経営

GNO

 GNO。

 先日のカンブリア宮殿の幻冬舎・見城社長の発言です。

 角川書店の敏腕編集者として活躍していた頃から、作家さんや仕事のパートナーと接す

る際には、徹底して心掛けた言葉だそうです。

 G=義理、N=人情、O=恩返しの略ですね。

 今は残念ながら廃れてしまった言葉、価値観ですが、凄い言葉だと私は直感しました。

 GNOは一方的にせっせとし続けるモノではない。これは当事者双方がプラスのスパイ

ラルを創って登って行く思考だと思う。良好な関係が竜巻のの様に渦を捲いて天に昇っ

て行く関係を構築すると言う事です。この竜巻がすなわち『龍』、ドラゴンです。

 私は、出来る事ならば自分のフィールドに何本もの天駆ける龍が飛び交う場を創り

たいと思います。金銭的なゴールではなく、龍と暮らすのを楽しいと感じる暮らしを構

築したい。 

 これが見城社長の言うGNOと言う発想なんだと感じます。

 GNOは縁を産みます。龍がそれぞれ仕事をする事もあれば、何匹かの龍が居る事で

仕事が出来る事もある。『縁』と言いますとポッと産まれたモノの様に感じますが、縁を

育む環境が実は必要なのです。

 なぜGNOが無くなって行くのか?これは世界的な傾向でしょう。

 私は経済至上主義がまん延し、『くれくれ君』が多くなっているからだと思います。

 義理を感じず、人情もない。それよりも経済的な利害を優先してしまう。

 管前首相などもこのタイプです。何も下の者だけでなく、上に立つ者だって『くれくれ

君』は居るのです。義理や人情と言う価値観がなければ相手に対する念も産まれず

恩返しなどと言う発想も出来ません。龍の卵も産まれない土壌を持つ人です。

 ただそれが悪い事だとは思いません。人それぞれです。が、龍はやって来ないでしょ

う。

 『神さん』は気まぐれだとよく言われます。信心のある人、恵まれない人を全て助ける

のではないからです。ただ、『助けるべき人の中から助ける』と言う言い方もします。

 勝利の女神は一定のパターン化された行いをする人を好む。。。と言う教えです。

 欲深いのは×、不正、不摂生、無精は×。明るい態度が○で。。。と言う女神の

好む人の分類と言うお話しが将棋の米長邦夫さんの本に出てました。これは呼び方の

違いこそあれ、洋の東西を問わず真理だと思っています。 

 仏教なのか神道なのか、はたまた外国の神さんなのかは知りませんが、腑に落ちる

考え方だと思う。

 龍は神さんの『使い』です。GNOを徹底するとプラスのスパイラルから運気の竜巻が

出来ます。龍は気まぐれなどではなく、GNOがある所には必ずやってくる幸運の使者

だと言えますね。

 経済的な価値がはびこり、GNOが相対的に弱くなって来たからこそ、見城社長が仕事

はGNOだと言うのだと思います。見城さんは『仕事は』だけでなく、生活・家族も賭けて

GNOを通そうと努力しています。努力しているのではなく、本人はその人の為なら全て

を投げ出しても構わないと思っていると言ってました。

 だからこそ彼の龍は、力も強いのでしょう。

 GNOって考え方、今まで私は『縁』や『運』についてこのブログでいろいろ感じるままに

書いて来ましたけれども、それを発展させる考え方なんじゃないかな~と思う。

 独力で経済的な価値を信じて仕事・能力を発展させるのもひとつの道だと思いますが

縁・運に護られた仕事・能力の発展のさせ方があってもいいと思います。

 どちらが楽しい生き方か分かりません。

 私は個人的には龍と一緒に天を駆けたいと思います。 

