カンブリア宮殿・・・studio-L 代表 コミニティデザイナー 山崎 亮さん
2013年1月31日放送のカンブリア宮殿のゲストはスタジオL の代表で、コミニティデザイナ
ーの山崎 亮さん。コミニティデザイナーなる仕事が分かりにくいですよね。
山崎さんがご自身の職歴から分かりやすいお話しをされていましたので、ちょっと紹介し
ておきます。
山崎さんは元々公園等の設計、ハコモノの設計のお仕事をされていました。1973年生まれ
とのことなので今年40歳。バブル崩壊以降に世に出た人ですね。それ故と言う事もないの
でしょうけれど、ハコモノを設計してもハコモノ自体が飽和状態にあるのでは?それなら、
ハコモノをもっと活用するプランナー?デザイナー?になろうと言うことで、コミニティーデ
ザイナーになったと言うことです。お分かりいただけましたか?
具体的なお仕事で言うと、『地域再生の請負人』と紹介されておりました。
が、彼がああしなさい、こうしなさいと言うのではなくて、その土地に入って自ら地元と溶け
込み、地元の人とお話しする中で、何をしたらいいのかを考えてもらうのを業としている。
決してお仕着せのデザインをする訳ではないんです。
具体的なケースとして、『家島』の『のりっこ』と言う海苔のつくだにやコミニティバスの
活動、鹿児島の旧三越のビルの活用のお話し(現・マルヤガーデンズ)、隠岐諸島の
海士町(あまちょう)の活動などが紹介されました。
スタジオLさんについても紹介しておきますと、スタッフが21名で年商が8000万円。
どうやってお金儲けをしてるの?と言うのが福山市のケースとして紹介されてました。
福山市は現在地方都市にありがちな福山駅前の衰退が目立ってきている。市として
もなんとか衰退を食い止めようと何十億もかけて駅前駐車場を整備したり、補助や助
成制度を設けてテコ入れをしようと努力しているのですが、どうにも効果が表れない。
そこでスタジオLさんに500万円の予算で、活性化の起爆剤になって欲しい・・・と依頼
する訳です。そこで山崎さん流の活動を展開し、地元の方が主役になるように仕向け
てイベントを打つ。単発では効果が薄いのでこの実績を行政が評価して、次年度は更
に予算を振り分けてくれる事を望んでいますとのことでした。少しずつ福山市独自のプ
ラン、デザインが膨らむのでしょう。骨格が出来あがって肉がついてくると徐々にスタジ
オLさんはフェードアウトしていく・・・と言う塩梅ですね。
主役は地域であり、地域の人々 です。
それぞれの地域でいろんな方々に集まってもらう際の面白技術が紹介されました
公の業務だから老若男女、偉いさんや声の大きい人、話が長い人・・・いろんな意見や
プランが出ます。番組で紹介されたケースは最初はグループ討議からでした。本来的
には地位や声の大きさで地域の意見が歪まないことが大切なので、7.5センチの付箋
にすべての意見を書き出すんですって。そうしたらどれもが1つの意見として表現され
るからって。そしてホワイトボードにどんどんと付箋を貼りだしていくと地域の声が把握
しやすいと山崎さんは話してました。
朝まで生テレビもそうやると、単に討論を楽しむ番組からキチンとした提言が出てくるの
かなぁ~。閑話休題・・・。
今、スタジオLさんは三重県の伊賀に事務所を作ったそうです。大阪からも名古屋から
も車で90分。決して交通の便は良くないし、どちらかと言うと伊賀そのものが衰退してい
る町です。なぜにそんなところに事務所を構えたのかと言えば、元々が地方のコミニ
ティの仕事をしてるのだから、便利ではないところに事務所を構え、伊賀の町でも地域
と溶け込む事で学びの場としたいと言う事でした。
そして学生さんや若者がスタジオLさんにコミニティーについて学びたい・・・と大勢の
人が集まってくるそうです。小池栄子さんが曰く、学生さんの中には三重に部屋を借り
て、スタジオLさんを学びの場としている人もいるとの事でした。
番組で紹介された伊賀での活動は農家のおじいちゃん、おばあちゃんとの餅つきでし
