カンブリア宮殿・・・オイシックス 社長 高島宏平さん
オモシロ野菜がいっぱい紹介されました。
かぼっコリー、そうめんカボチャ(改名・パスタうり)、トロなす、汐ねぎ、みつトマト・・・。
変わり野菜は調理方法も分からないし、価格も高めだからスーパーではなかなか売れな
くて、自家消費が主なんです。
それを世に問うて農家さんと消費者を、流通過程を省いて良い物を早く届ける・・・と言う
お商売をされているのが「オイシックス」と事でいいのかな。「省く」のはネットの利便性
を活かしています。
オイシックスの年商は126億円。社長の高島さんは東大大学院を出てマッキンゼーに在
籍したエリートです。そんな彼がなぜ「野菜」を選んだのか・・・。
まず最初に「食品」を扱いたいと思ったそうです。その中で「野菜」に白羽の矢を立てた
のは、主婦がスーパーを選ぶ際のポイントになるのが野菜で、重くて管理に手間がかか
るくせにあまり儲からない「難敵」だからだそうです。ライバルの参入を見越しての事なの
かも知れませんね。
会社設立から赤字続きで、4年目で黒字化したそうです。設立当初は3人の問い合わせ
スタッフが2本の注文を取りあう有り様だったと高島さんは笑っていました。そんな塩梅
ですから資金繰りが大変で、資金調達のためにエンジェルを廻っていたそうです。
なかなか資金を出してくれるスポンサーに巡り合えず、公園のベンチでボーッと落ち込
む事もあった。隣でたたずむサラリーマンを見て、「落ち込んでも何も得はない」と悟る
程に、連戦連敗で資金繰りに苦労したと笑っていました
当初は農家さんからも相手にされず、酒を酌み交わし、時には農家さんに言われるまま
に土を食べて徐々に農産物を取り扱えるようになったんだと言ってましたね。
他のネット販売と違うところは、本当に美味しい野菜をバイヤーさんが畑に出向いて探し
そこに付加価値をつけて売る・・・と言うところなんでしょうね。だから「生産農家」の獲得
が財産なのでしょう。
変わり種野菜を売るのではなく、それはあくまで入口であって、普段食べる野菜の中か
ら、スーパーに売っていない程に新鮮で安全でおいしい野菜を届けますよと言うのが
「オイシックス」なのだと思います。価格はスーパーの1.5倍だそうですから、創造した
付加価値分は、オイシックスと生産農家が折半しているのかな。
消費者が「評価」すれば、価格面はクリア出来ます。原発事故以後は安全と言う指標
も重要視されています。オイシックスでは専用の倉庫で温度管理から放射能や農薬、
遺伝子組み換えなどの検査をして消費者に送っているとの事ですから、「安全」をお金
で買っている消費者が増えているという事なのかもしれません。
「良い野菜」を高く、安定的に買って貰えるというのは生産農家にとっても嬉しい会社だ
と思うのですが、オイシックスでは「農家オブザイヤー」と言う消費者から支持された農家
さんを表彰する制度があるそうです 農家さんのモチベーションを上げるために一役
買っているとの事でした。
去年は「みつトマト」を作る農家さんがゲットしたのですが、徹底した管理の下、シートを
張って水分や養分をトマトが取りにくくしているんです。言わばストレスを与える事で実が
甘くなる 撮影のときで糖度は8% (普通のトマトは5%程度) 、旬の時は糖度14%ま
で上がるんですって トマトの木にはストレスを与えていますから、収穫量は半減す
る。良い物を高く、安定してオイシックスさんが販売してくれるから成り立つ農業だと若い
農家さんが話していました。
今回のカンブリア宮殿では、オイシックスさんと言うネット通販会社だからなのでしょうか
農業を始めて数年の若い生産農家さんがたくさん出演していました。大変に喜ばしい事
ですね。美味しい農産物を作るために努力する若者農家がこんなに居るのは素晴らし
い
番組のラストでオイシックスさんが扱う農産物のルールがあると紹介されました。
「農家さんが自分の子供に食べさせられる物のみを扱う事・・・」
中国など、農薬漬けの野菜が有名ですが、日本の農家だって、「自家消費用の畑と
出荷するための畑」は違うと言う農家がいっぱいある・・・。
曲がったきゅうりはダメだとか虫が食ったキャベツはダメ・・・なんて言う消費者にも責任
はあるのでしょうね。
オイシックスの倉庫内が撮影された際に映ったキャベツには虫食いの跡があった事を
報告して、恒例の村上龍さんの編集後記に参りましょう。
高島さんには、創業間もない頃に取材させていただいた。
当時のオイシックスはまだ資金調達も安定していなくて取材も、「村上龍を迎える
適当な場所がない」と別のオフィスで行われた。会社も、社長も若く色々な意味で
途上にあったが私は絶対に成功するだろうと言う確信を持った。
「安全というキーワードで日本の食品業界を変える」
と言う姿勢が伝わって来たからだ。
以来、高島さんの経営哲学はまったくぶれていない。「最大のリスクは何も夢中に
なれるものがないまま人生を終える、と言う事だ。」これはアマゾンのジェフ・ベゾズ
の言葉ではない。高島宏平の言葉だ。
2000年創業で、スタッフは151人。売上は2012年3月で126億円・・・。
創業当時は吹けば飛ぶような会社だったんでしょうね。
単にネットで野菜を売る会社だと思っていましたが、ちゃんと付加価値を作っているし、
帳簿に載らない財産も築いている。なかなかライバルが勝てないほどに、12年で特化
したビジネスモデルを築いた会社ですね
12年前と今では「安全」と「価格」のパランスが随分変わりましたから、時代がオイシック
スの方に寄って来た・・・と言う事なのかも知れません。
「安売り」に向かうと、薄い所で勝負しなければなりませんので、なかなかに立ち回りが
しにくくて、生まれては消え・・・と言う事を繰り返しておりますが、どうやって付加価値を
創造し、それを評価してもらうのか・・・と言うところをブレずに通した高島さんは偉いと
思います。3年間の赤字期間はさぞ辛かったろうと思います。
さすがに東大大学院からマッキンゼーと言う経歴の持ち主ですね。
「カンブリア宮殿」出演に際して、「変わり種野菜」押しで紹介されると他所での取り扱い
がないだけに「オイシックス」がきっとヒットするのでしょう。変わり種野菜は話題にはな
りますが、普段の食卓にはそうそうは上らないでしょうからね。一度「オイシックス」を
知ってもらえればきっと家庭の野菜を変える自信があるのでしょう。上手に番組出演を
活かす戦略も立ててこられたと思います
きっと今回のカンブリア宮殿は売上躍進のきっかけになると思います
流通業の基本はきっと「安売り」ではなく、それも一手法ではあるけれど、もっともっと
選択肢はあるのでしょう。安売りは知恵なく誰でも参入しやすいだけ。
安売りはいずれ疲弊し、次の担い手が現れる宿命を持っている・・・。
オイシックスさんはコツコツとブレないで哲学を貫いたおかげで、いいスタッフが育って
いますわ。何よりスタッフも楽しそうに仕事をしていました。
そのスタッフと接する農家さんも楽しいのでしょうね。
なかなかライバルはオイシックスに立ち向かえないのでしょうね。少なくとも大半のスー
パーにはノウハウがない。消費者の志向が変わる中で、いい土壌を作ったなぁ~と
感心しました。
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