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妖怪と商売の関係

 お化けはちょっと陰気な雰囲気があるので好きではないですが、妖怪はちょっとユーモ

ラスな感じがします。こなき爺とか河童とか・・・。水木漫画では姿がきちんと書かれていま

すが大半は目に見えないものです。ただ『感じる』ものだそうです。

 日本は八百万の神の国。大木に神々しさを感じ、山や自然そのものにも神を感じてきた

国です。神=精霊と言う事なのでしょう。私は伊勢神宮で『商売繁盛』のお札を下さいと

巫女さんに尋ねたのですが、『ここはそういう下世話なお願いをする所に非ず』と返され

た事がありますが、神さんとは下々のお願いを成就させる者ではなく、もっと大きな秩序

を司る存在なのかも知れないなと思う様になって来ました。秩序を司る者に対する畏敬

の念が案外大切でそれがなくなると『秩序』が無くなります。それはアカンでと言う本能に

近い部分で『神』を感じるのかも知れません。

 長い前段でしたがここで宗教を論ずる気は全くありませんで・・・『商売』について語り

たいのです。商売とは目に見えないモノをどれだけ大切に出来るのか・・・この競争だと

思うのです。信用・信頼などと言うモノは目に見えません。商売=利潤を上げる事 なら

ば品質を下げたり、人を騙して金儲けに走ればいいのですがそれでは破綻してしまい

ます。飽きない心で薄い利潤で世の中に財を常に提供し続けないと行けないのです。

社会が1つの大きな生き物であるならば、社会的な役割を果たさなければそこに留まる

事が許されないのです。アカの様にボロボロと剥離してしまう存在になってしまうのです。

地道な活動をする事で『秩序』から存在を許されるのです。急激に自分の蓄財だけに走

ると細胞レベルで異端とされガン細胞みたいな状況になってしまいます。ガン細胞は

秩序そのものを崩壊させるか、芽を摘まれるかのいずれかですね。『商売』に対しても

目に見えないモノを信じ、頑なに守る心が経営者には求められているのだと思います。

お客様からの支持と言うモノは非常に心もとないものです。ちょっとした対応の失敗から

簡単に支持を失ってしまいます。その儚い支持の上に成り立っていると言う事が金庫の

お金につい眼がくらみ疎かになってしまいます。これを戒めるために商いは飽きない心

と先人は語ったのです。

 妖怪を感じる心と商売で大切な心と言うモノは案外近いモノ、共通な心があるのでは

ないでしょうか。だから大きな大きな熊手やだるまさんが事務所に飾られたり、稲荷神

社が会社の屋上にあったりするのではないでしょうかね。私も一度ご面談したいと思っ

ている『座敷わらし』なんていうのも、実は商売人に取っての憧れの的だったりします。

ここら辺の微妙なさじ加減は分かる人と分からない人がありそうですが・・・商売人は

初詣は大好きです。熊手やだるまさんも大好きです。すがりたい気持ちの表れではあ

るのでしょうが、神さん達はあなたの夢を叶えるのではなく『秩序』の維持・安定を望ん

でいるのです。それを実現するには、謙虚になり、身を正して、見えないモノへの畏敬

の念を持って社会貢献をしっかりとする事です。本来は初詣と言うモノは、その誓いの

場であって『今年こそ』なんて俗なお願いをしたらアカンのだと思います。

  

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社員教育

 社員教育は誰の為か?

