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カンブリア宮殿・・・羽咋市役所 高野誠鮮さん

本日 (24・11・15) のカンブリア宮殿のゲストは公務員さんの高野誠鮮さん。

神子原米 (ミコハラマイ) の仕掛け人です。

1か月位前のテレ東のキラキラアフロで笑福亭鶴瓶さんが、『ローマ法王に神子原米と言う

お米を献上して話題になっているお米があって、それを仕掛けた人が市役所のおじさん。

めっちゃ面白い人やでぇ~』

と紹介してたのを偶然聞いていたのですが、同じくその神子原米がテレ東のカンブリア

宮殿で取り上げられるなんて・・・  ワクワクしながら22時を迎えました。

高野誠鮮さんは石川県羽咋市の公務員さんで課長補佐の職にある57歳のおじさんです。

まずは神子原米と言うブランドを作って成功させたお話しからスタートしました 

神子原と言う集落は限界集落で活気もない村。18年間出生記録はなく、村の最年少が

50歳と言う典型的な限界集落だった。腰の曲がったお年寄りが山道を登る姿を見て高野

さんは考えた。貧しい集落を豊かにする方法はないものか?

高野さんが考えたのは石川県一広い棚田といい湧水を活かしたお米のブランド化。

寒暖の差と湧水がとても美味しいお米を育てる。これを売ろう  と。

全国平均の米農家の年収が年間350万円に対して、神子原の米農家には年87万円の

収入しか入らない。棚田の制約から収量は見込めないのならば、苦労した棚田だから

こその味を正当に評価してもらって高く売る 

3軒の農家さんが協力してくれて神子原米を売り始めたのが2004年。

2004年は全然売れなかったけれどそれでめげない高野さん。天皇・皇后陛下に献上

出来ないかと宮内庁に当たるもNGで、次にアメリカ大統領(当時ブッシュさん)にトライ。

交渉が続いている中で、ローマ法王庁から先に返答があって東京のローマ法王庁大

使館経由でローマ法王に神子原米が献上された。これがニュースになって広く認知さ

れると全国から注文が入る様になる。当時はまだ取扱農家が少ないのでアッと言う間

に売り切れた。それでも高野さんはやり手です。消費者から問い合わせの電話が入る

ので、その電話に『まだ○○デパートなら有るかも・・・』と上手を言ってPR。すぐにデパ

ートから受注が入る  自分から営業する事なく、翌年からの販売ルートの確保が出

来た・・・と紹介されておりました 

ブランドとして高く売れる様になると農家さんもにも変化が起きる。2007年には農家さん

達が法人『神子の原』を設立し、年商1億円にまで育ったそうです。

さてさてそうなると今までJAは神子原米も単なる石川米として売っていたのでキロ1万

3千円だったモノが、神子原米と言うブランドでは4万2千円で売れる様になった  

神子原米の品種はコシヒカリだそうですが、苦労して先祖が拓き、脈々と努力して作って

来たお米が特別なモノとして評価される様になったのです 

JAに売るより、市役所を通した方が3倍も高く買ってくれる訳ですから、神子原米ブランド

で地域は潤いますよね。

村が潤うと『移住』をしたいと言う人が出てくる。もちろん羽咋市もPRをしたのでしょう。

神子原に住んでみたいと言う人が現れる。カフェを神子原で営みたい人、自然農法で

野菜を育てたいと言う人などなど。出ていく一方だった過疎の村に人がやって来るよう

になり、ついには移住者さんのご家庭で18年ぶりにお子さんが誕生  

限界集落の定義・・・過半数が65歳で消滅の危機にある集落・・・から、なんと神子原は

抜け出る事に成功したそうです  

村上龍さんが高野さんに尋ねます。

『経済学では限界集落は都市部への移住を促した方が良いと言われますが、間違い

なのでしょうか?』

高野さんは明確に間違いだと話していました。

番組はここでちょっと脱線して、羽咋市の宇宙科学博物館のお話しをされていました。

年間10万人が訪れる博物館です。

これまた噺家さんの立川志の輔さんがエッセイでこの博物館を紹介していた事を思い

出し、『あっ 』と思った次第です  

もともとUFO目撃談が多かった?かなんかで、それで町おこしをしようとして、いわゆる

ハコモノを作った。それが宇宙科学博物館。ただでさえ目立たない町にそんな博物館

が流行るのか?と言う話ですが、高野さんがユニークなのは、どうせやるなら他の日本

の博物館みたいにレプリカでなく、月に行ったアポロだとか、ソ連のソユーズとか・・・す

べて本物を持って来よう。でもお金がある訳じゃないので、直談判で『カネはないけど

貸してくれ 』とお願いするんですよね。NASAだとかソ連の研究機関に・・・。そしたら

