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カンブリア宮殿・・・伊那食品工業 代表取締役会長 塚越 寛さん

私もかんてんぱぱの寒天にはお世話になっておりますので楽しみにしていた今回 (24・8

・23)のカンブリア宮殿ですが、とても勉強になりました。伊那食品工業さんがこんなに良い

会社だとは知りませんでした。動画サイトで最近はカンブリア宮殿は見られる様ですので

ぜひカンブリア宮殿ファンの方で、見逃してしまった方はご覧になった方がいいですよ。

伊那食品工業と言う会社は、寒天を作っている会社です。

長野県伊那市に会社はあって、そこに観光客が年間35万人も訪れる観光スポットになっ

ているそうです。公園と言うのかな?1994年に日本初の寒天レストランやかんてんぱぱ

の商品を売っている売店などがあります。

伊那食品工業の去年の売上は174億円で、寒天では80%のシェアを持つ。従業員数は

435人。塚越会長曰く、「多くの人から支持される(愛される)会社じゃないと永続できない」

と言うポリシーで大きな公園みたいな土地に本社を構えておられるそうです。

創業は1958年。寒天の原料のテングサとオゴノリを安定して調達し、製造しなければ

いけないとの事で、今では世界から調達しているそうですよ。

さて、塚越さんが言う、「会社は永続しなければならない」と言うポリシーを実現する

ために「年輪経営」と言う考え方で経営されているそうです。1年で大きく成長すると

年輪の幅は大きくなるが、実はそんな木は強風で折れてしまう。バームクーヘンみたい

にちょっとずつ、ちょっとずつ年輪を重ねるような経営を目指さなければダメなんだと

塚越さんは言うのです。

実際、伊那食品工業は48年連続で売上を伸ばしていかれたそうです。

その考えを実践するために・・・①売りすぎない、②作りすぎない・・・と言う事を徹底さ

れたとの事。スーパーから全国的に商品を販売したいと言う申し出も断ったそうです。

売りすぎると、無理をするので品質が保てないし、作りすぎると返品などのロスが出る。

その代わりに、一度作った商品はファンの方のために廃番にはしないと言う努力もされ

ています。

きっと今では原材料の調達が世界規模になったので安定しているのでしょうが、そうな

る前は年によってテングサの調達に波があったんでしょう。

売りすぎない、作りすぎない・・・と言うのはせっかくのチャンスを逃すように感じられます

が、伊那食品工業さんでは、売上の数値目標などは設定していないそうです。単純に

「去年より売ろう」  それだけ。

経営にはゴールはないのであって、際限なく売上を求め続けるといずれキツくなるでし

ょ。慌てる必要はないので、少しずつ年輪を重ねるように売上を作っていけばいいじゃ

ないか。そうすることで企業は永続するのではないか?

企業が永続すると言う事は、社員さんにとっても、取引企業にとってもみんながハッピー

になるでしょ。それゆえに、「永続」は伊那食品工業の基礎的な条件だと考えています

との事でした。急成長は敵なんですよ 

売上は成長とイコールではない。ゆっくりと、だが確実に積み上げていく事が大切なん

です。

48年連続で売上を伸ばしてきた伊那食品工業が売上を落とした時期があります。

それは驚くことに、数年前の「寒天ブーム」の時なんですって。

商品が無くなってしまって昔からのファンから、商品が買えなくなったと随分お叱りを

受けたそうです。(あの頃は、原材料がなくて製造できない・・・と言う時代でしたね)