 しっかり教育出来た社員がきちんとお客様に正しい情報を伝えるのが当たり前です。

それはお客様の為でもあり、自社の信用信頼の為でもあります。人材は人財にするの

が鉄則であり、それ以外に自社の『のれん』を高めて行く方法はありません。

 経営者はどうしても金庫のお金が気になるものですが、目に見えないモノの価値を

知らなければ『商売』とは言えないでしょう。

 不況業種に登録されてから久しい我が不動産業界。電話1つ取っても???と言う

対応によく遭遇します。よくこれで商売が出来るなぁと感心?し、気になる部分は自社

でもそうされていないか、と反面教師に利用させていただいております。

 元々不動産業界の社員さんは会社に忠誠心が薄く、渡り歩く方々が非常に多い世界

ですから、会社も従業員さんも『社内教育』に関心が薄い所が非常に多いです。

 大きな看板の旧財閥系でさえ、心もとない状況です。外部出身の私からしますとこれ

は異常です。定着率が悪いから教育しないと言う事であれば採用しなければよいと思

いますし、一度雇用したのであればしっかりと教育しなければ自分の『のれん』の価値

が下がります。眼に見えない『のれんの価値』などどうでもよく、多少の無理は覚悟の

上、日々お金を稼いで来るのがいい社員と思っているのでしょう。こんな会社に仲介を

頼んだお客様こそ大迷惑で、『知らぬが仏』となっているのでしょうね。

 きちんと仕事に関して勉強をさせて、また社長や部長がしっかりとコンプライアンスや

業務知識を教える事が大切だと思います。そうして上げる事が社員の定着率を上昇さ

せる事に繋がります。

 人材から人財へ。眼に見えないモノを信じる力をしっかり持つ事は経営者の大切な

能力だと思います。

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五省

 会社に取って従業員は財産です。磨けば磨くほど輝きを増す宝物です。ただこの宝物、

口応えはしますし、こちらの意図をなかなか汲んでくれない取扱の甚だ難しいモノでもあり

ます。

 私個人とすれば漫画『ONE PIECE』の白ひげの如き存在でありたいと思っています。従

業員は血や育ちは違いますが全て我が子と同様、彼らをしっかりと育てたいと思います。

子育ては大変ですね。白ひげと各隊長の様な信頼感で仕事がしたいと思っています。

子の成長を願わない親は居ませんよね。そういう場を提供したいんです。

 そもそも職場は自己実現の場、認められ、誉められ、感謝されながら仕事はしたいモ

ノだと思いますし、そうなることでますます自分が磨かれて行きます。何人の人材が人財

に育つか、これから我がリバースターに課せられた大きな課題だと思っています。

 さて仕事、ことに営業の仕事において一番大きな敵は自分の心の中にあります。それ

に打ち克つ事がなかなか大変です。私が銀行員時代、主任さんになって最もよく仕事が

出来た頃、自分の上司から『五省』と言うモノを教わりました。

1至誠に悖るなかりしか 2言行に恥づるなかりしか 3気力に欠くねなかりしか

4努力に恨みなかりしか 5不精に亘るなかりしか

海軍兵学校で毎日唱和されていたものだそうです。

1真心に反していなかったか

2言行に不一致はなかったか

3精神力は充分であったか

4充分に努力はしたか

5最期まで手を抜かなかったか

と言う意味です。これだけで宗教的な大きなテーマです。『商人道』は大きな体系ですが

その具体的施策とも言えるものです。しかも軍隊ですから簡単明瞭で意味が即伝わる

ものです。仕事は元より人づきあい全般から日々の行いに至るまでこの5つはしっかり

心がけたいものだと思います。この精神は我がスタッフの心の中にしっかりと宿しても

らいたいと思っています。

 職場を自己実現の場として捉え、できれば商人たりうる知識・常識を持ち、自己を律す

る人間になって貰いたい。ここで何十年と仕事をする事で同業者から一目置かれる立ち

居振る舞いが出来る人間、『親方』とか『棟梁』と言われる人物には育って貰いたいと思

っています。社長には自分を叱る上司はいないけれどもお客様の声や自分の良心に

耳を傾けながら常に部下には自己を鍛練する意味でハードルを儲け、育てて行く事で

結果として自分も育って行くのだろうと思っています。

 これだけの思いがなかなか部下には伝わらない(笑)のがとても残念ですが、あまたあ

る企業の社長さん方も日々努力をしている訳です。

 一番低い会社と従業員の関係は給料を払う側と貰う側と言う関係ですが、そんな関係

だけならば私は人を雇用したくありません。一緒に仕事をする意味とは何か?雇い、雇

われるとはどういう事か?仕事に従事すると言う事は自己実現の場を得ると言う事だと

大学の経営学の授業で習いました。従業員が楽しく仕事をするとは・・・生きがいを持っ

て仕事に取り組んでくれる事とは・・・人を雇う以上、そういう事はしっかりと考え、その場

を提供してあげる事だと思います。彼らが育つ事は会社が、そして私自身が育つ事です。

日々の成長は微々たるものだし、口答えされてカチンと来る事もたくさんあります(笑)

