落語
桂 雀々さん 地獄八景亡者戯・・・
BSで放送された雀々さんの『地獄八景亡者戯 (じごぐばっけいもうじゃのたわむれ) を
観ました。
落語には旅ネタがたくさんありますが、この落語は地獄の閻魔さんに会いに行くお話し
で、上方落語の大ネタです。なんせ長い落語で、雀々さんの師匠の枝雀さんの『地獄』
は上下に分けて収録されています。おそらくは途中で中入りを入れられたんだと思うん
です。
長い落語でもコツコツとストーリーを積み上げて感動のフィナーレへ向かう落語ではなく
て、なんせ旅モノ。下手をすると途中でダレてしまう噺なんですが・・・。
雀々さん、精一杯の熱演で、いろんなところを変えて長時間噺のダレ場を無くすクスグリ
をしっかり入れられておりました。
舞台の照明が暑いのか、手ぬぐいで汗を拭き拭きの落語で『熱演』が先に立ってしまい
ます。
演者として観客を笑わせようと言うサービス精神が勝っているのだと思いますが、円熟
して落語と雀々さんがピタッと一緒になる時期がもうすぐやってくる様に思います。
そうなると3代目枝雀さん襲名・・・と言う事になるんでしょう。
枝雀落語を一番純粋に受け継いでいる・・・。
そう思います
昇太さんと雀々さんの対談で、若手でなしベテランでなし・・・中途半端な年齢に居ると
双方が話しておりましたが、芸風が芸風故に 永遠の若手みたいな扱いを受けて
いると言う事なんでしょう まだまだ円熟しないゾと言う選手宣誓みたいにも感じら
れましたからまだまだ3代目枝雀襲名には時間がかかるのかも知れませんけど
慌てることもない訳で・・・。
現在は東京で頑張っている雀々さん、素敵な噺家さんになって欲しいと思います
立川志の輔さんの落語・・・
志の輔さんの落語がいい
数万円の CDBOX が売れていて、しかも好評なんだそうで、同行の志がたくさんいます。
新作落語は言うに及ばず、古典落語に関しても、志の輔さんの仕立て直しで、登場人物
やストーリーなど、結構変えてしまっています。
落語は観客ひとりひとりが演者さんの話す噺を頭に思い描いて成立する芸です。
それ故に『いかに自然に噺が進展するのか』が大事です。
観客の頭の中の俳優さんや女優さんに演技指導をするのが噺家の役割。
カメラの前で名優さんに思った通りの演技をしてもらうのだって大変なのに、噺家さんたち
は見事に演技をさせますからね。
さて、そこで・・・です。
昔から語り継がれたストーリーを仕立て直す志の輔さんの脚本家としての才能がおそらく
他の噺家さんの追随を許さないレベルにあります。
志の輔さんは愛情豊かで、とても優しい人なんだろうと思うのです。
こうあって欲しい・・・と言うところを、志の輔さん流に仕立て直してあるから私の耳に入っ
て来やすくて、必然的に頭の中の俳優さんや女優さんが活き活きとお芝居をしてくれる。
脚本に無理がないからきっとそれぞれの観客の頭の中で名演技が繰り広げられている
んですよ。
満員のホールの中で志の輔さんが演じているのだけどいつの間にか志の輔さんが消え
て、大工さんや魚屋さんがおかみさんとお芝居を始めています。
大勢で聴いてたはずの落語なのですが、私の頭で私の為だけに志の輔さんが演じて
くれているのです・・・。
いつの間にか江戸の町に連れて行かれることもあれば、クリスマスの東京に居ることも
ある・・・。
腕のイイ催眠術師に催眠術をかけられているのかなぁ~。
志の輔さんは決して美声ではないですし、容姿も普通です。
でも全編を通じて優しさがあって、呪文も古風なままだったり、登場人物の数だったり、
判り難い所、腑に落ちないと思われる所はすべてに渡って仕立て直しをされているの
です。
だから呪文が効くんですよ・・・ネ。
もともと江戸と言われた頃から物凄い数のお客さんが聴いて納得してきた呪文みたい