コレはダメだけど、こっちならいいヨと貸してくれたからアメリカやソ連に行って借りて

来た。それを展示しているから、これらはすべて本物なんですと紹介を受けた。

こんな小さな町の博物館で、無造作に手の届くところに宇宙服や宇宙船が置いてある

のでレプリカだろうと思って志の輔さんが触ったら館長さんから、宇宙に出ているので放

射線だかなんだかで身体に害があると驚かされ (実はちょっと触るくらいなら身体に影響

はないそうです) 、『えっ  これ本物なの・・・ 』と驚いた・・・。と書いてあったんです

よね。宇宙船やら何やらを世界中から集めてきたのも高野さんの仕業なんだそうです。

高野さん流の仕事術は稟議なんて出さずに市長に直談判・・・  

廻りの公務員さんからは嫌われますネ。

でも高野さんは言ってました。

地域社会に役に立つとはなんだろう?財政難だからとかなんとか、稟議を廻すと出来

ない言い訳がついて来て否決されてしまうから直談判で突破するんです  

移住して農家になる為には30アールの農地が必要なのですが、農水省に直談判して

特区扱いで10アールで良い事になり、どぶろく特区の認定も受けたらしいですヨ。

農家の心の壁も突破しようと学生向けの農業体験も募っている。

最初は他所者が来ることを拒んだそうですが、烏帽子制度と言う風習を使って突破し

た。盃を交わす事で親子のつながりになる風習なんですって。

そこでまずは募集要件を『お酒の飲める女子大生』に限定した  

若いお嬢さんとのお酒を通した交流は楽しいですよね。まして過疎の村だったんだから。

出ていく一方だった村に活気が溢れる様になる・・・。今では大勢の人がやって農業体験

に訪れているそうです。

村上龍さんが高野さんに尋ねました。

『市役所で問題にならなかったのでしょうか?』

『もちろん問題になりました。でもどこを見て仕事をしているのかって事ですよね。上司

の顔色を見て仕事をするのではなく、市民の方を向いて仕事をする。大過なく過ごした

いと言うのが公務員の発想ですが、変化を生み出すと軋轢はありますよ。軋轢を恐れ

ちゃダメ・・・』と高野さんは笑っておられました。

龍さんは『みんな同じことをやれと言う教育が間違いなんでしょうね…』と話していたの

が印象的でした。

でも高野さんがこうした『ムチャ』公務員になったのは、上司が『犯罪以外ならおれが

責任をとってやる・・・』と言う言葉に感化されての事なんだとか・・・。

う~ん  と考えさせられてしまいます。

まだ番組は続きます。

青森のリンゴ農家・・・たしか過去のカンブリアかガイアで紹介されたご仁、リンゴ農家

の木村秋則さん・・・(前歯の抜けた仙人さんみたいな笑顔が印象的だった) 無農薬・無

肥料の自然栽培のリンゴ造りに成功した方が提唱する『自然栽培』に乗り出そうとして

いるのです。そのために会津若松市のカボチャの種を得るためにまたまた直談判をする

姿が紹介されておりました。農家さんはダメだと言ってましたが、市長に直談判して、双

方のメリットになるのなら協力しようと快諾されていましたネ。これが世に出るとまた反響

があるでしょう。。。

さらにさらに米粉100%のパン作りにもトライしているそうで、そのお米も自然栽培米。

耕作放棄されてしまっている田を活かして、何年も放棄されているからこそ自然の力で

田が蘇ろうとしている宝の山。それをブランド化したいのです・・・と言う事でした。

なんでも無農薬・無肥料の自然栽培は結果として高コストになるんじゃないですか?と

言う龍さんの問いかけに、『農薬や肥料を入れないことで結果、経費の節約になるから』

との事。

そして、本来はJAにとって農家さんに農薬や肥料を売りつけるチャンスの喪失になるの

でJA的には『自然栽培』はマイナス以外の何物でもないのですが、『神子原米の成功』

への反省に立って、『農家のため』に、敢えてJAもこの地域では 自然栽培を推奨、PR

をしているそうです。

『大過なく・・・』の典型のJAが羽咋市では『変わった』のでありました・・・。

さて恒例の村上龍さんの編集後記です。

限界集落など過疎地の住民は都市部に移住させたほうが合理的だという指摘もある。

だが、今、限界集落に限らず、地方、地域の潜在的な「資源」を再発見する努力は必

要だと思う。たとえば「棚田」は、作業効率の悪い耕作地だろうか、それとも日本が誇

る資源だろうか。わたしの友人のフランス人は棚田を見て、「美しい抽象画のようだ。

はじめて日本本来の風景を見た」そう言った。高野さんは、集落の資源を見事に活か

し、価値を効果的に発信した。資源の再発見には、外部からの視点が不可欠である。