が、縁あって一緒に仕事をしている訳ですから、縁を活かすも殺すも自分次第、縁を大

切に思いながら日々行動をする事で良縁がやってくると思いますし、その積み重ねが

大きな運、幸運をもたらす事だと思っています。そう考えますと日々の行動のひとつひと

つに神が宿っているのかも知れませんね。

※私は最近徐々に増加傾向にある国粋主義者でもありませんし、特定の宗教に入信し

ている訳でもありませんし、これからもこの思いは変わらないでしょう。戦争は嫌だし、

特定の神様も信仰していません。ただ『商売』を通じて自分を高めたいと思い、部下も

育てたいと思っている訳です。

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商売の心得③

 私が大学生の頃、ご本人から大学の授業の一環として講義を受けたダイエーの中内

功さんのお話しを例にとってお話ししましょう。

 ダイエーの前身は大阪で主婦の店ダイエーと言う名前で薬のディスカウントをはじめた

所にあります。市販薬のディスカウント販売は当時認められておらず随分と問題になった

そうです。そこから食料品の取り扱いをはじめ、いわゆるスーパーの走りとなりました。

 ダイエーが大きくなるまでは価格決定権はメーカーにありました。その後大消費時代が

到来すると問屋に価格決定権が移ります。そしてより消費者に近い流通業(百貨店・スー

パー)が価格決定権を持つようになります。OP価格などはその典型です。そこから進歩

してPBブランドを流通が企画しメーカーに作らせる様になっています。

 この間にはダイエーvs松下の戦いがあり、流通王ダイエーからダイエーの没落まで

いろんな出来事がありました。ダイエーは潰れましたがスーパーとしてはイオンやイトー

ヨーカドー等がその後覇権をまだ維持しています。

 ダイエーの隆盛までの時代は良かったと思いますが、没落期のなぜ?と言う考察が

大切です。私が銀行員でしたのでいろんなお話しを聞いていますからそれも交えて考え

ます。

①中内さん自身が名誉を取りに走った。ダイエーは1号店は京阪電車千林駅ですが、

2号店は神戸三宮です。その後本社は神戸に移ります。神戸で商工会会頭になりたか

ったんですが、神戸には老舗も多くなれませんでした。そこで福岡に本拠地を移し、

ダイエーホークスも使ってようよう会頭になりました。代表が議員等の名誉職に向かう

と会社はおかしくなる事があります。それを地で行くお話しです。

②ダイエーに納品している野菜加工所さんからこんなお話しを聞いた事があります。

A級品はヨーカードーへ、B級品はダイエーへ。ダイエーは安ければよく、目利きでは

なかったと。食品全般、これでは安かろう、悪かろうと言うお話しになります。これでは

永い支持は得られません。

③ダイエーの仕入部隊は奢りが強く、不祥事に近いお話しがたくさんありました。早い

話しが仕入先をいじめるだけいじめて自分だけに富が集まれば良いと言う風潮だった

のです。これでは『お金の力に弾き飛ばされます。お金といっしょに恨みつらみ・不平不

満が貯まります。』だからダイエーが危機になった時に商品が入らなかった。言わば仲

間の仕入先から真っ先に肘鉄を食った訳です。

 その後国の支援を受けてどうにか立ち直った感はありますが、私自身はJALにせよ

ダイエーにせよ、国が一企業を救うべきではないと考えています。一企業が破綻する

までの過程において税金を投入するにはふさわしくない行為がある訳で、その部分を

棚上げしてまで国税を投入して良いのか?と思います。ちょっと話が反れました。本題

に戻りましょう。ダイエーに関しては、商売の心得で考えた場合、やったらアカンと言わ

れている事をたくさんしているんです。これでは潰れるべくして潰れたと言っても過言で

はないでしょう。

 『他人のふりみて我がふり直せ』と言われますが、なかなかどうして人の失敗を教訓

にすると言う事も難しい事です。潰れた結果、ああなるほど!と思う事がしばしばあり

ます。日々の心掛けが大切なんですね。『商いは飽きない心』、利が薄いのを肯定して

浮利を追わない気持ちの持続です。商人たるには日々修行なのだと思います。商売を

通じて人は成長して行くのでしょう。

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商いの心得(裏メニュー)

