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メイド イン ジャパン 逆襲のシナリオ 1 岐路に立つ日の丸家電

NHKスペシャルで2夜連続で『メイド イン ジャパン 逆襲のシナリオ』と言うテーマで

経済番組を放映するそうで、本日はその1日目。

見応えがあって良い番組でした。

まずはソニーのお話しで、出井さんやら元技術者さん達、そして現社長の平井さんにも

しっかりとインタビューされておりました。

ソニーは4年連続の赤字で今年度4566億円と言う巨額の赤字を計上しています。

平井社長は社員さん達に危機感を訴え、『変革の時だ』とスピーチしていました。

中でもテレビ事業は8年連続の赤字なのだとか・・・。

そこで平井社長はソニーの設立者・井深大さんの『ソニー設立趣意書』に再び脚光をあて

井深さん・盛田さんの時の様なソニーにしようとしているそうです。

それすなわち『自由闊達な工場』である事・・・。16万人の企業でどう自由闊達を生み出す

のか・・・と言う所ですね。

ソニーではたくさんある事業分野の中から3分野に絞って、その3分野に7割の研究開発

費を集中投下するのだとか。1つ目はカメラ・映像の分野、2つ目はゲーム、3つ目はモ

バイル。1つ目のカメラ・映像分野ではオリンパスとの提携と言う大事業に打って出たの

はその表れとの事でした。

そもそもソニーのウォークマンはなぜ ipod になれなかったのでしょうか?番組では

ソニーはなんと ipod の発売の2年前にメモリースティックウォークマンをソニーが販売

し、ネットの時代を正確に予測してそれに見合う商品を世に出していたと紹介。出井さ

ん自身も眼光鋭く正しく時代を把握していたと証言されておりました。

ではなぜアップルの ipod の台頭をこうも簡単に許したのか・・・。

それはアップルが i-tunes や i-tunes store などソフトを絡め、有名ミュージシャンなど

の音楽を扱う様に努力したのに対して、ソニーは自社ブランドの販売に拘ってしまった。

それは商品の浸透の広がりを欠く行為だった。また自社の音楽著作権の保護に過度な

ガードをかけたが為に・・・つまりは自己の財産を守ろうとしたが為に、消費者から敬遠

されてしまった。

そこに輪をかけてソニーは井深さんの時代の『自由闊達』はどこへやら・・・大企業に

ありがちな縦割りの事業部の壁が大きく立ちはだかっていた。

2003年にアメリカの担当役員がアップルへの対抗を訴えに日本に来たそうですが、

縦割りの事業部では、アップルへの明確な対抗策は出なかったと話していました。

単体の事業部だけでもはやビジネスが成立しない時代が来ていたのです。

この当時ハードメーカーとしてのソニーはMDをもっと売りたかった。当時ソニーは絶好

調だった。アップルのジョブズさんはソニーに、「MDに拘っていると失敗するよ」と言っ

ていたのにその諫言が耳に入らなかったんですね。ソニーはハードに拘り、自社の

著作権にもこだわり過ぎてしまった・・・。

日本メーカーは市場に適したソフトを創らなかった事に敗北の原因があった。

出井さんはインタビューで、『巨大な組織は思う様に動かせない・・・』と話しておられまし

た。

ipod はウォークマンに有った駆動系のメカが半導体1個で作られています。(番組で

親切にもウォークマンの中身と ipod の中身を分解して見せていました。ipod はなんとも

簡単な構造で驚きました。

