぼうぼうに茂り、草刈りからスタートする様な

状態でした。お金がありませんから8人で、斜面には命綱をつけて草刈りをして行ったそ

うです。また技術職の方々で営業の仕方も分からないまま、ホテルなどにチラシを置か

せて貰う為に頭を下げてまわったそう。その地道な努力と、新しい路線への期待から初年

度は目標の3倍、69万人の乗客を集めます。まずまずの値です。しかしながら長谷川さ

んはこういう施設は3年目で飽きられ廃れると言う思いを当初から持っていたので、沿線

に桜や紅葉を7000本も植えたんだそうです。景観を・・・京都の四季を愉しんでもらう路

線をコツコツと作るんですね。それが功を奏してお客さんが集まる観光鉄道を創られた。

 

 長谷川さんは、1990年の着任当初、『ありきたりではダメ、テーマパークを目指そう』と

決意します。それを物語る様にトロッコ嵯峨野駅は高い天井に大きなシャンデリアが吊

られているなんとも立派な駅なんですね。トロッコ列車は1時間に1本、料金は大人600

円、こども300円。トロッコ列車の楽しさを演出しようと努力されています。子供たちは

『めっちゃゆっくりやな~』と言いながら、壁もエアコンもない・・・裸電球がぶら下がった

色ばっかりカラフルな車輛を愉しんでます。大人は直接あたる四季折々の風が心地よ

いみたいです。風の強さが心地よくなる様に・・・実は開業当時は時速30キロで走らせて

いたのを25キロにダウンさせたんだそうです。なかなか減速が売りになる鉄道と言うのも

面白いですね。

 トロッコ列車の楽しみ方①ダイナミックな景観、②春は桜のトンネル、③社員さんのお

もてなし・・・。ダイナミックな景観は保津峡と言う絶好の景観があります。沿線に植えた

桜や紅葉が季節ごとに素敵な景観を作って居るのでしょうね。社員のおもてなしって?

車内で車掌さんが唄を歌ったり、駅で手品をしたり・・・手づくり感満載の『おもてなし』の

実演をされているんですね。(それほど上手だとは・・・  でも中国人さんの観光客向

けに中国語の『北国の春』を唄う車掌さんに拍手とカメラのフラッシュが・・・。)