 さて今の税法では企業からいかに税金を取るのかと言う事に、頭のいい官僚さん達

が知恵を絞っています。もちろん個人からだって一緒です。お金の使い途に不満はあり

ますがここでは割愛しましょう。

 そんな中で新興企業と言われながら大きくなって行った企業の内の幾つかはコツコツ

と商いをしないで大きくなりました。ホリエモンさんのライブドアや楽天などは新しい例で

すが、今はそんな形跡すら見えなくなっている企業の中には先輩格で同様の拡大戦略

を取った所が幾つかあります。

 言うならば『ちょっと位の悪い事をしなければ会社は大きくならない』と言うモノです。

 三菱も岩崎弥太郎さんはちょっとそういう部分がある様に感じます。『ちょっとした悪は

商売では必須』と言う考え方ですね。これはずっと・・・世の中にお金と言うモノが出来て

以降ずっとあるテーマかも知れません。

 これは肯定派と否定派に分かれますね。私自身自分では『悪』は全否定しますが、

方法の内の1つだとは思います。

 このお話しは私は好きではないけれども『経営』にはこういう側面があると言う事は

知っておいた方がいいですね。上記でお話しした企業・・・、一時的には悪党になるの

ですが、ある時期を境にパッとお面を脱ぐかの如く別の顔で仕事をするのです。ここが

巧みだったのです。この切り替えが難しいのです。企業によっては社名まで変えてしま

うところもあります。(たいてい横文字になりますね。) 一度手にした大きなお金を元手

に過去とは決別して全うな仕事に戻るのは大変です。なんせ今まで楽して金儲けをした

訳ですからね。

 この切り替えをキッチリとして、今はそんな事をするのはどこの会社?と言う風情で

テレビでCMをやっている会社や地域のお祭りのメインスポンサーとして地域貢献を

果たしている会社もあります。何度も言いますがこんな企業を好きにはなれない(私は

不器用ですからこの切り替えもできないと思います。)ですが、飽きない心の裏ルートと

してこんな道もありますよ・・・と言う事はご報告しておこうと思います。

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商売の心得

 上方の商人の商売を説く言葉です。『汚く儲けてきれいに使う』えげつな~と岡八郎さん

ばりに語るお話しではありません。『汚く儲けて』がぼったくりをイメージしますが昔は商売

で利益を出す行為は汚いモノとされておりました。士農工商でも商人は一番下の階級で

す。それ故利幅を取って儲ける事が汚いとされたのでしょう。その分儲けたお金は社会の

役に立つような普請(橋を作ったり学校を作ったり)をしていたんですね。

 さてこの『商人の心得』ですが商売を行う者にとって真理を説いていますので解説をしま

しょう。

①『汚く儲けて』の部分ですが、口銭を取る事は『汚い事』(付加価値を産まないのに利を

取る事)とされていたのです。だからこそ商人にはプライドが必要です。良いモノをより安く

提供すると言う行為を敢えて『汚く儲けて』と、自らの努力を自分で蔑んで語ったのでしょ

う。上方の旦那衆の心意気を感じますね。今風に理解しますとぼったくりOK、詐欺まがい

OKと解釈できますがそんなものは商人と名乗る資格のない輩。『旦那』と呼ばれるには

普段の立ち居ふるまいから品格までを備えなきゃなりません。その為にも『普請』等に

よる社会還元が必要だったのでしょう。