な噺です。効果効能はばっちりなんですよ。
ただ所々、古びたりほつれてると思われる部分もある。
それを感じさせないで話すのが名人上手と言われる噺家さんなのかも知れません。
でも『あなたのために仕立て直してあります』と言うのも心地よい。
もしかしたら名人さんより心地が良いのではないでしょうか。
細部にまで気が配ってあって、本当に居住い・佇まいにぴったり合うのですから。
映画や本も同様なんですけど、眼が主体の情報より耳主体の情報の方がより脳には
刺激が強いのだと思います。よりどんくさい機能の方が脳に来るんでしょうね。
落語が鼻に来たら、もっと感動するのではないでしょうか・・・。ちょっと脱線しました。
私は志の輔さんの落語がなぜこうまで心地がイイのかと言う回答として、①噺の仕立
て直しの技術、②優しさ、③話術の巧みさなんだろうと思っています。
それが相まって、志の輔さんの落語を聴くと心がほっこりするんですね。
しっかり笑わせて貰って、泣かせる噺がいいんですよ。
志の輔さんの落語では、40分~50分ほどもある長い落語ほどいい心持ちにさせられて
しまう。
独演会などでしか聴けない長さですよね。大勢の噺家さんが出る落語会なんかでは
とても出来ません。
そう考えると、志の輔さんの落語を創ったのは談志さんだと言えるのかな。
そして始末に悪いのが、この長い人情物の落語に接すると常習性があるんです。
私もその口で、私は『歓喜の歌』、そして『徂徠豆腐 』で撃沈してしまいました。
映画館は暗いので泣いてもごまかせるのですが、落語の独演会は明るいから・・・。
幸いなのは私だけではなくて、そこここからすすり泣きの声が聞こえてくるから、まぁ
いいやと
最近はチケットの抽選も当たりませんので禁断症状が出る始末です。
私みたいな方々が冒頭のCDBOXを買ってしまうのでしょう。
立川志らくさん独演会・・・2013.12.23
私の拙いブログに、志らくさんからのコメントがつきましたので、これもご縁と、本日よみ
うりホールの志らくさんの独演会に行ってきました
この独演会は元々は談志さんがやっておられたモノで、談志さんの体調悪化で志らくさ
んが引き受けたものなんだそうです。
それ故に、談志さんが得意にされていたネタ3席が指定されていたんですね。
談志さんが亡くなって3年は『芝浜』をかけるとの約束だったそうで、今年が最後。来年
からはリクエストで人気投票をして上位3席を演ろうと思っているとの事でした。
ですから、談志さんからのファンも大勢つめかけている様で、談志さんの真似を披露
しようもんならドッカンドッカン受けてました。
私は2階席だったのですが、ちょうど私の後ろに座ったオッサンが『笑い袋』みたいな
笑い方をするオッサンで、今のそんなに面白い?と言う事まで爆笑するので、ちょっと
こっちが引いてしまう・・・と言う、志らくさんにとっては思いっきりのホーム、私には笑い
袋もあってアウェー感満載の中で始りました。
談志さんから引き継いだ独演会だからなのか、前座さんの落語はなく、いきなり志らくさ
んの『粗忽長屋』から。
ファンの温かい笑い声に包まれて、のりのりの落語でした
2席目は『やかん』・・・。
と、その前の座布団返しの時に出て来たお弟子さん。『明日はどっちだ』で登場した崖っ
ぷち落語家見習いの『志ら鈴さん』だったように思います しっかり修行されている
様でちょっと嬉しかったです。また志らくさんファンの巣みたいな所での独演会だから、
お客さん達の何人かが気付いてました。志ら鈴さん、頑張らんとね
さてさて、『やかん』も熱演でした。面白かったですよ
そして中入りを挟んでいよいよ『芝浜』
これは『ぜひ見に来て』と志らくさんが言うだけの事はありまして、しっかり堪能出来まし
た。緞帳が下りても拍手が鳴りやまない・・・と言う感じ。