 長谷川さん曰く、社員さん達がお客さんと一緒に楽しんでいるんです~  との事でし

た。長谷川さんはちゃめっけもある方で、聞くに堪えない唄しか唄えないスタッフもいる訳

で、半分くらいの方々が唄を歌っているんです~  との事でした。

 長谷川さんが心掛けている5項目が紹介されておりました。

①テーマの明確性・・・京の四季を肌で味わう

②値ごろ感

③アクセス

④もてなし

⑤継続した投資・・・以上5項目。

 乗客目標数を達成した日は社員さん達に大入り袋が出るそうです。袋の中には千円

札。ちなみに去年は104日も大入袋が出たらしいです  

 社員を大切にすることが一番で、その結果、株主さんにもお客さん達にも喜んでもらえ

る成績を残すことが出来ると長谷川さんは力説されておりました。

 長谷川さんは『日本の観光カリスマ100選』にも選ばれているそうですよ。

 『成功の反対は失敗ではない。何もしない事だ。』と言う名言も飛び出しました。

 会社が順調に育っているので、元はキップ切りのパートさんだった女性が、なんと運転

手さんとして教育を受けておられて、既に運転をされているのですが、もうすぐ一人前の

運転手さんとして・・・つまりはJRのOBさんじゃなくて、自前の運転手さんも育成出来る程

の観光鉄道に育っているんですよ~  

 村上龍さんは、実は当初の2億円と言う資本金の少なさがハングリー精神を産んだの

では?とお話ししていまして、長谷川さんも当初のお金の少なさが、努力する様になった

要因で、汗もかくし、頭も使う様になったんでしょうね~との事でした。

 精一杯やらなきゃダメだし、社長も部長も社員たちもみんなが精いっぱいやらなきゃ

ダメだ  みんなが汗を流す事です~とのお話しでした。

 テーマパークを目指す長谷川さんは、ジオラマ京都JAPANと言う日本最大級の鉄道

ジオラマ(舞台は京都)を作っちゃったんですね。そしてそこにはEF66・・・ブルトレの先頭

部分を切ったボディーがあって、なんと実機を使った鉄道シュミレーターになっている 

 観光客全員が鉄ちゃんではなく、風景を愉しむ方々も多いのでしょうが、シーズンを

問わずにやって来てくれるテーマパーク作りとしては面白い活動をされているのでありま

した。

 番組では①山形鉄道・フラワー長井線(おしょうしな・方言をPR)、②和歌山電鉄・貴志

川線(たま駅長)、③いすみ鉄道(JR最古参のディーゼルカーを導入)・・・廃線の危機を

乗り越えようとしている⇒嵯峨野観光鉄道の様に、優良企業への脱皮を目指して頑張

ってる姿も放映されました。

 恒例の村上龍さんのショートエッセイです。

 作曲家のドボルザークは、毎日の散歩の途中、当時最先端のメカだった『機関車』

を、鉄橋の上から眺めるのを楽しみにしていたらしい。鉄道・列車は、人や貨物を

別の場所に移動させる。そこには多大な経済効果と、『移動』と言う刺激がある。

長谷川さん率いる嵯峨野観光鉄道は、トロッコ列車の沿線に、桜や紅葉を植え続け

風景を見ながらの移動に大きな喜びがあることを示した。日本の資源は、エネルギ

ーや設備や金融だけではない。わたしたちは、地域の風景や伝統文化と言う『資源』

に気づくべきである。

 新幹線を全国各地に張り巡らせる一方で、平行する在来線を廃止する動きが顕著に

なっています。新幹線は設備投資型ですから、LCCが隆盛する様になると、速度と価格

で勝てなくなる公算が大きいです。その一方で、地域の足としての役割も放棄しようとし

ている訳です。鉄道に未来があるのか?と言う問いに真剣に立ち向かわないとJRは禍

根を遺すのではないか。速度と価格以外の部分として『旅の楽しさ』があると思うのです

が、国鉄時代に作った老朽化した客車を使ったブルートレインがどんどん廃止されてし

まっています。価格と居住性を地域のスーパーホテルと比較されると全然勝ち目がな

くなってしまっている訳です。顧客としてのビジネスマンを失い、コアな鉄道ファンからも

廃止やむなし・・・と思われる運営の仕方は果たしてどうなんでしょうね。

 1990年にJRから左遷された長谷川さんが、実は、JRにそう言う問題提起をしている

様にも感じました。

 鉄道が持っているのは『移動手段』としての価値だけではないんですよね。

 最後に、番組では頑張っている地方鉄道として3社の例が挙がっていましたが、銚子

電鉄やひたちなか海浜鉄道など・・・関東圏にもたくさんの地元中小鉄道が頑張って居

ます。去年銚子とひたちなかには旅して来ましたが、とても魅力的な運営・・・古い資源

を活かしつつ、B級グルメと言う遊びの部分を地域としっかり連携して売りだしておられ

ました  もちろんいろんな活性法があってイイと思います。

 地域の足としての鉄路がこれ以上減らないように、切に祈る次第です。

 嵯峨野観光鉄道さんはたった7.3キロの路線です。地方鉄道に希望を与える路線なん

でしょうね~ 

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コメント

ありがとうございます。
なんとかがんばっていますので、
これからも応援よろしくお願いします。
(吉田)

投稿: ひたちなか海浜鉄道 | 2012年5月 4日 (金) 15時29分

ひたちなか海浜鉄道さん、コメントありがとうございます。

応援していますのであの素敵な鉄路を頑張って護って下さい (^^)

投稿: リバー | 2012年5月 4日 (金) 16時44分

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