②『きれいに使う』はなぜ商売の心得にあるのでしょうか。それはお金の力の事を説いて

いるのだと思います。商売を永く続けて行こうと思えば、儲けたお金を独り占めしたらアカ

ンのです。お金の力に耐えられなくなって破綻してしまうのです。お金と言うモノは行き先を

止めたらアカン。知らず知らずたくさんのお金がやって来て留まってくれるようにするもの

で出て行く時も自由に出してあげなきゃダメなんです。(ここは大切な所ですが先に進み

ます。)具体的に申しますと、仕入先や取引先、下請先にもお金はちゃんと廻してあげな

きゃダメだし、お取引先さんにも儲けて貰わなければ商売は長続きしないのです。

『共存共栄』と言う言葉を実践しなければ、一時的に隆盛を築く事はあっても砂上の楼閣

に帰してしまう・・・これがお金の力なんです。お金と一緒にねたみやら不平不満が貯まる

んですね。そうすると屋台骨が揺らいで来るんです。それを上方の商人達は嫌という程

見ていたんでしょう。だから『儲けと使う』を一緒に説いているのだと思います。商人の町

大阪で、商売の難しさ厳しさを何代にも渡って見つめた結果の『心得』なのだと思います。

 現代にあてはめてみますと例えば『コピー商品を売ったり』『価値のないモノを売る事』

は言わば金儲けではあっても商売に非ず。浮利を追うモノは商人ではありません。『商い

は飽きない心』で行動しなければならないモノ。なぜ飽きない心が必要なのかと言えば、

1つ1つの利幅は僅かなモノです。良いモノをより安く提供するのが商売人の心得です。

①良いモノ②悪いモノ(A)より安く(B)より高くと言う言葉で言いますと、①と(A)の組合せ

だけが『商人の道』としているのです。人を騙したり欺いたりと言うのは一時的には金は

儲かるかも知れませんが所詮は浮利、人のうらみが貯まっていずれは身を滅ぼす元に

なってしまいます。一度甘い汁を吸うと人間その味が忘れられなくなってしまうものです。

全うに働けなくなってしまいます。飽きない心がどっかに行ってしまいます。それでは商売

は長続きしないのです。余談ですが清水健太郎さんはもう何度も薬で逮捕されています。

『自分の心が弱くて』なんども手を出してしまうのだそうですが、それでもなおお仕事をくれ

る周りの方々や何度でも逮捕してくれる警察はありがたい存在ですね。商売の道では

普通は誰も教えてくれません。ただお取引先や仕事仲間がだんだん離れて行くだけです。

その結果マーケットから淘汰されてしまいます。だから社長や個人事業主の方はご自身

で『商売の道』に背いていないかを自らジャッジしなければならないのです。より安いモノ

を高く売るのが商人の『才覚』と勘違いしているご仁も多く見受けられます。商売はギャ

ンブルなどではありませんから一発当てる事が必要なのではないのです。そういう発想

がなくならない間は『旦那』としての振る舞いは身に付かないでしょう。今の世は法務局

で手続きさえすれば誰でもすぐに『社長』にはなれますが、すぐには『商人』にはなれませ

ん。『商人』になってでさえそこから多くの障害があります。

 時代が進んで便利なモノはドンドン世の中に出て来ます。経営にもいろんな手法が

出て参りますが小手先の手法に終始していて最も本質的な部分は変わっていない様に

思います。だからこそ『真理』であり、この『商人の心得』を常に意識して商売をしなきゃ

ダメな様に思います。(明日に続きます)