志らくさんファンのお客さん達も大満足だったのでは・・・と思います。
ただ、『芝浜』は私は談志さんの演じ方が好きです。
魚屋のおかみさんの性格と言うのかな。志らくさんは良妻賢母タイプみたいに演じられて
いましたけど、それほど思慮のあるおかみさんじゃなくて、どっちかと言うともっと可愛ら
しい女性なんだと思うんです。釣りバカの石田えりさんで、決して浅田さんじゃないの。
それで旦那さん想いで・・・。
だから、財布を拾って来てお金を数える時には喜ぶんだけど、いざ旦那を騙す時には
ドキドキで騙すの。失敗したら旦那さんの命がないと大家さんに言われているから必死
でね。3年間は良心の呵責できっと辛かったんだけど、ようよう役所から所持人なしで
返戻を受けて、必死で、離婚覚悟、殴られるのを覚悟で旦那さんに事の顛末を告げ・・・
ここのおかみさんの気持ちの表現の演じ方が、一番細かくて、かつしっかり演じている
落語家さんが談志さんだと思っています。おかみさんの気持ちで幕が変わるんだと思う
んです。志らくさんの芝浜はおかみさんが良妻賢母過ぎて平坦な感じになってしまって
いるように感じました。
その演出の部分ではひっかかりもありましたが、総じて落語はお上手でした。
満足してホールから出た階段で、おじいさんの二人連れが、志らくさんは上手だけれど
これから『味』が出てくるんだろうね・・・と言う声が耳に入りました。
みなさん、感じていることは一緒なんですねぇ~。
上手な落語家さんだから、ルックスや滲み出る聡明な感じが、とても均整の取れた焼物
みたいに感じられました。きっととても器用だから、談志さんの落語が志らくさんに入って
しまうのでしょうね。
志らくさんのパンフレットのコメントに『卒談志』の言葉がありましたが、苦労して談志さん
を抜いて志らくさんの落語を作って行かなきゃならない。
本日の独演会でも志の輔さん、談春さんの話しが出てきましたけれど、きっとお二人は
志らくさんより不器用ゆえ、談志カラーに染まり切らずに、独自色の落語を創っておられ
る。
だから二人の噺を聴いても談志さんを感じないんだけど、志らくさんは談志さんを感じ
ちゃう・・・。イイ事でもあり、悪いことでもあるのでしょう・・・。
きっともう一段高い所で演じられる落語家さんなんだと思います。
みんな、そう思っているから志らくさんの『味』を求める・・・。
談志さんの噺を忠実に受け継ぐ志らくさんが、志らくさんの花を咲かせるのをファンは
毎年楽しみによみうりホールに来ているんですね。
ちょっと感動の『志らく独演会』でした。
~追伸~
旧談志さん邸に、談志さんの書斎を再現しつつ、志らくさんが住むようにリフォームをし
ていると、マクラで話してました。
師匠談志愛に燃える志らくさんと、それを『談志邸の管理人になった』と表現する談春
さんのお話しはそれぞれの性格も感じられてとても面白かったです
笑福亭鶴瓶一門会に行ってきました
笑福亭鶴瓶一門会に行ってきました
場所はテアトル銀座。
鶴瓶さんとお弟子さんが落語をやる訳ですが、誰が出るのか・・・どんな話しを演るのか
楽しみでした。
会場の雰囲気だけでも・・・と開演前に写真を撮りました (ちょっと暗めですね)
緞帳が開いて、まずは鶴瓶さんが白の半パンと白のカジュアルな服で登場しまして、
ご挨拶
『あれ?鶴瓶さん、結構ふくらはぎ細いやん~』と感心しながら見ていました。
『鶴瓶噺』的なお話しを少し演って、お弟子さん達の落語が始まりました。
トップは笑瓶さん。えっ?笑瓶さんも落語やんの?思わぬ演者さんに期待大。
鶴瓶さんの落語も含めて・・・終演後の、ネタの発表を撮ったモノをどうぞ・・・
べ瓶君は面白かったなぁ~。
いろんな独演会などにも行きましたが、今回は一門会だけに、お弟子さん達がめいっぱ