2003年にソニーは2万人規模の人員削減に乗り出します。ソニーには世界に50、100と

言った工場がある。工場を持たないアップルと負の遺産を持つソニー。ただ、この人員

削減でソニーの空気が変わった。特許などを保有する優秀な技術者から退職して行っ

たそうです。大企業になって失われつつあった自由闊達な空気は更に失われて行きま

す。そして「管理」の名のもとに、事業部を横断した議論の1つも許可無しには出来なく

なったそうです。新しい発想が出なくなり、いろんな研究に対して、「やらせておけよ」と

言う度量も無くなって、次々に技術開発の芽を摘んで行ってしまった。またそれにより

優秀な技術者がソニーを去って行くと言う悪循環になって行く。

2005年に出井さんが会長を退任し、ストリンガーさんが更なるコスト削減を打ち出してい

く。

2001年当時、他の大手電機メーカーも大量にリストラをしていました。

ただ、人を削れば、競争力も削られる。そして削られた人財は、韓国などのアジアの

メーカーに人財が流れ、アジアの台頭を許すことになる。

ここで話題はシャープに移ります。

液晶テレビの価格は6年で1/3まで落ち込み、サムスンやLGが低価格を武器に市場を

席巻して行きます。

2001年にシャープのアクオスが売り出され、2007年に最高益を出したと思ったら、2008

年のリーマンショックで大打撃を受ける。

デジタル時代の技術戦略としてシャープとサムスンの違いを比較します。

シャープは亀山工場を建設して技術をブラックボックス化しました。独自の技術とその

蓄積に注力したのです。

一方のサムスンは他社から技術を取り込む事が必要だとし、買える技術は買って利用

しろと言う戦略で戦った。技術で戦うのでなく、商品の魅力で戦えと言う事です。

商品の魅力の中には当然に価格も含まれます。

日本の技術メーカーさんがシャープとサムスンの対応の違いを話していましたが、サム

スンは製造現場の中まで入ってきてアグレッシブな活動をするとの事でした。

シャープは亀山工場に続いて、堺工場も作ります。

先にソニーの出井さんは工場はアナログ時代の負の遺産と言っていたのに、真逆の

行動に出る。シャープの苦境は起こるべくして起こったのでしょう。

更に輪をかけて時代を誤ってしまいます。

サムスンはこのころ、新興市場に打って出ました。

日本は技術を過信し、技術的価値はマーケットの価値だと盲信していたのですが、実

際はそうではなかった。それが2008年リーマンショック以降の先進国の経済の鈍化で

端的に表れた。アッパーの層でモノが売れなくなり、新興国を見渡すと既にそこはサム

スンとLGが市場を牛耳っていた訳です。

堺工場は円高にも苦しみます。30%も円高になると技術的価値はさらに評価を受け難く

なってしまったのです。

なぜこうも簡単に韓国は強くなったのでしょう?

それは「技術の陳腐化」が大きいそうです。液晶テレビは実は部品を集めれば簡単に

組み立てられるのだそうで、コモディティ(汎用品)化が進みやすい性質を持っているの

です。アナログ時代からデジタル時代に進むと、実はコモディティ化の進行が早くなる。

コモディティ化に対抗するために必要なものは経営判断のスピード化。サムスン流の

既にある技術は買って利用すれば良い。技術の蓄積より価格も含めた商品の魅力で

戦うやり方が合っていたと言う事です。

さて番組のテーマは メイド イン ジャパン 逆襲のシナリオ です。

ここで前述のソニーが再登場します。(シャープはまだ説得力がないですからね)

