カンブリア宮殿・・・ブリヂストン 会長 荒川詔四さん
国内のタイアシェア 47%で第一位。
実は世界でもシェア15.2%で、ミシュランやグッドイヤーを抑えて世界第一位のシェア。
ブリヂストンを束ねる会長、荒川詔四さんが本日 (24・11・8) のゲストです。
地下足袋の製造を福岡県久留米市で始めた石橋正二郎さんがタイヤの製造に注目し、
ブリヂストンと社名を変えたのが1931年。そして翌1932年にはタイヤを輸出して以来、
『世界』を意識して活動して来たブリヂストン。売上は3兆円で従業員は14万人。もっとも
売上は海外で80%を稼ぎ、従業員も70%は外国人。ブリヂストン製品を販売する国は世
界150カ国で、工場も25カ国にあるそうです。
世界ナンバー1企業がどう戦っているのか・・・。日本の家電が世界一ともてはやされてい
た時代から一転、家電メーカーは出口が見えないサバイバルをしていますが、どこがどう
違うのか・・・。それを知らせる番組だったように思います。
村上龍さんをして、どう斬るとブリヂストン、荒川さんの凄さが伝わるのか・・・苦しんだと
編集後記で語っていますが、ブリヂストンの紹介VTRがたくさん流れ、あれ?2週に渡っ
ての放送かなと思うほどにゆっくりした流れで進行していました。
紹介された主なものは・・・、
①世界中の路面が再現された実験コースで、各国のお国事情に合うタイヤを作ってい
ます。例えば、ヨーロッパの石畳。現地から石を取寄せて再現していました。アスファ
ルトの道路と違って音と振動が大きくなる。もちろんそれに合う商品を作る訳です。
世界を意識しているブリヂストンとしては当たり前に地域の事情に合わせたタイヤを
作って販売しているのです。
②ダントツ商品としてオーストラリアの鉱山のダンプ用のタイヤが紹介されました。
直径4m、5トンで1本500万円もするタイヤ。360トンの加重を受け、悪路を走るタイヤ
です。世界で作れるメーカーがそれほどないのだそうです。レア商品かと思いきや
紹介された鉱山だけで年1000本は履き替えるフル生産商品なんだとか。さらに凄い
のが鉱山にはブリヂストンの専門スタッフが常駐してメンテナンスの協力をし、ユー
ザーから日々ニーズを聴き出して、それを吸い上げ商品に活かしている・・・。
ナンバー1なのに奢るどころか更に上を目指して地道な努力を積んでいるのです。
鉱山ごとにニーズが違うので商品を作り分けている・・・との事でした。
③タイヤの原材料のゴム園ですが、ブリヂストンは全世界で言うと琵琶湖と同規模の
面積のゴム園を持っているそうです。そして原材料のゴムの研究からやっている。
④ゴムの研究と合わせて年間で2500億円の設備投資をしている。
⑤ボーイング787のほとんどのタイヤはブリヂストン製で、それは過酷な飛行機用の
タイヤにも関わらず 7%の軽量化に成功したためなんですって。飛行機が軽くなれば
燃費が良くなる。徹底してニーズを汲み上げ、研究と技術の成果を商品化しているの
です。
⑥百貨店やマンションの免震ゴムはシェア50%でやはり日本一。築80年の三越本店
で利用されており、震災でもガラス食器や地下食料品の瓶などの被害もなかったそ
うです。これから民家などの低層住宅の利用のニーズに応えようとしているとの事
でした。
⑦運送業者のコスト削減のために『リトレッド』に取り組んでいるそうです。リトレッドと
は使用タイヤの巻きなおし。新品の70%の価格になるそうです。日本ではブリヂス
トンだけしかやっていないと紹介されておりました。
川上のゴム園から川下の産業の現場まで一貫して取り組む事で、まずは現場でニーズ
を吸い上げて、どういう原材料が良いのか?と言った基礎的な所から商品化までフレキ
シビリティな対応が出来るのです・・・と荒川さんは話していました。
いち早くユーザーにニーズにあった商品が届けられる・・・と。
そしてゴムの研究など基礎的な研究と言うのは時間がかかるものなんですとも言ってま
した。だからこそ徹底して研究を続けなければなにないとも
ダントツナンバーワンを維持するためには、さらに上を目指してサービスも製品も改善し
て行かなきゃ行けない。特に原材料の研究は欠かせない・・・と語る姿が印象的でした。
恒例の村上龍さんの編集後記です。
連結売上高約3兆円、その約8割が海外、連結従業員数約14万人、そのうち外国人が
ほぼ7割、タイヤ生産拠点が世界中に約50、タイヤ以外を含めると178、目も眩むよう
な大企業だ。
いつものように成功要因を探ろうとしたが、まるで雲をつかむようだった。見えてきたの
は、創業者石橋正二郎の類い希な先見性と、荒川さんが作り出したグローバルで有機
的な組織だった。
「世界に目を向けよう」という掛け声だけでは、グローバリズムを具体化できない。ブリヂ
ストンは、創業以来常に世界を意識し、その多様性を受け入れ、挑み続けることで、「世
界一」なったのである。
2週に渡るのかなと思ったブリヂストン・荒川さんとの対談ですが日本の家電が陥った
罠には全然ハマらずに、本来の在り方を着々と実行している荒川さんの経営の姿に
お腹いっぱいになりました。
短期的な利益に惑わされず、世界シェア1位に奢ることもない。満たされぬ消費者の
不満を吸い上げ、地域に根差した商品を供給し続ける。それでいて商売のタネとなる
だろう研究は、それがどんな商品を生み出すかなんて事には執着せずに、時間がか
かるもの、すぐに成果が出ないモノと割り切って研究をし続ける大切さを熟知した経営
者の姿・・・。
淡々と発言する荒川さんには世界ナンバーワンのオーラが有りました。
ヒトゴトの様な発言を繰り返すシャープやパナソニックの経営者とは雲泥の差でした。
近道などはなく、やはり本来進むべき道に戻って経営をするよりほか、方法がないの
でしょう。
カンブリア宮殿が凄いのか、村上さんが凄いのか・・・。
うろたえるな 日本
充分にサバイバル出来る能力が日本企業には備わっているじゃないか
そう感じた1時間でした。
ブリヂストンの石橋正二郎さんと言う人も凄かったのでしょうが、それを守り続ける経営
陣も凄いのでしょう。
さすがブリヂストン。『石橋』だ。
| 固定リンク
「カンブリア宮殿」カテゴリの記事
- カンブリア宮殿・・・ハローデイ 社長 加治敬通さん(2013.12.19)
- カンブリア宮殿・・・株式会社シャルマン 代表取締役会長 堀川 馨さん(2013.11.07)
- カンブリア宮殿・・・ナカシマメディカル 代表取締役社長 中島 義雄さん(2013.11.01)
- カンブリア宮殿・・・トレジャー・ファクトリー 社長 野坂英吾さん、BSIZE 代表 八木啓太さん(2013.10.25)
- カンブリア宮殿・・・コッコファーム 会長(創業者) 松岡義博さん(2013.10.18)
コメント