カンブリア宮殿・・・ナカシマメディカル 代表取締役社長 中島 義雄さん
今回のカンブリア宮殿はナカシマメディカル 代表取締役社長の中島 義雄さんがゲスト
でした。
ナカシマメディカルさんは人工関節を主に作っている会社さんです。
年間2300個の関節を作っておられるのだそうで、日本国内の人工関節シェアは2%なん
だそう。ちなみに欧米から75%を輸入しており、京セラが2位で10%程のシェアを持って
いるそうです。
ナカシマメディカルさんは元々ナカシマプロペラから派生した企業で、船のスクリューの
技術の応用、研磨技術の応用なんですね。
今回のカンブリア宮殿で一番感動したのは『船のスクリューの美しさ』。鏡以上に研磨さ
れた金属はあんな光沢を持つんだ と言う事でした。
人工関節もまたピカピカに研磨されていました。
スクリューの1万分の1ミリの精度で、船舶の航行では1億円以上の経費の差が出ると
言うのは納得出来ましたけれど、人間の関節って言うのもきっとそうなんでしょうね。
ナカシマプロペラさんが医療分野に乗り出すきっかけはオイルショックの頃の造船不況
から。売上が激減して苦しかった時に、たまたま工場見学に来て居たお医者さんが
あれだけスクリューを研磨するの?あれなら人口関節だって出来るんじゃないの・・・と
言う声に乗っかって進出したんだそうです。
この辺りの腰の軽さはそれだけ造船不況が大変だったと言う事と、スクリューは一点モノ
で1つ1つ船に合わせてイチから作って行くものだから、お客さんの声に合わせるのが
得意だったと言うのもあるんでしょうね。
ところがいざ製品を作って営業に病院に行きますと・・・患者の身体の中に残るモノだか
ら20年分のデータを持ってこいと言われたんだとか。
そこで負けたら今回のカンブリア宮殿に取り上げられなかった訳でございまして、乗り切
る術として、工学・医学と言った学部を越えた研究会で、かつ産学協同のモノを発足させ
研究した。今では時々耳にしますけれど、1980年代当時は非常に珍しかったとのことで
した。
ただそんな状態ですから売上は伸びず、8年ほど低空飛行を続けたと言ってました。
1995年時点でも欧米の人工関節が大半だったのですが、日本人の生活スタイルとして
『正座』があります。欧米の習慣にない正座が欧米の関節では出来ないんですね。
正座をしようとすると130度ほど関節が曲がらなきゃ行けないのですが、それには独特の
形状が必要になる・・・。
また人工関節の軟骨部分のプラスチックが体内で酸化することで10年~15年で摩耗して
使い物にならなくなるんだそうです。
お年寄りの身体に入る人工関節を交換する手術が必要になってしまうのをなんとか
したいと言う事で、酸化しにくいプラスチックを作っちゃえ・・・と、10年の年月をかけて
20~30年は耐久性がある軟骨に代わるプラスチックも完成。
一躍脚光を医学界から浴びる企業になりました と言うところなんですね。
今回のカンブリア宮殿は、ナカシマメディカルの紹介と、サバイバルの仕方にこんな方法
もあるんじゃないの?と言う紹介なんでしょうね。
ひざ痛を抱えるお年寄りにとってなんとも朗報だと思うのですが、ナカシマメディカルの
人工関節を使おうと思うと手術器具からナカシマメディカルが準備したものを使わないと
手術が出来ないそうで、現シェアが2%と言う事は、なかなかナカシマさんの人工関節を
使って手術出来る医師がまだまだ少ないってことなんだと思うんです。
今回のカンブリア宮殿を見て、患者さんが声をあげたり、お医者さんが観ていて、ウチも
ナカシマさんを・・・となるケースが増えればいいと言う事なんでしょう。
正座をしなきゃならない日本人には、日本の製品に分がある様に思いました。
さて、村上龍さんの編集後記です。
医療は産業になり得るのだろうか。また、生き残るために、自らの資源を再発見し、新規開
発・ビジネスに向かうのは、口で言うほど簡単ではないのではないか。ナカシマメディカル
は、1つの回答を示している。日本の造船が縮小する中、自らの技術を応用し、あらゆるも
のを作った。のんびりとメニューを眺め「これにするか」ではなく、可能性があると思うもの
をすべて製作し、やがて人工関節と出会ったのだ。そして、人工関節の膝の部分を磨く若
い職人の言葉にも教えられた。「患者さんの体に入るものだから懸命に磨くんです」 患
者、つまり、人への優しさを失わなければ、医療は、産業化の弊害を免れることができるか
も知れない、そう思った。
20年、30年と身体に入っていた人工関節って、まだピカピカのままで出てくるのかな。
人間の身体って10万分の数ミリの精巧さを求めるモノだったのか・・・。
なかなか凄いもんなんだなぁ~と思いました。
とあるお医者さんが『このスクリューを研磨する技術があれば人工関節だって作れるん
じゃないの?』と言わしめるほどに細かな技術だったんですね。
同様なケースって実は世の中にはゴマンとあるんでしょう。
要はマッチングが出来るか否か。
狭い世界だけを見てたらダメだし、異業種とも交流を持たなきゃダメ・・・。
それだって実際に芽が出る商品にぶち当たるなんてのは珍しい事なんでしょう。
運を掴めるかどうか・・・。
いや、ナカシマプロペラさんに確たる技術力があったからこそか。
運と実力の関係って・・・。
なるほどなぁ~と思ったのでありました。
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