い『笑わせよう』と熱演で、思った以上に笑わせてもらいました
また鶴瓶さんの落語前に、ニッポン放送のアナウンサー・上柳さん?が鶴瓶さんの落語・
『お直し』の解説をトークされまして、面白い演出だなぁ~と思いました。
鶴瓶さんの落語・・・面白かったですよ。
そして最後に、緞帳が下りるのを談志さんみたいにストップさせて、最後のご挨拶。
一門会をやらせてもらって嬉しい・・・一門をよろしく <m(__)m> とご挨拶
感動させて貰いましたので、ぜひこれから応援させてもらいたいと思いました。
☝ 今回の一門会は『ヤマキ』さんプレゼンツだったので、お土産をいただきました
鶴瓶さんだけに、ヤマキの瓶入り・・・しかも増量って
落語を堪能して、お土産までいただけるって。なんとも嬉しい鶴瓶さん一門会なのでし
た。(結構年配の方々も居ましたが、このお土産、結構重たかったのでは )
場所がテアトル銀座だったので、会が終了してお客さんが銀座の街に、このヤマキさん
の袋を持ってドッと溢れたのですが、銀座とヤマキさんのコントラストが面白くて・・・
そっちを写真に撮りたかったなぁ~
柳家小三治師匠の独演会・・・埼玉会館大ホールにて
昨日は高校時代の友人が(大阪在住)、わざわざやって来てくれました。
一級建築士で、不動産鑑定士の資格も保有し、独立して法人設立を果たした優秀な
友人です
都内で仕事をやっつけて、ウチに寄ってくれて、大阪への帰路、途中京都によってまた
打合せをするという猛烈なスケジュールで行動しているスーパーマンです
昨日は私も忙しくて・・・ 18時30分開場の『柳家小三治師匠』の落語会が埼玉会館
大ホールで予定されておりました
夕方、旧友とはとはまたの再会を約束して北浦和駅でお別れしまして、雨の中、自転車
で浦和に向かいます
小三治師匠とはしばらくぶりの再会です。
落語会もコンサートみたいに、Tシャツやら、手ぬぐいやら・・・いろんなグッズを売って
います。でもなかなか『らくだTシャツ』は着れませんね
友人のK君がチケットを取ってくれたのですが、なんともいい席での落語鑑賞。
埼玉会館は不動産の研修会場でもあるのですが、やはり小三治師匠の落語会+緞帳
も下がって居ますから、なんとも華やいだ雰囲気です。
開演前なので写真を撮らせてもらいました
緞帳が上がると・・・台がありまして、座布団が1つだけ。そこに噺家さんが座って落語
をされます。今日は大神楽もありました。
演目は下の通り。
小三治師匠は『百川』と『転宅』を演られたのですが、なんとも自然な語り口の落語で
小三治さんワールドにどっぷり浸ってまいりました。
落語のライブはやはり楽しい
ぜひ皆さんも一度落語会に行かれてみてはいかがでしょうか
プロとアマ・・・ (枝雀さんのお話し)
桂枝雀師匠が亡くなられて随分時が経ちました。
上方落語の爆笑王。私は枝雀師匠は名人だと思います。
実際、枝雀師匠は視聴率が取れる落語家さんだったのでしょう、『枝雀寄席』と言う番組
がずっとありましたし、色んな番組で落語を演じてこられましたので映像もいっぱい残って
います。そして映像があると言うのは素晴らしい事で、大なり小なり、今の落語家さんにも
影響を与えています。
ところが・・・です。
米朝師匠が若手の方々に、『枝雀さんの落語を真似たらアカン』とお話しされているの
だそうです。『あれは枝雀だから出来た落語で、若手が真似ていい落語ではない』と。
先日、大学生の落研の落語を聴く機会がありました。オーバージェスチャーで、かなり
な枝雀落語の影響を受けている風です。ギャグも目一杯盛り込んでおられます。
演者は楽しいかも知れませんが、どうしても観客がおいてけぼりになってしまうんです
よね・・・ ちょっとした嘘が見えてしまうと、落語ワールドにトリップ出来ないんですよ。
