カンブリア宮殿・・・カトープレジャーグループ 社長 加藤友康さん
六本木などに11店舗を展開するうどん店『つるとんたん』。
美味しくて、巨大な器で、ここで食事をするのが楽しいと、長蛇の列を並んでもなお食べた
いお店なんですって。
お値段はきつねうどんで680円とリーズナブル
11店舗と書きましたけれど、それぞれに特徴があるお店なのでうどん店なのですが、全然
形態が変わってくる。お店の立地に合わせたお店づくりをしておられ、それぞれがお客さん
から支持されているお店なんです。
年間400万人が来店し、年商は130億円。
飲食やリゾートホテル、ライブハウスなどを運営している会社さんなのですが、それが仕事
なのではなく、トータルプロデュースが仕事なんだ・・・と言う会社さんです。
カトープレジャーグループさんの仕事は、まず物件オーナーさんからウチの物件をプロデ
ュースしてくださいと言う所から始まるそうです。
自分がいろんな業態運営の為に場所を探すのではないと言う事が大切なんです。
そこで『土地を調査』し、『企画・立案』、そして『運営・オペーレーション』までをトータル
プロデュースする会社。
売上は管理・運営費は貰わずに、利益の一部を受け取るスタイルなんです。
つまりはそれぞれの業態はあくまで土地をマーケティングした結果、保有するノウハウ
も含めてたまたまそうなっただけで、たとえば『うどん店』に固執している訳ではないん
でしょう。もっとも安易に業態を決定するのではなく、徹底的に・・・それこそ死に物狂い
で考え、それを煮詰めた結果なんですけどね。
プランナーさんは数あれど、プランナーとしてフィーを取るのではなく、あくまで利益の一
部を受け取る会社。黒字にならなければフィーはない。常にリスクを取ってお商売を
していると言う自負を知ってもらいたいと言う心意気を感じました。
加藤さんは25年間無敗の男と言われており、赤字の事業はゼロなんですって
事業立案で大事にするのは『時代の半歩先を行くオンリーワン』。今までなかったモノを
開発すると言うポリシーでやっているのだとか。だから新しく出来た施設は、オープン日
から朽ちていく運命にある。その運命を変えるのはマンパワーでありオペレーションだ
と語っていました。(永遠はないのでしょうが、寿命を延ばす努力は大事と言う事です)
プランを出すだけでフィーを取るのではなく、実際のオペーレーションも責任を持つから
こそ言える話しですね。
マーケティングはデータ。見て聞いて感じるものが大切で、『つるとんたん』を開業する
際には一日うどんを12食食べ、ほうぼうのうどんを食べ尽くしたと言うお話しを披露され
ていました。『調査』するためにはいかに徹底するか・・・。あらゆる事を煮詰め、ようよう
出てきたモノを提案し、事業化している。
店舗運営で、女性の店長さんがファーストドリンクは注文を受けてから90秒でお持ちする
と言う事にこだわってスタッフに指示を飛ばしまくるシーンが映っていました。たまたまの
1シーンですが、細かい事の積み重ね、接客の精度を上げ、『たまたま』来るから、『わざ
わざ』来る店づくりの工夫の一端として紹介されておりました。ホテル・旅館の運営での
接客のごく一部も紹介され、通常のホテルのリピート率が二割なのに対し、カトープレジ
ャーグループさんが運営するホテルは五割のリピート率があると紹介されていましたね。
加藤さんが言う『接客』とは、テクニックがある事ではなく、『心があること』。
目指すのは『路地にあるオヤジの小さな繁盛店』。何も言わなくても絶妙のタイミングで
品が出てくるお店だそうです。そんなオヤジの気配りこそがホスピタリティーの究極だと
語っていました。
京都のるり渓、長崎の伊王島・・・公共施設として誕生したものの不振で、加藤さんが
再建した施設も数多くあるそうです。行政にすると赤字で困っている施設なのにも関わ
らず、フイーがかからず、黒字になった利益の一部で賄えるのであれば美味しいお話し
ですね。一方でカトープレジャーグループには大きなリスクがある。
伊王島の物件でどんな工夫をしたのかやや細かく紹介されておりました。
なんでも、1989年にヨーロッパ風高級リゾートとして第三セクターでオープンしたものの
一度も黒字にならず10年が経過。そのコンセプトは東京・大阪から1泊5万円の高級客
を呼び込もう。島だけに夏の海水浴で集客しようと言うモノだった。
加藤さんは遠方の客ではなく、地元の人たちが気軽に来てくれる物件にしようと提案。
具体的には①高級リゾート→ファミリーリゾートに。(5万円→1~2万円)、②お料理も
