カンブリア宮殿・・・ゲスト パイロットコーポレーション社長・渡辺広基さん
本日 (2013・2・14) のゲストはパイロットコーポレーション 社長の渡辺広基さん。
パイロットと言えば日本のトップの筆記具メーカーさんですね。文房具好きは世の中にゴマ
ンとおりまして、それぞれがマイ・ブランドを持っているんじゃないかと思います。
パイロットさんは従業員数2500人・売上は712億円だそう。えっ?と思ったのはパイロットさ
んは170の国と地域で販売されており70%は海外で売り上げているということ。村上さんも
話していましたが、日本ほどの人口があれば国内に専念してもそこそこの売上は上げられ
るのだろうけれど、創業当初から海外志向の会社だから脈々とDNAの中にグローバル精
神が受け継がれているんだと紹介されておりました。
パイロットさんの創業は1906年。海外航路の船乗りさんだった並木さんが当時の日本は輸
入ばかりで日本から出航する船に積荷がなかったそうで、なんとしても日本から海外に輸
出する品を作ろう・・・と思って筆記具の会社を作ったんだとか。1926年には海外進出をは
じめています。船乗りさんのロマンが具現化した会社なんですね~。
今回のカンブリア宮殿では『フリクションペン』を番組を通して紹介していました。
村上龍さんがフリクションペンの開発秘話が大好きで一押しだったからでしょうね。
今の日本に欠けている精神・・・がココにある と言うことなんでしょう。
フリクションペンの発売は2006年のフランスが世界初です。パイロットは1975年に当時
の会長さんの中筋さんが紅葉をみて温度で色が変わるインクを作れないか?と考えた
のが最初で、メタモインクと言う塗料が開発されます。湯呑に湯を注ぐと色が変わる・・・
的なあれですね。この時にはフリクションペンになるなんて思わずに、実に30年間も
開発を続ける訳です。
フリクションペンのは発売がフランスからになったのは、文化の違いで、フランスの子供
は鉛筆と消しゴム文化ではなく万年筆やペン文化なんですね。だから間違うと修正液で
消していた。たまたまフランスのパイロットのCEOさんが日本に来ていた時に色が変わる
インクのプレゼンを受けた時に、色が変わると言う中に、無色になる・・・と言うのを見つ
け、無色になると言うのは『消せる』と言う事ではないか・・・と思い立ち、あのフリクション
ペンが誕生する。日本の発売はフランスより1年後の2007年からの発売となった訳です
が、フランスではこれまでに8000万本が売れ、現在発売累計は6億本のお化け商品に
成長したそうです。去年1年で2億2000万本が売れたと言うから爆発的に売れていると
言えるのかな 今では150種類のフリクションペンが売りだされ、65度の温度で消え
マイナス20度まで冷やさなければ元の色は出て来ないところまで進化しているとか。
村上龍さんが感動しているのは将来6億本売れるなんてことは分からなくても、30年間
開発を辞めない心と、それが花開いた嬉しさですね。
特許などに守られ当面は安泰なのでしょうがいずれは他社も追随してくる。その時に備
えていろんなモノを開発していると渡辺さんは笑っていました。
パイロットさんはNamaki と言う創業者の名にちなんだ蒔絵の高級万年筆も作っていま
す。6人の蒔絵職人が工房で作っていて中には一本1000万円もする万年筆も作ってい
るそう。日本では最近、万年筆は見かけなくなってしまいましたが欧米ではまだまだ需要
があるんですね。
パイロットの商品をズラリとならべるとドクターグリップ、ハイテック-C。ホワイトボードに
マーカーの組み合わせなどもパイロットさんが開発したモノらしい。
なるほど私もお世話になってます。
新しいモノを開発して世に出そう精神はますます磨きがかかって、今では技術者さんが
直接社長にプレゼンする場があるんです。番組で紹介されたのは今年の春から売り出
される予定のキラキラ光るインクのペンですが、技術者さんが直で社長にプレゼンする
ことで開発のスピードが速くなり、また全部門の責任者が同席するので販売に至る商品
化のアプローチも段違いに速くなる。言わば『技術』を大事にしていると言えるんでしょう
ね。
パイロットさんの本社の風景も紹介されておりました。営業マンさんの机にはPCがなく、
手書きの報告書が今も主流。筆記具メーカーだけに『手書き』の大切さを訴えておられ
ました。作家として村上龍さんも手書きの良さを語っていましたが、字の汚い私などは
「それはどうかな?」と思いましたけれどネ・・・。
ラストでは東芝テックと組んで開発した文字が消せるコピー機がチラリと紹介されました。
フリクションペンのインクをトナーに使う事で、紙の再利用が出来る画期的なモノ。
日本国中で無駄に使われている紙の量って莫大な量だと思います。必要なモノだけ保
存し、不要なモノは温度をかけてインクを消して紙を再利用すると言う発想は凄いと思い
ます。
村上龍さんの編集後記をご紹介しておきます。
渡辺さんの佇まいから、今ではほとんど死語になってしまった「ロマン」の香りを感じた。
ほぼ一世紀前、海外貿易に携わる一人の若き船乗りが、数多くの舶来輸入品に接する
うちに、「いつの日か、日本から世界に誇れるものを送り出したい」という夢を抱くように
なった。そのロマンチックで、かつグローバルな思いが、パイロットの礎となり、その精神
は、長い時を経ても確実に受け継がれ、現在も脈々と生き続けている。フリクションボー
ルなど、数々の画期的な筆記具は、「技術を止めるな、これは完成ではない」というリアリ
スティックな信念と、創業者から継承されたロマンの両方に支えられて、開発されたので
ある。
エコだからと言う理由で活字文化がPC・モバイル文化に押され、文字を書く量もめっき
り減ってしまいました。なまじ引っ越しなどして役所や銀行で手続きをしようとすると、何
度も何度も文字を書くので昔では考えられない程に疲れてしまうようになりました。
ノートや手帳に備忘録として字を書いても漢字は忘れるし、字が汚いので読み返しても
???だったり・・・
漢字変換の利はPCにあり、私のような悪筆の者にはフォントを変えればあらゆる達筆
文字でお手紙などかけると言う点では素晴らしいと思うのですが、『手書き』文化もしっ
かり抵抗している・・・と言うところでしょうか。
もしかしたらパイロットさんは『vs』でなく、それそせれの長所を融合させる・・・なんて
荒技を考えているのかも知れません。
本も電子書籍が席巻するのかと思いきや、やはり本の良さを大事に思う人も大勢いる
と言う事なんでしょう。
私は今のところフリクションペンを使ったことがないですが、この番組をみて、ちょっと試
しに使ってみようかな・・・と思いました。
こんなに進化しているとは全く知りませんでしたからね~
将来の飯のタネは新商品の開発にあり。目先の見えた開発でなく、20年、30年かかって
も大きく育つタネはある。『経費削減』とか『管理』の名目で、芽を摘んでまわることで日本
の会社は随分とダメになっちゃったのではないでしょうか。芽の出ない技術もあるのでし
ょうけれど、いい会社と言うのはそれでも技術を育てる努力をしている。大企業と呼ばれ
る会社であっても、将来の飯のタネとしての技術を大切にしているところとそうでないとこ
ろの差がココに来て出て来ているんじゃないでしょうか。技術を大切にしている企業しか
サバイバル出来ない時代が到来しているのではないか・・・と村上龍さんは言いたいの
ではないでしょうかね。
だからパイロットの渡辺さんをゲストに招いて、フリクションペンを一押しにして今回の
番組を作ったんだ
そんな感じの放送でした。
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