小三治師匠は枝雀さんと想いが通じていた噺家さんだった様ですが、お弟子さんには
『落語は小さく、小さく・・・』と話されているそうです。落語と言うモノは先人が積み重ねて
来た芸であり、『噺』自体が面白い。だから演者を前面に出さずに噺を前面に出しなさい
と。それ故に『落語は小さく・・・』とお話しされているんです。
米朝師匠の『枝雀を真似るな』とお弟子さんたちに言うのもそこなのだと思います。
落語は演者が、『落語ワールド』と言う名の遊園地でジェットコースターに乗せる
みたいなモノ。最後のオチがジェットコースターのゴールでその後のチェーンにハマって
ガタガタガタと言いながらホームに戻る所が、『追い出し太鼓』のドコドコドコ・・・。
楽しいジェットコースターかどうかと言うのが演者の技量ですね。
談志師匠は落語は『イリュージョン』と良く言われていましたが、まさに落語は『空想』の
世界が故に、演者が巧ければ映画以上に何でもありの世界を見せる事が出来る芸なの
です。
さて、枝雀さんの落語です。
枝雀さんが小米さんと呼ばれていた時代は噛む事もなければ、物凄くキッチリした落
語を演じられていたそうです。声も小米さん時代はもっと低い声でした。
『完璧な落語』を突き抜けて『枝雀落語』が完成してしまったんですね。抜群のデッサン
力を持つピカソがキュービズムに至った様なものと言えば分かり易いんじゃないでしょう
か。
訳も分からずにキュービズムを真似てもダメなんです。
まずはデッサン力を身につける事。
憧れを持つのは勝手ですが、突き抜けた先のモノを真似ると、モノになる才能も、モノ
にならなくなってしまう・・・。
米朝師匠は、枝雀さんを否定するのではなく、肯定するからこそ、お弟子さんたちには
枝雀さんを真似るなとおっしゃっているのではないでしょうか。
オバージェスチャーの落語家さんは随分と増えていますが、オパージェスチャーをすれ
ばする程、お客さんは『不自然さ』を感じてしまい落語ワールドに行けなくなってしまうの
です。
私は時々、東西の噺家さんの独演会に行きますが、お弟子さんが前座として15分位
落語をします。その後に出られる師匠のお話しの邪魔にならぬ様に、徹底的に削ぎ落し
た落語を演じます。笑いがある場合もあればない場合もありますよ。でもケレンで笑わ
そうとはしないんですよね。ここがプロとアマの違いなのかな。
『笑い』について徹底して追い求めて行かなければならないのがプロの世界で、上手な
方が必ずしも人気がある訳ではないのも『芸』の世界。
『華がある』とか『フラがある』と言うのは、ケレンではなくて、その方自身が持つオーラ
の場合もあるでしょうが、天然では無く、養殖物で培って行くべきものなんでしょう。少なく
とも枝雀師匠の場合はそうでした。
莫大なお稽古と、徹底したリアリティーを求めた落語。ざこばさんが思い出として話して
いますが、『青菜』のお稽古では、庭の大きさからどんな木が植わっていて、木の大きさ
はどれ位・・・と話していたそうです。ざこばさんはそんな細かい事はどうでもいいと話して
居ましたが、その徹底したリアリティーを求めたからこそ、突き抜けたんだと思うんです
ね。嘘が感じられないからオーバーアクションのジェットコースターでも充分に楽しめる。
富士急のドドンパや風神・雷神みたいな絶叫コースターに成り得るんです。
オーバーが良い訳ではなく、オーバーは笑いの素でもないんですよね。オーバーはた
だ演者が気持ちいいだけ・・・。
枝雀さんの映像を見ながら、つくづくそう思います。
何気なく落語をされている様に見えますが、物凄くご苦労された結果なんですね。
枝雀さんが目指す究極は、舞台に上がっても何を話す訳でもなく、演者と観客がイケ