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商売の心得

 『汚く儲けてきれいに使う』・・・上方の旦那衆のお商売の極意だそうです。しっかり儲けた

お金は寄付や小学校建設などで社会に還元していたそうです。

 これは直接的ではないですがお金の圧力に潰されない方法を説いた名言だと思います。

と言うのも前半の『汚く儲けて』の解釈が今とは違うので、お金はご不浄のもの、また商人

の身分が低かった訳で口銭を取る事そのものが蔑まれていた時のお話しだからです。

『ぼったくれ』と言っているのではありません。この解釈は『適正な利潤はいただきながら、

儲けたお金は社会還元、お得意先、仕入れ先にも儲けていただきなさい。決して自分だ

けが潤う様な事はしたらアカン』と説いているのだと思っています。

 商売の極意を説いた言葉も間違って解釈するとあさっての方向に行ってしまいます。

 商売とは利の薄いモノ。飽いたらイカンから飽きない(商い)と言う様になったとも言い

ます。利が薄いと言う事はお客様を大切にしていると言う事です。利だけが薄くても今の

世の中はダメで良いモノを提供しなければなりません。悪いモノを安く売るのは商売の

王道ではない。良いモノを売る事に精一杯の努力をし、安く売る事に切磋琢磨する。

松下幸之助さんや本田宗一郎さんもそうして今の繁栄を築いた訳です。

 我が商売を振り返ってみますとまだまだ努力の仕方が不十分な所がございます。

 安く提供する心は既に出来ている様に思いますが、(精一杯お客様の為に汗を流そう。

お客様以上にお客様の事を考えよう。) 良いモノが提供できているのかと言う点につい

てはまだまだ努力の余地がある様に思います。

 不動産経営においても『経営』ですから通ずる所はあると思います。商売の心得をし

っかりと順守する心がなければいつか淘汰されてしまいます。本稿最初に書いた旦那衆

の会社の中で今も操業をしている所は数えるほどしかないはずです。奢れる平家も久し

からず・・・飽きない心、薄い利で辛抱する心がなければ屋台骨は持ちません。濡れ手に

粟のビジネスモデルはパッと咲いてパッと散る桜の様なビジネスです。人間の気持ちは

弱いですから一度覚えた楽はなかなか記憶から消えなくなります。これが商売の難しい

所です。清水健太郎さんと薬の様な関係になってしまいます。清水さんは警察が更生

させようと努力してくれますが、お商売は普通は助けてくれません。道を反れたら帰って

来るのが難しいんです・・・。

 商売って難しいんですよね。

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銀行時代の思い出

 手形割引と言う融資手法があります。手形の決済が前提でお取引先から手形を銀行

に持ち込んで貰い、決済日相当までの金利をいただいた上でお客様に差額を入金しま

す。商行為に基づいて手形は振り出されているので安全度の高い融資手法と言われて

います。各取引先毎に枠を設けていくらまで手形を受けると銀行が決めて、お客さんも

その枠はご存知でした。

 お商売が順調な内は問題がないのですがそうでなくなるとお客様も背に腹は変えられ

ないので考えます。商行為に基づかない手形を切り合えばいい。『融通手形』です。

とある年の銀行内部検査で海苔屋さんがお寿司屋さんからの手形を持ち込んでいたの

ですが、これはおかしいぞとなりました。銀行は紳士協定の元に手形の信用照会と言う

事をやっています。振出人の銀行にこの手形決済は大丈夫ですか?と聞き、月商など

をお聞きするのですが、検査官からこの手形の信用照会をしなさいと命令を受け照会

をしたところ、月商の半分ほどの手形が月内に来ていました。普通お寿司屋さんにとっ

て海苔はそれほど高い仕入率ではないはずです。だって軍艦巻きははマイナーでしょ。

それでおかしいとなって取引先の社長を呼んで聞いたところ融通手形が発覚した・・・。

その後の顛末はここでは書けませんが・・・銀行とお取引先さまのごく一部とはこうした

騙し合いがあるのです。

 お金って怖いです。

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土木工事業はつらいよ

 景気が上向くのか、下落するのか・・・。今まで決して景気が良かったわけではないので

順番からしたら上向くんじゃないの。だって景気は波なんだから・・・。私はそう思ってきま

したけれども、どうやら世界経済的には上昇傾向にあったものが下降の様相を呈して

いる様です。言わば良くなる前にまた悪い引き潮が来る。日本はずっと引きっ放しという

具合になりそうです。

 昨日はとある土木工事業者の社長さんとご面談して参りましたが『土木は公共工事削

減の影響をモロに受けているので売上がどんどん削減している。民間の仕事も下請けで

取るのだが件数、金額ともに微々たるもの』と嘆いておられました。仕事量は1/3~1/2

程度まで減っているのだから業者数もそうならなければ、全員で生き残りゲームをやっ

ているだけ・・・消耗戦を繰り広げているのです。事実かつての羽振りが良かった頃に

買った不動産を切り売りして経営を維持していると言う状況ですから、私としては社長

さんに今回売却する土地で一息つける訳だから『5年・10年と言うスパンで経営の見通

しを考えた方がいい。ご次男さんが後継者として仕事に従事しているのだからその責任

はあると思いますよ』とご提言すると同時に、当面の資金調達をしないのであればリスケ

により資金繰りを緩和させる事だって考えたらいいんじゃないですかと提案して来ました。

これから何度がご訪問させていただく事が必要かなと思っています。

 社長の奥さんからもう私達も歳だからだんだん考えるのがおっくうになる・・・と言われ

ましたがそんな事ではやもすると全財産がなくなってしまいます。次男さんを含め、また

従業員さんも含めた皆さんがいい方向に行ける道筋を考えなければいけないのでしょ

う。せっかくご面談する機会があったのですからこれも何かのご縁、精一杯応援して行

きたいと思っています。

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