ソニーの弊害と化した事業部を横断させてテレビ事業部と音響事業部が融合して新しい

ブラビアを品評会に堂々と出した・・・平井社長の発言とともに紹介されておりました。

またサムスンとLGが市場を席巻しているインドでテレビの面白いお話しが紹介されて

おりました。

インドの方々は青と赤が際立つ画像の色合いを良いと感じるそうです。

そしてソニーでは、自社の技術を活かして日本のものより赤と青が強調されるテレビを

新しく投入した。家電ショップの営業シーンが放映されたのですが、そこそこの機能と

低価格を売りにするサムソンより、赤と青がキレイに出る画像を映りが良いテレビだと

評して、ソニーのテレビが売れていました。実際、インドナイズしたテレビの投入により

ソニーのテレビはインドでは前年対比130%の伸びを示しているそうです。

部品を買ってきて組み立てるサムスンには出来ず、現地のニーズを掴みさえすれば

既に持っている技術を利用することにより、地域に評価してもらえる事が出来るので

す。先に技術的価値は必ずしも市場の評価と一致しないと否定されたのですが、ここ

で価値がまた逆点します。

堺工場が円高で苦しんだのと逆で、新興国が豊かになったから価格以外の付加価値

を正当に評価し、そこにお金が支払えるようになってきた・・・と言う事がソニーのインド

での躍進と幸いにも合致した・・・と言う事なのでしょうね。

アジアが必要としている技術はまだいっぱいあって、日本はその技術を持っています。

それぞれの国や地域で役に立つ技術を活かして、人々が豊かになる事を支える事。

それはソニーの創業者井深さんや、シャープの創業者早川さんが当時目指していた事

ではないか?と結んでいました。

なるほどなぁ~と思いますね。

日本の技術は依然として優秀なのです。ガラパゴス化は優秀であるが故に、日本市場

に特化するから起こること。日本にあった商品を優れているから付加価値分を評価して

高価で買ってほしいと言われても外国の方々はなるほど困ります。私たちの目にはとて

もクリアな画像と思える日本のテレビのあの画像ですが、インドの方々の眼にはイマイ

チで、赤と青を際立たせた色合いが好まれる・・・なんて言うのはインド流のガラパゴス

化ですね。外国に打って出ると言うのはまさにそういう事で、サムスンやLGの低価格

路線は新興国自体が豊かになる事で、選択肢を選べるようになってくると、案外簡単

に牙城が崩されると思います。豊かになると豊かさの象徴としてブランドが好まれる様

になります。テレビさのものが富の象徴だった頃から、ワンランクステージが上がる時代

にインドなどは入って来ているのでしょう。

人間万事塞翁が馬で、今、ここでサムスンやLGと言ったアジア勢に攻め立てられたから

こそ、再度隆盛を得られるのではないか・・・、そう思わせる番組でした。

明日の放送も楽しみです。

ソニーのブラビアの開発噺ですが、事業部を横断させて新しいテレビを創ったことを

画期的と平井社長は言いたかったみたいですが、それは視点が会社目線で間違って

いると思いました。企画そのものがトップダウンでは自由闊達はまだまだ序の口。

デジタル時代のコモディティ化では通用しない。

富士フィルムではあらゆる研究者を1つの建物に集中させて、どこでも誰とでも打ち

合わせが出来るように工夫をした研究所が作られているそうです。

サムスンじゃないですが、他社の良いところは盗めばいい。

一度、管理と言う名のもとに事業部横断を断罪し、自由闊達さを奪って社風が変わっ

てしまったのだから、それを打ち消す努力は相当に大変でしょう。いい人財を失って

井深さん達の頃のDNAはかなり弱まっているはずです。

もっと市場に目配せ、気配せをして需要を探し、創意工夫しながら各国の人々が喜ん

で使ってもらえるモノ、利便性が増す商品をどんどんと世に出す事だと思います。

それが出来れば、ソニーやシャープはきっと再生するでしょう。

それはそうと日本をはじめ先進国では娯楽が溢れ、テレビの必要性はどんどん低下

し、番組の質の低下と相まってテレビそのものの地位が低下している様に感じます。

4Kテレビで何十万円もするテレビを次期高品位テレビとして開発しているそうですが、

それだけの対価を支払ってでも買う価値があるのかどうか・・・。ソフトの供給元たる

テレビ局の存在も大切ですね。

今の日本のテレビ局に果たして期待できるのかなぁ・・・とちょっと暗い気持ちにもなり

ます。

その点、新興国ではまだ娯楽が少ないでしょうから、テレビが受け入れられる素地が

あります。国境の壁を越えた製造販売活動が大切ですね。

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