その経験から「ブームは危険だ」と思うに至ったと話していました。

経営は夢やロマンではなく、社員の生活がかかった地味なモノ。急拡大や上場なんて

目指すのではなく、永続によりみんなをハッピーにさせ続けるモノなんです。

伊那食品工業は、年功序列であり、終身雇用でもあるとの事です。

つまり毎年、ベースアップがありお給料が増える仕組みです。そしてリストラなどもない。

生活の見通しが立ちますから、住宅購入と言った大事業も計画が立てやすい。その結

果、社員さんの持ち家比率は80%もあるそうです。土地が安い事を差し引いてもかなり

恵まれた雇用環境だと思います。

さらに・・・会社の近くには農場があるんです。そう聞くと、社員向けの家庭菜園かなと

一瞬思ったのですが、不正解で、定年退職になった方がその農園で再雇用され、しか

もその農園は定年がない・・・。ぱぱ農園と言うそうですが、そこで昔の仲間と仕事が

出来るって、なんて良い会社なんだろうと思います。

塚越さん曰く「社員の幸せが一番」なんだそうです。

会社とは本来、社員が幸せになるために出来たものだから、安心して働き、将来への

不安もなくす事でモチベーションも上がるだろう・・・と考えておられます 

年功序列が廃れたのは、ぶら下がる人、怠ける人を無くすためでしたが、塚越さんは

その点を考慮して、社員には結構、うるさい事も言うし、「抜擢のある年功序列」にして

あるとの事でした。待遇はマイナスにするのではなく、優秀な人は更に厚遇すると言う

のです。

村上龍さんがこれを聞いて、「労働者の希望は、たとえ100円でも去年より給料が上がる

ことですよね」と話すと、塚越さんも笑顔でうなづいておりました。

村上龍さんが続けます。

「塚越さんの著作の中に、利益はうんこだと書いてありましたがどう言う事でしょうか?」

「私たちは普段の生活で食事をします。その時に、うんこの量を最大にしようなんて考え

ないでしょ。食事は健康に暮らすためのエネルギー摂取。稼いだお金も隅々に栄養とし

て廻して、その残りが利益なんです。利益はあくまで残りカスであって、それを最大に

しようなんて考えるものではない。利益は健康な会社の企業活動によって生じるウンチ

なんだと思います」 

こんな会社ですから世間では「伊那食ファミリー」と呼ばれ、非常に結束が強いとされて

いるそうです。事実、採用試験において、「協調性」を重要視しているとの事でした。

「ひとりひとりの力も大事ですが、まとまった時には2倍、3倍の力を発揮する・・・」。

2008年に10億円かけて研究所を作ったのだそうで、そこで寒天からいろんな分野を

目指す研究をしています。化粧品や医療品、寒天の麺はもう実用間近で、従来品とは

コシが全然違うものが出来ているそうです。寒天=ヘルシーで味は二の次だったところ

に切り込んでいる。可食性フィルムと言って、即席めんの粉末の袋があるでしょ。あの

袋にこの可食性フィルムを使って粉末スープの素を封入すると、お湯をかけると溶けち

ゃうものも開発されてました。溶けてなお、食物繊維がプラスされるんだから単なる便利

グッズ以上のモノです。寒天製造の際に出る寒天カスはアガーライトと言うミネラルを

多量に含んだ土壌改良材として使われたり・・・なんだか大変に有望な会社  的な

情報が次々紹介されました。食品以外の分野で1割を稼ぐようになっているそうです。

年輪経営と言うと、日々のルーティーンが大切だと誤解されがちですが、踏襲は仕事

ではありません。研究や業態開発と言った広がりある仕事をしなければなりません。

すべての企業が「開発型」であるべきだと塚越さんはお話しされておりました。

恒例の村上龍さんの編集後記です。

「いい会社」とはどんな会社なのか。トップに魅力がある、給料がいい、顧客と従業員

を大事にする、利益率が高い、社会・地域貢献をしている、答えはいろいろあるだろう。

伊那食品の塚越さんは、「会社の永続」に最大の価値を見出した。サバイバルすると

いうことだ。そして生き残るためには、利己的な利益の追求より、他者の幸福への

関与が優先することを証明した。

以前よりも今のほうが幸福だ、社員がそう思えるのが「会社としての成長」だと、塚越

さんは確信している。人も、企業も単独では生きられない。もちろん生き残ることもで

きない。

「年輪経営」と言う考え方を採用しようとすると、根本的な部分、哲学をガラッと変えなけ

ればダメですね。中途半端に採り入れると「楽する」ための方便になってしまう。

寒天と言う相場商品を商っていたからこその経営哲学だと思うのですが、腑に落ちる

ところがいっぱいあってとても魅力的な方だと思いました。アマゾンで見ると何冊か

著作もあるようなのでぜひ買って読んでみたいと思います。

「流行やブーム」を追わず、利益はうんこだと思って、うんこを大切にするよりも身体に

目配せをして健康である事を目指す経営・・・と言う考え方はとても面白いなぁ。

私の感想は、後日、著作を読んでみて、「カンブリア宮殿番外編」としてブログにまとめ

てみたいと思います。

今回のカンブリア宮殿を見れた事自体が、いいご縁だったような気がします 

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