フレンチから地場のイセエビなどを活かすお料理に。③夏場の集客→通年の集客の
ために1億円をかけて温泉を掘る。④プールも同じ理由でバーベキュー広場になって
ました。
周囲から反対された中、2003年に参入し、2005年には黒字化したそうです。
沖縄の恩納村に作ったリゾート施設のお話しも紹介されました。全249室をあらかじめ
分譲。オーナーが使わない時はホテルとして貸す。年利回り4%で廻るそうです。
オーナーが自己使用するときはホテルの機能を使えるし、一般客は安く借りられる。
結果として運営側も儲かると言う新しいシステムを作ったと言う紹介でしたが、リゾート
トラストなんかの制度とどう違うのかなぁ?とこれは疑問に思いました。新しいのかな。
利回りも東急やエクシブと同程度じゃないのかな・・・。
村上さんが加藤さんに尋ねた『加藤さん流のリスクの取り方』を紹介しておきます。
オーナーさんには『お金の心配はしなくて結構です』。それが大切。ダメだった時には
責任を負うのがプランナー。だから管理・運営費を出すと言うプロデュース フイーの
仕事は受けません。
プロデュースフィーでお仕事をされている人の多くは、感覚で仕事をされ、このお金の
投資で何人の来客が見込めるかなんて事はあまり考えず、根拠のないモノが多い。
失敗しても、他に責任を転嫁してそれでおしまいと言う仕事がたくさんある。
そこと一線を引きたいと言う事なんでしょうネ。
あっと言う間に終わってしまったので本当に加藤さんが手掛けているお仕事の抜粋で
ここからいろんな事を汲みとってほしいと言う加藤さんの心が番組の中で随所に感じ
られました。
村上龍さんの編集後記です。
「死ぬ気で徹底的に考え抜かないとアイデアなど生まれようがない」という言葉を何と
か引き出したかったのだが、結局、聞けなかった。意識や理性のさらに奥にある無意
識の領域まで情報を探らなければ、考え抜くという行為は成立しない。それは決して楽
ではない。だから、たいていの人は「考えているつもり」というレベルで満足してしまい、
画期的なアイデアなどとは無縁のまま人生を終える。
加藤さんにとっては、「徹底的に考え抜く」のは、特別でも何でもなく、ごく自然で、当然
の行為なのだろう。だから番組ではあえて言及しなかったのだ。不敗神話は、奇跡で
はなく、考え抜くことによってのみ、生まれる。
カトープレジャーグループさんは私の記憶が正しければ、もう少し前に紹介される予定
で、次週の予告まで出たのに翌週は違う番組が紹介されたのではなかったかと思いま
す。幻の番宣では、全国から人が集まる『仕掛け』を作った会社として紹介される予定
だったのでなかったかと思うんです。
それぞれの業態の実店舗を切り取っても、新しく既に世に出てしまったモノを紹介して
も加藤さんの心はそこにはない・・・と言う事だったのかな。
世にないモノを作ること、考えること、つまりはオリジナリティーにこそ意味があるのに、
既に世に出たモノを紹介し、そこに群れる事を結果として薦めるのは良くないと判断し
たのでしょう・・・。既に世に出て成功したモノはあっと言う間に真似られ、妙味が枯渇し
てしまう。そのサイクルが今は非常に早くなったとオリジナリティーを語る際にお話しさ
れておりました。
極限まで追い込んで考え抜いたプランであっても世に生まれ出ると、その時点から朽ち
て行く運命。真似る事よりも、新しく世に出るモノを作りましょうよと言う加藤さんの提案
がおそらく番組を作り変えさせたのでしょう・・・。
プランナーと言う事業展開が面白かったですネ。
私の仕事の不動産業界で言いますと、『一括借り上げ』みたいな仕事と言う事なのかな。
リスクは取るけれど、相応のリターンもあるのでしょう・・・。
ただ不動産業界の『一括借り上げ』と言うスタイルは本来は、リスクは加藤さんの心と
同義語、類義語なはずなんだけど物件を厳格に審査して『リスク』は取らないで借り上げ
会社だけが儲かるスタイルになっている会社がいっぱいあるんですよね。本当は誰が
やっても満室になる物件はオーナーの収益を考えれば、通常の管理で良く、地の利が
悪い物件ほど『一括借り上げ』が必要なんだけどな。リスクを取るってそういう事なのに、
リスクは取らず、取り分だけが大きくなっているスタイルもよく見かけます。
心意気、義理・人情・・・と言う所が最終的な違いなんだろうけれど、なかなか眼に見え
ないモノだから・・・。
とても面白いカンブリア宮殿だったと思います。
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