イケになって同じ時を過ごし、アハアハと笑いあって舞台から降りてくる様な噺家になりた
いとよくお話しされていました。フツーの噺家さんが目指している所と次元が違うんです。
一足飛びにそこを目指したら噺家さんが壊れます。
それを米朝師匠は察しているのでしょうね。言葉は違えども、小三治師匠も同じことを
感じている。
落研の方の落語を見て、プロとアマの違いを大きく感じましたので落語論を書いてみま
した。
枝雀さんはいらちなので、寿命を待つことなく逝ってしまわれました。その辺の事をもう
少し整理してから逝かれたら落語はもっと発展したのになぁ・・・。
(追伸)
案外枝雀一門が一番、ご苦労されている様な気がします。お弟子さんたちの落語に
触れますと、どうしても枝雀さんが後ろに居て、アハハと笑っておられる気がするんです。
それがちょっと切なくもあり、落語ワールドに行き難くしてしまっているのでは・・・と思いま
す。
枝雀さんが大好き故に、ぜひとも枝雀さんと言う高いハードルを越えた噺家さんになって
欲しいと思います。
談志さんの訃報に思う
談志さんの訃報から一日経って、談志さんの特集をモーニングショーではガンガンやっ
てます。
亡くなられたのは3日前ですが密葬を済ませて昨日の公表になったそうです。
3週間前から意識が無くなっておられたり、3月の手術で声が出せなくなっていたり・・・。
あの談志さんが手術後は筆談で・・・と思うと悲しい気持ちになってしまいます。
焼きものや絵画、彫刻などは作品がキチンと残りますが、芸能は演者が向こうに持って
行ってしまいますから困ったもんです。
CDやDVDもいいのですが、マクラが無いケースが多かったり、あったとしても環境が
違いますもんね。落語はお囃子の後、噺家さんが観客をマクラと言う仕立てのバスで
落語の国に連れて行ってくれて、それぞれのネタの中でイリュージョンを見せてくれま
す。イリュージョンが上手な方を名人と言うのでしょうが、それこそ名人は仕立てのバス
に乗っている時も心地よく知らない間に『落語の国』に連れていかれてますからね。
歌や落語などの芸能はやっぱりライブがいいんです。自分が生きている時間・空間で
名人上手と呼ばれる方とご一緒出来ていると言うのはとても幸せな事だと思います。
『ちょっとの贅沢』と割り切ってやっぱりライブには行くべきだと思います
あちらに逝きかけている方々が数名いらっしゃいますが、やはり見ておきたいと思い
ます。落語に関しては逝きかけの方もいいですが、『これから』とか『この人、良くなった
ねぇ』と言われている方々の芸にも触れておきたいものです
今朝は元気な頃の談志さんの映像をいっぱい拝見しました
やっぱり素敵な『落語家』さんだと思います。
今年はたくさん芸能の方々も向こうに逝ってしまってますからもうこの辺で打ち止めに
していただきたいものです。オオトリを務めるのに充分な方が逝ってしまった訳ですか
ら。談志さんなら閻魔大王にもケンカをふっかけていますかね・・・
立川談志さんの訃報
立川談志さんが亡くなられたそうです。
談志さんの落語はライブで一度だけ拝見しました。
また先日の立川談春さんや立川志の輔さんなどお弟子さんの落語は何度もライブで
拝見させていただいております。とても素晴らしい落語だと思います。
立川談志さんにはいろんなエピソードがありますね。ただ後継者をこれだけ育てられ
た事、落語を真剣に考え今の形に育てて来られた功績はとても大きな方だったと思い
ます。
談志さんはCDやDVDなどの記録もたくさん遺されていますし、書籍も多い
これも素晴らしい事だと思います。
大きな大きな噺家さんがまたお一人、向こうに逝ってしまいました。
残念です。
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