限界集落論はこのブログでも書きましたし、実際高野さんのお話しを聞いた今でも人口

減少社会では、今のインフラは維持できないと思っています。したがって都市部に移住

してもらって集落が自然に帰って行くこともやむを得ないと思っています。

これは人口減少を肯定している訳ですが、地域経済が立ち直り、豊かな暮らしが出来る

様になると、限界集落も神子原の様に人口減少に歯止めがかかり、人口増加に転じる

事も可能なんだと言う証明になっています。

人口が減らず、付加価値を地域が産み出す様になったならばそれを活かすのが『効率』

だと言う公共の福祉の観点も充分に成立します。

ドイツの農業保護では、景観や治水 (山の保水力維持) に農業や林業は役に立っている

のだから保護されるべきだと都市部の住民からも理解され、敢えて割高でも都市住民は

その地域の家具や農産物を買っていると言う講演を聞いたことがあります。

これなどは民度の問題、公共教育の在り方ですね。

『廻りと同じことをやれ』と言う教育の在り方と同様に、『公共の福祉』と言う概念もとても

大切な教育の柱だと思います。

『大過なく過ごすのが大切』と言う考えそのものが、日本をダメにした考え方で日本の家

電がダメになった元凶です。

『犯罪以外ならおれが責任をとってやる・・・』と言う上席者としての価値判断も日本から

『管理』や『経費削減』の大号令のもとでいつのまにか無くなり、今ではこういう管理職は

絶滅危惧種になっています。

『どこを・誰を』みて仕事をするのか?と言う視点が徹底されておれば、こうした芽は摘ま

れないし、営業職だって、よりお客さんの声に応えるためにニーズや不具合をヒアリング

して、それを研究・開発担当者に告げるのでしょう。それを研究職は必死で開発をする

と言うのがそれぞれの本分です。上席ばかりを見ているからついつい本分を踏み外す。

村上龍さんが番組冒頭で、『本当は公務員として高野さんは一般的な仕事をしているは

ずなのに目立つのはなぜか?』とスタッフに問いかけていましたが、公務員の本分に高

野さんほど忠実にお仕事されている人が珍しくなってしまった・・・絶滅危惧種になってし

まったと言う事なのでしょう。

まずは付加価値の高い物を作る事。これが一番に大切です。そしたら次は正当な評価、

つまりは相応の価格で買ってもらえるように世の中に知らしめる事。これも大変に難しい

ことです。お金をかけて突破するならいざ知らず、お金をかけないで・・・となると至難の

技。でも、地域に役に立たねばならないの精神で考え、失敗を恐れずにトライする。

諦めずに二の矢、三の矢をどんどんと打つ・・・  大変だろうけれどやりがいは感じ

るでしょうねぇ。

JA問題も端的に表現されておりました。

神子原の農家さん達はこうなる前まですべてJAに出荷していた。その結果全国平均

の1/3しか収入がなく、貧しさから限界集落に追い込まれた。

多くの農家がコメ作りのアドバイザーのJAを信頼し、素人の公務員高野さんの発言を

最初は相手にしなかった。それを高野さんがしっかりと覆して見せ、神子原の農家さん

達は初めて自分たちの米の正当な価値を知った。

JAの信頼感が揺らぐと、JAもそこで初めて自分の利益のみを考える事を辞め、地域の

農家の事を真剣に考えるようになった。青森のリンゴ農家木村さんが羽咋のJAは凄い

と自然栽培への取り組みを評価していましたもんね。

まだ『羽咋限定』ではありますが、JAも農家のために仕事をしなきゃと考える様になった。

高野さんのお仕事がもしかすると日本の農業を変えるのかも知れませんね。

TPPに反対し、選挙の踏み絵にすると息巻いているJAですが、大規模専業農家や高野

さんは日本の農業に自信があるからこそ、世界に出るべきだと話しています。JAも本分

をわきまえて、『世界に正当に日本の農産物を評価』してもらう努力をした方がいいので

はないか?それにはまずは眼の前の農産物、田畑を正当に評価する努力をした方が

いい。

誰のために仕事をするのか。とても大切な考え方だと思います。そして世界の消費者が

求めているモノをウォッチして来て日本の農家に作ってもらう。

日本は実は世界有数の農業大国でもある。カロリーベースの自給率は農水省のウソだ

と言う話しを聞いた事があります。農水省の予算を分捕る為のカラクリ、虚構だと。

農家は農家の本分を果たし、役人やJAも生産者のため、消費者のために仕事をする

公共の福祉の精神・・・本分をしっかり意識し、発揮すれば充分に世界に伍する事がで

きるのではないか・・・、と思ったカンブリア宮殿なのでした。

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