た。餅をついて団らんの場で和気あいあいと食事する。お年寄りも若者とお話しする
ことで楽しみが出来るし、若者だってお年寄りと触れ合う事で伊賀の風習に接してコミ
ニティーに参加する喜びがある 親戚みたいなもんだっておじいちゃんが言ってま
したが、実はコミニティーの一員になることって楽しいんですよね。
過疎、高齢化、限界集落って話題がどんどん出てくる時代になってしまってますが、
人口減少社会ではある程度仕方がないんですよね・・・。
さて、それを甘んじて受け入れるのか、それとも・・・。
そのひとつの提案として、山崎さんの活動があるんでしょうね。
恒例の村上龍さんの編集後記です。
「世間」は消失しつつあるが、それに代わるコミュニティは育っていない。宗教的規範が
機能している国だったら、人々は教会やモスクに集まり孤独から逃れられる。山崎さん
の活動を知って、自分はシリアスな変化に気づいていなかったと思った。疲弊した地方
の現実、人口減少による全国的な過疎化への想像力が足りなかった。コミュニティの復
元は、単なるヒューマニズムではない。生産性の急落を防ぐという経済イシューなのだ。
そして、山崎さんの活動は、「ひょっとしたらすべてが手遅れかも知れない」という、ニヒ
リズムとの闘いでもある。
世間は消失しつつあるが、コミニティーは育っていない・・・。確かにそうなんですよね。
先日のガイアの夜明けで破綻しかかっている泉佐野市と破綻した夕張市の活動を紹介
していましたが、夕張で面白い話題が紹介されてました。
夕張は旧炭鉱住宅が市営住宅として利用されているのですが、空室が目立ち、一棟に
数人しか住んでない建物がうんとあるそうです。夕張の人口減少には歯止めがかかり
ません。そこでコンパクトシティと言ってより便利なところに集まって住んで貰おうと新た
な町づくりをやっている。お金はかかるけれど、実は多くの建物を維持するメンテよりも
安く済む訳ですよ。住みなれた所を離れるのは嫌だと言うお年寄りも大勢いるのでまず
はと一棟建ててみた。引越してきたお年寄りは喜んでいました。だって寂しくないんだか
ら。昨日はどこ、今日は、明日は・・・とそれぞれのお宅に集まって毎日お茶のみ噺に花
を咲かせているんだから。ここに引っ越してきて寿命が10年は伸びたよ~と笑うおばぁ
ちゃんの笑顔がありました。
人は本能的にはコミニティーの中で暮らしたい生き物なんだと思うんです。
孤独がいい、ひとりがいい・・・単身世帯が増えていると言いますが、決して望んでそう
ありたいと言う意見が大勢を占めるのではなく、仕方なく、やむを得ず・・・と言う事なん
だろうと思います。この震災で一人でいる事が辛くなって・・・と言う震災婚も随分とあっ
たそうです。
人が減るとコミニティーが疎になるのは真理ですが、つながり方の工夫次第では、従来
にない繋がり方ができ、新たなコミニティーが出来るのではないか?
山崎さんが携わった仕事の中には新たなお祭りが出来たものもあると言います。
お祭りだってイイし、自治会だって開き方、活動次第では充分に面白いコミニティーに
なりますよね。マンションの自治会や管理組合なんかもそうですね。何も居住区域に
縛られずに趣味などだっていい。言ってしまえば『仲間』と一緒にツルんでいる時って
幸せなんですよね
旅先でだって地元の人と触れ合えば旅の楽しさは何倍にもなりますよ。
スタジオLで学んだ若者たちがいろんな地域に根を張って活動するようになれば、きっ
と楽しい未来になるだろうなぁ~。
若者や学生さんたちが伊賀でコミニティーを学ぼうとしている姿にも好感が持てました。
バブル世代には全く無かった発想です。ガンダムで言うニュータイプって実はああいう
人だったりして・・・。民族としての日本人がおかしくなりかけている時に現れた若者で
すもんね~。いいなぁ~。羨ましいなぁ~
もちろんジジイの私にだって・・・なんですよね~。
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