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カンブリア宮殿・・・ たねや 社長 山本昌仁さん

今回のカンブリア宮殿 (24・8・16) のゲストは近江八幡の和菓子屋「たねや」さんの社長

山本昌仁さん。

先週の放送ラストでの次回予告を見て、「今、なぜ和菓子屋の社長さんをゲストに呼ぶの

?」とちょっと番組スタッフのセンスを疑っておりました。

さて、放送を見終えて、「とても面白い和菓子屋さん」、「応援したい和菓子屋さん」だと

感動しています。

番組の冒頭は大阪の阪神百貨店の有名店・「クラブハリエ」と言うバームクーヘンのお店

が紹介されました。これも「たねや」さんが手がけているお店なんだそうです。

創業は1872年、今は全国に37店舗を構え、192億円の売り上げ (2011年) があるそう

です。和菓子屋さんは季節によって商品を変えていかれますが、年300種類のお菓子

を製造・販売しています。

今、和菓子の市場は縮小傾向にあって4600億円/年のマーケット規模なんだそうです。

「なぜ、今、和菓子の会社をカンブリア宮殿で取り上げるの・・・?」と思う由縁ですね。

個人的には和菓子は好きなんですが、さりとて、ブームなの?と言うとそうでもない。

緩やかに縮小している市場だと思います。

そんな中で、伝統を重んじながら、革新的な事をやっているのが「たねや」さん・・・こう

言う切り口で紹介されておりました。

あんこへのこだわりは徹底していて、他所に発注しないで、自社製造をしています。

最中の皮はサクサクを食べて貰いたいので、分別包装にして、お客さんが最中を包む

タイプを最初にやったのが「たねや」さんなんですって。

子供のころには水ようかんは缶に入っていましたが、透明な容器に入れて目で楽しみ

器も汚さないで食べれるようにしたのも「たねや」さんが最初なんだそうです。

「全員が良いと思う商品はもう古い」と言う感覚を山本さんはお持ちなのだとか。

バームクーヘンなんかもそういう気持ちで百貨店に出してヒットさせたのでしょうね。

餅にオリーブオイルをかけて食べる商品を開発中・・・と紹介されていました。あれは

美味しそうだったな。

さて「たねや」さんですが、近江を意識してお商売を営んでおられます。ヨモギは3700坪

の近江の畑で農家さんに育てて貰っていました。滋賀産のヨモギを100%使用している

んです。1945年に栗まんじゅうがヒットして和菓子屋さんとしての地位を確立していき、

百貨店デビューした際に、今までの商品を一新させて経営に乗り出した。ところがそれ

が大失敗。お客さんが「たねや」さんに求めたのは雅美(みやび)ではなく、鄙美(ひなび)

だったと気づかれる。これは大切なことですね。

それ以降、滋賀を大切にしたブランド展開をしていかれているそうです。山野草をわざ

わざ工場敷地内で育てて、百貨店の店舗にディスプレイ用に送る努力をされていました。

接客の言葉も滋賀のお国ことばでお話ししているんですって。

鄙美へのこだわりと近江の地を愛す事はイコールになっておられるんです。

これ消費者も支持しているんですね。

「たねや」の心という文があって、それを始業時に従業員さん達が唱和する姿が紹介さ

れていました。その文章は素晴らしかったです。ぜひ何かの機会でご覧になられたら

いいと思います。要はお客さんへの感謝、地域への感謝です。それが商いのよりどころ

だと山本さんは自信を持って話していました。

近江商人と言う言葉ここで登場しました。世間への恩返し・・・三方よしの発想です。

さてさて、ここからが普通の和菓子屋ではないところへと突入します。

世間への恩返し・・・「真似されてナンボ」と言う精神で、どんどんとヒット商品の真似を

許して行くんですね。それもまた恩返し。真似されない商品は魅力がない商品だ。真似

される事で、「たねや」さんも磨かれる・・・そう笑ってお話しされておりました。

「真似される事で世に広まる」それは嬉しい事である・・・。近江商人の町ならではの発想

です。最中の分別包装は最近良く目にしますが、真似したらいいですよ・・・と特許だとか

実用新案で縛らないんですね。和菓子業界全体が縮小しているのに、業界全体が盛り

あがらなくてどうするんですか・・・という事です。できそうでなかなかできない事だと思い

ます。

それだけではなくて、「たねやアカデミー」と言うところで、製造を教えているそうです。

もちろん自社の社員さんもそこで学ぶそうですが、自社の社員さんだけでなく、他社の

職人さんにも門戸を開放しているというから凄いです。そこで学んだ京都の和菓子屋

さんが、京都の和菓子屋さんは閉鎖的で、技法は秘密にします。それだけでも驚きで

した。お菓子の配合をメモしていたら、そんなものはまた聞きに来たらナンボでも教え

てあげる・・・と言われましたと笑ってお話しされていました。 

今、2つの面白い新事業がありますと紹介された事があります。

1つは社員さんの子供を預かる「おにぎり保育園」と言うのをスタートさせた事。

保育園内に畑があって野菜を育てているんです。それを収穫し、給食に出しています。

それだけではなくて、調理場がガラス張りになっていて、子供が調理師さんに「それは

揚げてね」と話しているの・・・  。

食育ですよね。これはいい子に育つなぁ~と感心しました。社員さんの子供だけを預

かっているという事でしたが、広く開放されると良いですね。

もう1つは3万5000坪の土地をすでに購入済みで、そこにお菓子を中心とした里山を

作ろうとしておられるとのことでした。オーガニックにもこだわって、近江、滋賀のブラン

ド力を高めたい・・・とお話しする姿がとても格好いいと思います。

和菓子屋さんですが、大きな夢を持って地元を愛し、地元を革新しようという姿に魅力

を感じたのでありました。

恒例の村上龍さんの編集後記です。

逆説的だが、伝統を守るためには、積極的に変化を受け入れ、自身も変化する必要

がある。絶対に譲れないこと、守るべきものを把握できれば、何を変えなければいけ

ないか、見えてくる。「たねや」は、近江という土地への愛着と、近江商人の本質を守

り抜くために、アイデアを駆使して、新しい商品や事業に挑戦し続けている。

近江商人は天秤棒を担いで全国を歩き、産品を仕入れるトレーダーだったが、常に

ベースは故郷にあった。普遍的で、暖かな「故郷」への思い、その琴線に触れるよう

なお菓子作りと事業展開から「たねや」は決してぶれることがない。

ぶれないために「夢」があり、郷土愛を大切にされているのでしょう。

3方よしの中の、地域への恩返し・・・これも大切ですね。

和菓子ですから、1つの値段はそれほどのものではありませんが、消費者の視点に

立てば、その和菓子のお値段の中に、近江でのたねやさんの夢の実現に向けての応

援代が入っていると思うと買ってなお味で嬉し、夢で嬉し・・・という気分になれますね。

雅美を追いたくなりがちですが、鄙美を追うというのも大切だと思います。

村上龍さんが、帰省した時に感じるホームの温もり・・・というお話しをされていました。

雅美ばかりでは息がつまる。鄙美にこそ安らぎを感じるものなのかもしれません。

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